第167話 後継者は創業経営者の評価と処遇の決め方を理解したら一人前
2023-07-18
弊社代表の松本の記事が「PHPオンライン衆知」に掲載されました!
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創業経営者は社員の評価と賃金を一致させて経営をしてきました。そのことが間違っていることはほとんどありません。
この創業経営者から次の後継者に事業承継するとき、“あること”ができていないために大きな問題を起こすことがあります。それは創業経営者が今まで社員の何を評価して、どのように処遇を決めてきたか明らかにしていないことです。
創業経営者自身は、苦しみながらも評価と処遇を決めてきましたので、自分にできたことは後継者にもできるだろうと考えています。ここに大きな落とし穴があります。
創業経営者が決定してきた評価と処遇は全て頭の中でやってきたことであり、結果として今の賃金額になったことだけは分かりますが、後継者にはその決め方がわかりません。
創業経営者が決めた幹部・管理職の賃金が高いことは創業経営者からすれば当然のことですが、後継者から見るとなぜこの幹部・管理職の賃金が高いのか理解できません。そのため、後継者はどうしても今の仕事以上に賃金を払い過ぎているという思いが強くなります。
そして時にはこの社員の賃金を下げてしまいます。その結果、幹部・管理職が会社を辞めてしまい、事業の存続に大きな問題を起こしてしまった例があります。
創業経営者は、社員に対する評価と賃金を決めてきた内容を可視化して仕組みにしなければなりません。
評価の高い人は賃金が高い、つまり、評価と賃金が一致していることを仕組みで説明することができるようになれば、後継者はその仕組みを見ながら評価の決め方や賃金の決め方について、創業経営者から学ぶことができます。
この仕組みは創業経営者が何十年間という経営の中で、課題を解決してきた歴史が組み込まれています。
つまり、後継者は社員の評価と処遇を事業承継してから自分で決めますが、この仕組みがあれば今まで見えていなかった“創業経営者の決め方”によって決めることができます。これは事業承継するときに最も大きな財産になります。お金で買うことはできません。
その仕組みを前提とした決め方で最低5年間、評価と処遇を決め、それから後継者本人の考え方を少しずつ盛り込んでいくことになるでしょう。
およそ10年も経てば、創業経営者と違った評価や処遇の決め方に変化していくでしょう。幹部、そして社員も事業承継後も創業経営者の時と変わらない評価と処遇に安心しながら、その変化に対して徐々に理解をしていくようになります。
そして、後継者自身の考え方を評価と処遇の決め方に盛り込んでいき、今度はそれが「後継者の評価と処遇の決め方」になっていきます。いわゆる「守破離」の段階を経て、創業経営者の評価や処遇を決める仕組みを変えていくことになるのです。事業承継の際は必ずこの人事制度をつくることが必要です。
創業経営者は後継者のために評価や処遇を決める仕組みをつくっているでしょうか?
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