第169話 社員の成果向上にはノルマより正しい目標

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第169話 社員の成果向上にはノルマより正しい目標

2023-08-01

   

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会社には経営目標があり、基本的にその経営目標を実現するための大きな原動力は社員です。

社員にはそれぞれの成長段階があります。例えば、社員の成長を点数として表せる「成長点数」がある会社であれば、20点の社員も、40点の社員も、60点の社員も、80点の社員もいます。

社員それぞれ成長するスピードはさまざまであり、会社には標準的なスピードで成長して昇格に必要な年数、いわゆる「標準昇格年数」があります。入社して1年で高い成果を上げて80点の社員になることは無理です。ある程度の年数をかけて優秀な社員になっていきます。

ところが、会社全体の目標である経営目標を達成するために、会社側から社員それぞれに会社の目標を割り当てることがあります。それを「ノルマ」と言います。

ノルマは英語ではありません。ロシア語です。戦後、シベリアに抑留された日本人たちが過酷な条件の中で生き永らえて帰ってきたとき、この「ノルマ」という言葉が日本に伝えられたそうです。

ノルマを課された社員は、そのノルマを達成するために必死に成果を上げることに取り組むでしょう。場合によってはノルマを達成しようとするあまり、決して正しくない道に進んでしまう可能性は十分にあります。ある企業の問題がマスコミを賑わせていますが、それはノルマを課していたことが一因でしょう。

ノルマを課しても、決して会社の業績を上げ続けることはできないことを私たちは知らなければなりません。歴史は繰り返しています。経営目標を達成するために、ノルマを課す必要はないのです。

どの会社にも成果の高い社員がいます。だからこそ、この高い成果を上げている社員と同じ成果を他の社員にも上げてもらいたいと考えるでしょう。そのために、この会社で高い成果を上げている社員は「何をして」成果を上げているのかを調べて他の社員に教えること、共有化することです。これが日本のマネジメントです。

全社員が成果を上げたいと思っていますが、いきなり全員が成果を上げることは無理でしょう。しかし、その成果を上げている社員のやり方を真似することによって、徐々に高い成果に近づくようになっていきます。これが社員の本来の成長なのです。

社員は高い成果を上げるためのやり方をすれば良いということを学んで実行していくことになるでしょう。仮に全社員が上げている成果の平均売上高が3000万円だったとします。その中で最も高い成果を上げている社員が5000万円の成果を上げていたとしたら、実に1.6倍の差があります。この5000万円の成果を上げるやり方を全社員に教えることができたら、全社員が5000万円の成果を上げることができるのです。

もちろん、高い成果を上げるやり方は難易度が高いでしょう。しかし、ノルマを課すのではなく成果を上げるやり方を教えることによって、社員は正しい成果の上げ方を学びます。それはお客様に喜んでもらいながら成果を上げることです。

お客様に喜ばれ、感謝された社員は「世の中に貢献している」と、胸を張って正々堂々成果を上げるための努力を重ねるでしょう。そしてさらに成果を上げたときには、多くのお客様に大きな喜びになり、より大きな感謝を得ることができます。社員の成長は成果をもたらすことと同時に、多くのお客様に喜びをもたらすことになるのです。

会社に存在している高い成果を上げるやり方を社員の中から引き出し、可視化して共有化することが最も大切なことです。この激動の時代でも成果を上げることができるベストな方法です。

現在高い成果を上げている社員のやり方を上司全員で把握し、全社員に共有化しているでしょうか?


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