第244話 賃上げ原資があるかどうかは何を見たら分かるか
2025-02-05
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中小企業の経営者は、どのように賃上げ原資をつくればよいか悩んでいます。一般的に言われているのは「価格転嫁」ですが、他力本願の部分が多く簡単ではないでしょう。
それ以外の方法として、最近はさまざまな有形無形の投資をすることで賃上げ原資をつくるという情報が溢れています。しかし、どの投資も多額な資金が必要なうえ、最大の問題点は投資したからといって継続的に賃上げ原資ができる保証はないことです。
今後も最低賃金が上昇し続けることは間違いありません。継続的に賃上げできなければ、社員を定着させることはできません。つまり、会社を存続させることはできないのです。そのためには会社の業績を上げ続ける必要があります。
その賃上げ原資が増えているかどうか、経営者も社員も判断できる指標があります。それが「人時生産性」です。
この人時生産性はとても役に立つ指標です。人時生産性は粗利益を労働時間で割って計算しますが、現在の人時生産性が4,000円だとすれば、5%賃上げするためには4,200円を実現すれば良いのです。
このように、賃上げのためにはどれだけ人時生産性を上げればいいか分かることで、社員に「今よりも人時生産性を5%上げることで、自社も5%の賃上げができる」と発表することが可能になります。社員の立場で考えれば、賃上げ率5%を実現するために人時生産性を5%向上させるという経営者の発表は、全員が賛成することでしょう。
賃上げは社員の成長によって実現するものです。そのためには社員に何をすれば生産性が上がり、そしてどれだけ上げれば賃上げできるのかを示さなければなりません。
特に、小売業や飲食レストラン業は毎日売り上げが変化するため、日ごとに人時生産性を計測すると高い日もあれば低い日もあることが分かります。これが分かることで、高い人時生産性を実現した日は何をしていたのか、その内容を分析することで毎日高い人時生産性にすることが可能になるのです。
私が48年前に入社した会社は小売業でしたが、入社当時の人時生産性は2,600円でした。しかし、その16年後には5,600円を実現しました。当時、上場企業も含め小売業で人時生産性が5,600円の会社はほとんどなかったでしょう。この数字を実現したのは、毎日人時生産性を計測し、高い日には何をやっていたのかを分析して社内に共有化したからです。
賃上げ原資がないというと、一般的には「利益がない」や「業績が悪い」という言い方をしますが、果たしてどのような利益、業績になったら賃上げができるかについて明確な答えを出せる人はあまりいないでしょう。ぜひ、この人時生産性の活用によって社員に賃上げ率5%は実現可能であると示してもらいたいと思います。
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