第232話 賃金制度は利己主義から利他主義の時代へ
2024-11-06
一般的な賃金制度は、社員を利己主義の社員へと駆り立てます。
「優秀な社員にはたくさん出す」
この考え方は、一方でたくさんもらえない社員は優秀ではなく、他の社員と比較して賃金は少ないことを意味します。
この考え方を基に賃金制度をつくることで、社員同士の協調性が失われ、結果として会社全体の業績を下げることになってしまいます。この根本たる考え方が「成果主義」です。成果の高い社員は昇給・賞与が多く、成果の低い社員は昇給・賞与が少ない。理にかなった考え方ではあるでしょう。
しかし、今後の日本では成果主義が受け入れられることはありません。なぜなら社員個人ではなく会社全体で成果を上げなければ、昇給・賞与を増やすことはできないからです。
日本では今後「賃上げ率」という言葉が経営者と社員の会話に出てくるようになるでしょう。賃上げ率2%より3%、3%より4%、4%より5%と、賃上げ率が上がればその分賃金が高くなることは誰しもが分かります。
会社全体の業績から算出する「賃金原資」が増えれば全社員の賃金が上がり、賃上げ率も高くなります。つまり、会社全体の業績が良くなければ高い賃上げ率にすることはできないのです。これは当然のことでしょう。
全ての社員が高い賃上げ率を求めるのであれば、全ての社員が高い業績を上げようと邁進することになります。それも、1人で頑張るのではなく全員で頑張るという考え方にならざるを得ないのです。
今までの日本では、あらゆる賃金制度により社員間の心を分断していました。それは、自分の成果さえ高ければ高い賃金がもらえるため、どうしても利己主義にならざるを得なかったからです。
高賃上げ率時代が始まった日本では、社員に全員一緒に成長することで会社全体の業績が良くなり、そして全員一緒に賃金が増えると教育する絶好のチャンスです。このことを経営目標の発表時に具体的な仕組みで示さなければなりません。
例えば、業績が○○のときは賃上げ率3%、業績が△△になれば4%、そして□□であれば5%と、経営目標と賃上げ率を同時に発表する必要があります。
通常であれば、経営目標が高くなればなるほど社員のモチベーションが下がっていったでしょう。しかし、経営目標の業績を達成すると賃上げ率がいくらになるのかセットで発表することによって、1人残らず全社員が高い経営目標を実現しようという気持ちになります。
これまでの利己主義の社員を生みだしていた賃金制度から、「全員一緒に成長して成果を上げ、高い賃上げ率を実現しましょう」という考え方に切り替えることが可能になりました。今までの賃金制度では到底、高賃上げ率時代への対応はできません。
賃金制度を大きく見直すときが来ました。しかし、これは社員を大きく成長させる100年に1度のチャンスでもあります。利己主義の社員には成長はたかが知れてますが、利他主義の社員はどの会社でも大きな成長をしています。
もっとも、一般・中堅・管理階層と成長するに従って、この利他の考え方がなければ当然組織を引っ張っていくことはできません。そういった意味では、この「賃上げ率」という言葉を社内で活用することが、社員を大きく成長させるきっかけになります。
一般の中小企業の経営者は今の大手企業のような高い賃上げ率を実現するのは難しいと考えるかもしれませんが、それはこれまでの経験上の話です。これからは社員を巻き込んで、会社全体の業績向上に向けて進めることができるようになります。今の賃金制度を、全ての社員を利他主義にする賃金制度へと見直しをしていってください。
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