第185話 社員に納得してもらう正しい賃上げの方法
2023-11-28
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賃上げ率3%実現のために設定した経営目標を達成できたとき、実際どのように賃上げすればいいでしょうか?
全社員同じように、支給している基本給に3%掛けると考えている方が多いかもしれません。しかし、実際は全社員一律で3%上げることは現実的ではありません。社員の成長度合いによって賃上げ率が異なるからです。つまり、あくまで賃上げ率は「平均」です。
社員が今いる成長階層(一般階層・中堅階層・管理階層)によって昇給額は違うでしょう。また、同じ階層の中でも優秀な社員やまあまあの社員、これから成長していく社員と、それぞれ成長度合いに違いがあります。つまり、同じ成長階層でも組織原則2:6:2があり、昇給額が違うのです。
例えば、賃上げ率が平均3%だとしても、社員の成長度合いによって掛ける賃上げ率は異なります。優秀な社員の賃金が現在30万円、まあまあの社員が25万円、これから成長していく社員が20万円だとします。このときにこれから成長していく社員の賃上げ率は2%の4,000円、25万円のまあまあの社員の賃上げ率は3%で7,500円、30万円の優秀な社員は賃上げ率4%の12,000円となるかもしれません。もっとも、この金額は経営者の考え方によって違いますが、この賃上げ率は社員の成長度合いによって違うのです。
間違っても賃上げ率3%を全ての社員の基本給に掛けることはできません。今までの「社員の成長度合いによって決定していた昇給方法」とは異なる昇給方法になってしまい、整合性がつかなくなってしまいます。
そのため、社員に対して「賃上げ率3%は『平均3%』であり、社員の成長度合いによって賃上げ率は違う」と前もって説明しておかなければなりません。事前に説明しなければ、実際に賃上げ率を計算した社員から不満が出ることになります。
社員による昇給額の違いは、今まで経営者が社員の成長に伴って賃金を増やしてきたことです。賃上げ率が社員によって違うのは当然なのです。ここが、ベースアップと違うところです。
しかし、社員の成長によって賃上げ率がどのように変化するかを、経営目標の発表時点であらかじめ説明しなければなりません。
社員は、この賃上げ率は今の成長度合いによって決まったものであり、自分が成長することで昇給額が上がることを理解するため、一切の不平不満は出てきません。
社員としても自分がこの会社で成長していくことで昇給額が増えること、そしてこの先自分の賃金がいくら増えるのかを前もって知ることができます。この説明ができれば、社員はこの会社での将来に不安を持つことはなく、じっくりと成長するようになります。
社員は1年前に自分の昇給額と自分の賃上げ率を知ることができているでしょうか?
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