第131話 賃金制度の本来の役割は不安を取り除くこと
2022-10-18
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経営者が人事制度をつくる目的の一つは、社員の賃金に関する不平不満の解消です。
例えば、賞与を支給した日に社員から「この賞与はどうやって決めたのですか?」という質問を受けることがあります。これは自分の賞与が少ないという不平不満に基づく質問です。この質問に、経営者はなかなか本人が納得する内容で答えることができません。
このような社員からの質問が次から次へと続くようでは、経営者にとっても逆に納得できない状況が続くことになります。経営者が悩みながらしっかりと考えて賞与を決めていても、社員はその決定プロセスを知らないため、質問がある度に答えなければならないからです。
自分でも納得する答えができない経営者のストレスが、経営に影響を与えることも少なくありません。そこで人事制度をつくり、そして賃金制度をつくるようになります。
この質問に答えるために賃金制度をつくると、つくった後の経営者の発言はほぼ同じものになります。それは「この会社で頑張ったら昇給・賞与が増える」という発言です。この経営者の発言により、社員は頑張ったら賞与が増えることを、その制度で理解しようとします。しかし、実際の賞与の具体的な金額の計算方法は分かりません。そのため、社員の中にはどうしても納得できない部分が残ってしまいます。
賃金制度は経営者の今までの決め方を可視化してつくることが大原則です。そのため、もともと賞与を決めていた方法を全て計算式にして、明確にすることで不平不満は無くなります。
しかし、今までの賞与の決め方を計算式で示すことによって、決め方が納得できなかった過去の不平不満の問題よりも、もっと大きく潜在的な問題を解決することができます。それは、社員の定着率の向上です。
社員は会社に40年以上勤める間、自分の賃金、いわゆる昇給・賞与がどう増えていくのか分からなければ、不安に駆られます。
「本当に自分はこの会社で成長していったら昇給・賞与は増えていくのだろうか?」
「賃金は増えていくのだろうか?」
このことがはっきりしないままでは、自分の人生設計を立てることができません。
つまり、賃金制度は社員の人生設計の元である経済的な部分について、安心してもらうようにつくるものであると知って頂く必要があるでしょう。これが明確になることによって、社員は賃金のことを心配せずに自分の目の前による仕事に集中することができます。そして成長することができるのです。
賃金制度の役割は社員のモチベーションを上げるためではなく、不平不満を解消させるための制度でもありません。社員が40年以上この会社で「安心」して活躍できるようにするための役割を持っていることを理解することが必要でしょう。
もし、社員から賃金制度に関しての質問があったら、それはとてもありがたいものだと思ってください。経営者の皆さんは社員の賃金に関する質問に、自分の言葉で答えることができるでしょうか?
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