第201話 年齢給・勤続給の今までの役割は既に終わっている
2024-03-26
3年前から、大手企業の経営者が「年功序列型賃金は継続できない」と発表しています。年功とは“年の功”という意味です。年齢や勤続年数を重ねていけば、社員が成長して成果が上がっていくことを前提に「年功給」として支給していました。
しかし、この変化の激しい時代においては、長く勤めることだけで組織の役に立つ社員に成長できるかと言うと、必ずしもそうとは言えなくなりました。逆に、ただ長く勤めているだけの社員が、組織の成長発展を大きく阻害することになりかねません。この年功給は「働かないオジサン・オバサン」を生み出した原因の1つでもあります。
ここでの年功給という賃金は「年齢給」と「勤続給」の2つですが、正確にいうと年齢給と勤続給は年功給ではありません。もともと年功を評価せずに全員一律で昇給しています。
そのため、現時点で年齢給、勤続給を年功給として支給している企業は、【大至急】賃金の見直しをしなければなりません。「年功」を目的とする賃金の支給を止めるのです。
ただし、今まで支給していた賃金の支給を廃止することは、社員にとって不利益変更になりますので注意が必要です。
賃金制度の見直しには大原則があり、現在の賃金額に「何も足さない、何も引かない」という変更の仕方をしなければなりません。つまり、年齢給や勤続給をなくすのであれば、その年齢給・勤続給と同じ金額を別の賃金として支給しなければならないのです。
見直しを通じて、この機会に経営者が「賃金を増やしたい」社員の賃金を「考えている金額」を増やせるよう、賃金体系を変更していかなければならないでしょう。
法律上、支給しなければならない賃金項目は「超過勤務手当」の1つだけです。それ以外は会社によって自由に設計できます。特に中小企業であれば、経営者は社員の成長がはっきりと分かりますので、その成長に合わせて賃金を支給する、「成長給Ⓡ」という賃金で支給する方法がピッタリでしょう。
ただ、ここで1つポイントがあります。
新卒社員が入社してから一人前になるまでには、会社にもよりますが、およそ5年から10年ほどの年数が必要です。本来、一人前の成果を出せるまで昇給することは無理でしょうが、昇給している会社がほとんどです。
これは社員の成長によって昇給するというよりも、一人前になるまでの間、生活を保障するために賃金を支給しているといえるでしょう。会社としても「この5年から10年の間は、あなたが一人前になるまでの生活保障給として昇給しましょう」という説明が成り立ちます。
もちろんこれも経営者の考え方によって自由です。大切なことは「どうなったら賃金が増えていくのか?」を、賃金制度として社員に説明できる会社になることです。
特に現時点で年功目的として年齢給・勤続給を支給している会社は、これからの時代に合わない賃金制度を持っていることになります。【大至急】見直しが必要でしょう。
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