第177話 2024年新卒の初任給の見直しが必須です
2023-10-03
最低賃金が大幅に上がったことで、2024年卒の初任給も上げざるを得なくなりました。
実際に初任給を上げる会社が増えてきています。東京都では10月1日より最低賃金が1113円になったため、所定労働時間が174時間の会社であれば、高卒の初任給は19万3662円以上でなければ最低賃金を下回ることになります。東京都の高卒初任給は今までおよそ18万円でした。この19万3662円を下回る会社は、賃上げすることが必須です。
さらに大卒の初任給も上げる必要があります。高卒と大卒の初任給は現状で約4万円差があるため、大卒初任給は少なくとも23万円以上にせざるを得なくなります。
もちろん、既存社員の賃金が大卒初任給23万円を下回るわけにもいきませんので、こちらも上げざるを得なくなるでしょう。社員全体の賃金が上昇することで、一気に労働分配率が悪化して利益が減少する可能性があります。
今後は初任給を大幅に見直す企業が増えたため、現在の大手企業と中小企業で採用力に大きな違いが出ています。
すでに今の就活生は、初任給の金額を見て就職先を決める傾向が強くなっています。3年前であれば企業規模によって初任給が変わることはほとんどなく、地域による差だけでした。
しかし、これからは企業規模によって初任給に差ができてしまい、初任給によって選別されるようになります。これは今後最低20年間、改善する可能性はほとんどありません。人口が増加しない限りは、この問題が解決することはありません。賃金を上げられるほどの利益が企業になければ、採用はますます厳しくなり人材不足が続くことになります。
利益を増やして賃金を上げなければ中小企業は採用することができない時代になりました。
この経営環境でやるべきことは、現在いる社員を生産性の高い社員に成長させることです。特に、1時間当たりの労働生産性(付加価値÷労働時間)を上げる必要があるでしょう。
どの会社にも生産性の高い社員がいます。生産性の高い社員と低い社員で、生産性の差は通常 1.5倍以上あります。生産性の高い社員がやっている仕事のやり方を可視化し、共有化することでこの緊急事態を乗り切ることができます。
自社にあるものを共有化するだけだからです。組織全体で新しいことに取り組むことには時間がかかりますが、自社の優秀な社員がやっている生産性の高いやり方を組織の中に共有化させるだけなら、その共有のスピードは格段に早くなります。
会社全体の生産性を上げることで、賃上げは可能になります。
例えば、「1時間あたりの労働生産性が現状の3600円から3708円になったら、賃金を3%上げます」と説明ができるようになります。
この説明で、会社が賃上げしたいと考えていることを社員は理解します。そのためには優秀な社員が行っている生産性の高いやり方を真似すればいいだけだと分かれば、社員は生産性を上げることに邁進していくでしょう。
生産性を上げることは経営課題の中で最も優先順位の高い課題になりました。
今すぐ、生産性の高い社員のやり方を社内に共有化してください。その共有化をするためには「成長シート」が役に立ちます。成長シートはもうつくられましたか?
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