第166話 賃金を上げずに定着率を向上させる方法

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第166話 賃金を上げずに定着率を向上させる方法

2023-07-11

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社員の定着率を上げることはとても重要です。もちろん経営者は知っています。しかし、日本では社員が会社を辞める際、本音ではなく建前上の理由で辞めているため、経営者は打つ手がありません。

その本音の理由を知るためにも、さまざまな求人情報サイトが公表している「会社を辞めた本当の理由」のアンケートを見なければならないでしょう。

厚生労働省も転職者実態調査にて、離職理由の調査分析を行っています。必ず筆頭に立つのは「賃金が低かったから」です。この事実に多くの経営者は驚くでしょう。なぜなら、会社を辞めるときに「賃金が低いから辞めます」と言って辞めた社員は一人もいなかったからです。

もっとも、当メルマガをご覧になっている経営者は社員の賃金を上げたいと考えていますので、お辞めになった社員は、「この会社にいても賃金は上がらない」と誤解して退職したのです。

この辞めた本当の理由を知らなかったため、「賃金が低い」という不平不満に対応をすることができていません。もちろん定着率を上げるために全員の賃金を上げることはできないでしょう。

だからといって、欧米と同じように「賃金に不平不満があるなら、直接賃金交渉しに来なさい」と社員に伝えても、交渉に来る社員はほとんどいないでしょう。これは、日本の国民性だと考えるしかありません。

基本的に、成果を上げている真面目で優秀な社員ほど賃金交渉には来ません。残念ながら日本では真面目で優秀な社員ほど交渉に来ることはありません。「今の会社で嫌な思いをして賃金交渉するより、他の会社に転職して賃金を上げた方がいい、円満に退職するためにも賃金に不平不満があったとは言わない方がいい」と、建前の理由を述べて辞めてしまいます。

そのため、賃金の決め方を社員に説明することが定着率を高めることにつながります。

社員に(1)評価をフィードバックすること、(2)社員の成長に伴って昇給・賞与は間違いなく増えていくことを仕組みにして分かるようにしなければなりません。優秀な社員には、他の社員に教えることで、会社の業績をさらに向上させることができ、結果としてさらに昇給・賞与の金額が増えると説明します。

つまり、他の社員に教えて賃金原資を増やすことで、教えた社員の賃金はさらに増えると説明できます。入社してから40年間成長することで、賃金がどのように増えるかを、聞きに来なくても全社員が分かるようにしなければならないのです。

多くの企業経営者が、優秀な社員が退職することに悩み、相談してこられます。しかし、社員が辞める本音を言わない以上、対策を立てることができません。日本人特有の賃金の話をしたくないことを前提にすると、経営者は「これからも賃金は増えていく」ことが分かる仕組みをつくらなければならないでしょう。

今は中途採用でスカウト採用が、採用の分野でかなり大きなウエートを占めるようになってきました。このスカウト採用そのものが、中小企業の優秀な社員が転職してしまう大きな要因となっていることにも気がつかなければなりません。

全社員が、この会社でますます賃金を増やせる方法を会社全体に情報共有して、自らモデル賃金を設計できるようにすることが必要になりました。

賃金に関して誤解をして退職する、「誤解退職」にならないような方法をもう既に持っているでしょうか。

 


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