第182話 人事制度は環境に合わせて変更しているか

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第182話 人事制度は環境に合わせて変更しているか

2023-11-07


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企業にある全ての仕組みは、元々目的があって作成されました。

例えば「顧客管理」の仕組みがある企業はどうでしょうか。顧客からさまざまなクレーム(要望)を頂き、中にはおりに近いものもあるでしょう。そのクレームに真摯に向き合いながら、顧客への対応の仕方を改善し、併せて顧客管理の仕組みも改善していくことになるでしょう。

顧客管理の仕組みがあることで、全ての社員に共通するベストな方法で顧客に対応することができます。仮に新人であったとしても、顧客管理の仕組みがある企業はベテラン社員と同じような対応ができるようになります。

一般的に、クレームの多くはベテラン社員の対応と新人社員の対応の違いによって発生することが多いのです。つまり、全ての社員が同じような対応ができるように仕組みはつくっていくことになるでしょう。

では、人事制度はどうでしょう。人事制度はどのような目的でつくるのでしょうか? 通常は、社員の評価を決めて、昇給・賞与を決める目的でつくるでしょう。

この目的を達成するために人事制度をつくる理由は、社員が「評価に対して不平不満がある」「昇給・賞与の決め方に納得できない」と言われた時に、納得できる答えが説明できるようにするためです。この仕組みがあれば経営者だけではなく、幹部や上司も同じように社員に答えることができます。

ただ、ここで大切なのは社員からのありとあらゆる質問に答えることです。もともと、人事制度は説明しても、全ての社員が「はい、分かりました」となるほど分かりやすいものではありません。そのため、社員の質問にはきちんと答えなければならないうえ、万が一人事制度に問題があると指摘されれば、改善が必要になってくるでしょう。

人事制度は一度つくったら終わりではなく、常に社員からの質問に答え、不平不満を解決するために毎年見直しすることが必要になってきます。

大切なことは、経営者が自分で説明できる内容でなければならないことです。経営者本人が分かるようにつくらなければ、社員に対して自分の言葉で答えることができません。ここが人事制度で失敗する大きなポイントの一つでしょう。

そして、人事制度は時代の変遷によって、さまざまな改善・改革をしていかなければなりません。長く勤めていれば優秀な社員になれる年功序列賃金が通用した時代から、今後は時代の変化に合わせてタイムリーに適応できる社員が優秀だとすれば、そういった社員を評価し賃金が上がるよう、人事制度を変えていく必要性があります。この対応が一般的には行われていません。

企業によっては数年前につくった人事制度をそのまま運用し続けており、最近は環境の変化に適応できていない、評価が現状と一致していない可能性があります。経営環境が変われば顧客管理の仕組みも変わるように、人事制度も変えなければなりません。そのため、人事制度はどうしても経営者が今までやってきたことを可視化してまとめることが必要になります。つくってもらった人事制度は見直しができないからです。

ただし、今までやってきた評価や昇給・賞与の決め方を可視化することは簡単ではありません。人事制度を構築する最初の段階では、専門家の力を借りて可視化することが必要でしょう。自分でも分からなかった、気付かなかったことも含め人事制度としてまとめることができます。

今ある人事制度は、現在の環境に適応している人事制度になっているでしょうか。

 


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