第209話 賃金制度の肝は分配ではない。○○○○を増やすこと

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第209話 賃金制度の肝は分配ではない。○○○○を増やすこと

2024-05-21

賃金制度をつくるとき、経営者は「賃金制度で公正公平に昇給・賞与を決められるようにしたい」と考えます。これは全ての経営者の想いでしょう。

しかし、経営者の想いだけで上手にいく訳ではないのです。実はこの賃金制度を導入する「タイミング」があることを、ほとんどの経営者は知りません。大前提として、会社の業績が良くなければ賃金制度を導入すること、または見直しすることは難しいのです。

どれほど公正公平な賃金制度をつくって導入しても、業績が悪ければ社員の昇給・賞与の金額は前年度よりも下がってしまいます。そのため、賃金制度を新たに導入(または見直し)した年の業績が悪く昇給・賞与が下がってしまうと、社員は「賃金制度を導入(見直し)したのは賃金を下げるため」と考えてしまうのです。

「業績が悪いから昇給・賞与の金額が下がる」と、理屈として正しい説明をしても納得する社員は1人もいないでしょう。結果として、経営者の想いとは真逆の印象を社員に持たれてしまいます。

このことから、賃金制度をつくって導入する最適なタイミングは「業績が良かったとき」になります。業績が良ければ、基本的に全ての社員の昇給・賞与は前年度を上回ることになるため、会社の業績と自分の成長によってどのように昇給・賞与が増えるのか、社員は冷静に賃金制度を確認することができます。

つまり、賃金制度を導入(見直しする)ときは、社員が成長し、業績が向上する経営状態を必ず事前につくっておかなければならないのです。

多くの企業はここ数年間、コロナ禍の影響などで業績が悪くなり賃金制度の導入が難しかったでしょう。しかし、徐々に業績が回復してきた今こそ、賃金制度を導入するときが来たといえるでしょう。

まずは社員に「賃金を上げるためには、会社の業績を上げなければならない」と説明しなければなりません。

会社の業績によって昇給・賞与は大きく変わります。そのため、新しく人事制度や賃金制度をつくる、または導入する会社は、まず社員を成長させて業績を向上させなければならないと知ってください。

それでは、社員を成長させて業績を上げる大切な3つのポイントについて説明しましょう。

1つ目は、組織原則2:6:2の成果を上げている優秀な社員のやり方を「成長シートⓇ」を作成して共有化することです。成長シートは優秀な社員をモデルに成果を上げるやり方を明記します。全ての社員を優秀な社員に成長させるのが成長シートです。作成には大切な基本があります。必ず順守してください。

2つ目は、他の社員に「成果を上げるやり方」を教えた社員を最も高く評価することです。このことも成長シートに明記して可視化しなければなりません。口約束は誰も信じません。

3つ目は、会社の業績を上げるためには「高い成果を上げている優秀な社員がより成果を上げる」よりも、「高い成果を上げられていない社員が、優秀な社員の成果を上げるやり方を真似して実施する」方が、会社全体の業績は上がりやすいと全社員に説明することです。

高い成果を上げている優秀な社員は、組織全体で2割しかいません。しかし、成果の上がってない社員は全体で8割いるのです。その8割の社員の成果を上げることが、最も会社の業績を上げることにつながります。つまり、8割の社員の成果創出が業績向上に大きな影響を与えます。

この3つのポイントを守り、社員を成長させて業績を向上させ、全社員で賃金原資をつくることを、仕組みを通じて説明しなければなりません。これができなければ、どれほど正しいと思える賃金制度をつくったとしても、社員から歓迎されることはありません。一生懸命つくっても反対されたら問題外です。

まずは、業績を上げることに取り組む必要があります。業績を上げる方法は、既に自社の中にあるのです。社員を成長させて会社の業績を上げ、昇給・賞与の金額を上げたいと強く思う方は、ぜひ成長塾にお越しください。

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