第173話 評価シートは経営者によって異なる100人100種類
2023-09-05
経営者が評価制度をつくるときに悩むことは、「何を評価したらよいのか」です。社員を評価する内容について学んだことがなければ、なおさらのことでしょう。
そこで、コンサルタントや専門家等の第三者から評価シートをもらうことになりますが、これが失敗の始まりです。
そもそも、経営者は社員の何を評価したらよいかを学んでいなくても、普段からやっていることがあります。それは社員を褒めたり叱ったりすることです。
過去1か月を振り返ってみれば、さまざまななことで社員を褒めたり叱ったりしていたことに気が付くでしょう。つまり経営者は、常に社員を評価しながら経営をしています。
その評価に基づいて行っているのが社員の指導です。できていないことをできるようにする。分からないことを分かるようにする。守っていないことを守るようにする。経営者は社員を評価した後に指導しています。評価しなければ社員の指導はできません。これが鉄則です。
これをしっかりと理解してもらえば、評価シートを第三者から受け取ってはいけないことが分かります。
評価シートは業種ごとにつくるものではありませんし、企業規模ごとにつくるのでもありません。経営者ごとにつくるのです。なぜなら経営者によって「何を評価しているのか」が、全く違うからです。つまり経営者ごとに評価シートは違うことになります。
そして大切なことは、評価は経営者の成長によって中身が変わっていくことです。経営者はさまざまなことを学び、成長します。その成長に伴い、経営者が評価することは変わってきます。ですから、評価シートは経営者が自分でつくらなければならないのです。
経営者自らつくることで、あることが分かります。それは、今まで評価していたことが社員には見えていなかったことです。
それは評価される社員の立場から見れば分かります。社員は今の会社に在職している以上は経営者に褒めてもらいたいと思っています。ところが経営者が何を評価しているかが社員には分かりませんでした。
成果の大きさを褒めたり、やっていることを褒めたり、知識技術の習得度合いを褒めたり、勤務態度の良さを褒めたりと、社員やタイミングによって褒めている内容が違います。そのため、社員としては結局何を褒められているのか整理がつかないのです。
その褒めている内容を1つの評価シートにまとめたらどうでしょう。社員は「社長に褒めてもらうように成長していきたい」と考えています。これを自己育成と言いますが、経営者が評価シートを自らつくることによって、評価シートに書いてあることができれば必ず褒めてもらえる、つまり社内で評価されることは何であるか可視化されたことになります。
評価シートによって社員は自己育成ができ、同時に上司は部下に統一した指導をすることができるようになります。社員本人にとってもいい、上司にとってもいい評価シートをつくることが、社員を成長させる最も簡単で、そして早い方法です。
もし「社員の何を評価したらよいか分からない」と思ったら、過去1か月間自分は何を褒めてきたのか振り返ってください。間違っても私に、「当社の業種、または規模に合った評価シートをください」と求めないでください。
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