第184話 モデル賃金が社員採用の武器になる
2023-11-21
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最近の初任給の上昇、または中途社員の賃金相場の上昇により、中小企業にとってますます採用のハードルが上がりました。
すでに新卒や中途採用時の賃金額の見直しをしなければ、採用できない状況に追い込まれています。それは十分に分かっていても、急に大幅な見直しをすることは難しいでしょう。現在いる社員の賃金を見直すことも同時に行う必要性があるからです。
この賃金の見直しは、大幅な労働分配率の悪化につながることは必至です。しかし、採用活動はこれからも実施しなければなりません。そのための武器が「モデル賃金」です。
モデル賃金は会社の業績が良かったら、そして社員が成長したらどう賃金が増えるかということを明確に示すものです。
このモデル賃金があれば、入社後成長していけばどのように賃金が増えていくのか、採用面接の時点で説明することができます。
例えば一般的に採用時の賃金相場が24万円以上のとき、採用面接する際「採用時の賃金は22万円ですが、当社はモデル賃金によって40年間、あなたの賃金がどう増えていくかを説明することができます。(求人広告媒体によって表示内容に制限があるため、同じ表示はできませんが)社員として成長し、業績が良ければ65歳には基本給を60万円支給することもできます」と説明できるのです。
特に、入社時の賃金が高くても、その後あまり上がらないことを経験したことのある中途採用の社員からすれば、採用した後でも賃金が上がると具体的に説明できる会社があることに驚きがあるでしょう。このときの応募した人の驚きは、真面目で優秀な人ほど大きく出ます。
採用時の賃金を一挙に上げられないときに、採用した後に賃金が増えるモデル賃金を説明できることが、これからの中小企業の大きな採用の武器になります。この武器で採用できる人は、この会社で成長して賃金を上げようとする、自主的で真面目な、優秀な社員です。これは評価と賃金が完全に一致しているからできることです。
最近の経営者の相談で多いのは「採用時の賃金をいくらまで上げたら良いのか?」です。広告の紙面で見る採用時の賃金は高すぎるため、その金額にアップしないと当社はもう採用できないのではないかと嘆きますが、一挙に賃上げすることはできないでしょう。
これからこの問題に対応するためには、まずは社員の成長、特に生産性の高い社員への育成に取り組む必要があります。会社の業績(生産性)が良くなければ、今後賃上げすることはできないでしょう。
一方で採用活動時にはモデル賃金を応募者に見せることで、40年以上安心して仕事ができる、明確な人事制度や賃金制度があると説明します。これは口約束ではなく、社員の成長の後から賃金が増えることを明確に約束する制度であると安心します。
「安心して働けるこの会社に、これからの人生をかけたい」と、本人に決意してもらって入社するのであれば最高です。このとき、応募者は入社時の賃金に納得するだけでなく、この会社に入社して成長しようと意欲に燃えて入社することは、会社にとっても良いことでしょう。
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