第162話 上司の部下指導が有効にならない本当の理由
2023-06-13
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多くの会社は人事制度を導入し、上司に部下の評価をさせます。この評価実施上の問題点は、上司によって評価が変わる、いわゆる評価の甘辛が存在していることです。そのため、この甘辛を調整して社員の昇給・賞与を決めなければなりません。
最終的には、経営者が悩みながらも全上司の甘辛を調整して昇給・賞与の金額を決定します。しかし、調整するだけでは大きな問題が発生します。それは評価の甘辛を調整する以前に、上司の評価と部下の自己評価が一致していないことです。
まさか上司の甘辛を調整した経営者の評価を社員にフィードバックすることなど到底ありえないことです。部下からなぜその評価になったのか聞かれても、上司は説明できません。
評価がフィードバックされないため、部下は自分の評価は「これくらいだ」と自己評価しています。そのため、自分ができると思っていることに対して上司から厳しい指導があると納得がいきません。「自分はできているはずなのに、なぜこんな厳しい指導を受けなければならないのか!」と、不平不満が生じます。その結果、上司に対して不信感を持つようになり、上司の指導を受け入れなくなります。
上司は決して部下が嫌いなわけではなく、部下に成長してもらいたい気持ちから厳しい指導をしています。上司ができていないと評価したことを、できるようになってもらいたいからこそ指導をしているのです。
しかし、部下本人からすれば自分はできていると思っていることに対して、上司に厳しく指導されたら、どのような気持ちになるかは推して知るべし、上司のことが嫌になります。つまり、上司に対して反感を持つようになります。この気持ちは指導される度に強くなり、日常において上司と部下の人間関係がますます厳しい状況になってきます。これを正さなければなりません。
そのためには、全上司で全部下の評価を決める必要があります。
全部下の評価は全上司が集まって決める。これを仕組みにして部下に伝えることで、上司の甘辛はなくなります。そのため、経営者は上司の甘辛評価の修正は必要なくなります。
そして上司は決まった評価を部下にフィードバックすることができます。フィードバックすることで初めて、部下の自己評価と上司の評価にはギャップがあることが明確になります。
部下は上司によって評価が違うことを分かっています。別の上司の元で働いている部下とお互いに情報交換をします。「うちの上司は厳しい」「うちの上司は甘い」と部下間で共有しているのです。
その上司一人が決めた評価の場合は、上司によって甘辛があることを部下は知っているため受け入れられなかったかもしれません。しかし、全上司が集まって決定した評価であれば受け入れざるを得ないでしょう。
もちろん、部下はそれでも評価に納得できずに上司に質問する可能性があるでしょうが、この上司評価は全上司が集まって決めているため、上司はなぜその評価になったのか説明することができます。やがてこの部下は上司の評価を受け入れることができるようになります。ここで初めて上司の指導が有効になります。
上司と部下の人間関係そのものに問題がある場合は組織として解決しなければなりませんが、まずは上司の指導を有効にすることです。これは上司の評価と部下の自己評価を一致させることでしか解決することはできません。
今、経営者が上司の甘辛評価の調整をしている間は、上司の指導は有効になりません。そのため、全上司で集まって評価を決める会議を行うことが必要です。
全上司が全部下の評価を組織的に決めているでしょうか?
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