第129話 社員の成長に欠かせないのが「失敗を経験すること」

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第129話 社員の成長に欠かせないのが「失敗を経験すること」

2022-10-04

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最近、インターネット上で「社員にはたくさんの失敗をさせることが必要」という話題が増えています。その理由は、この激動の時代に社員は失敗を恐れず挑戦することが必要であると感じているからでしょう。

確かに、新しいことに挑戦する社員がだんだん少なくなってきたように思います。特に、今までにない経営環境の中で、逆に挑戦をためらう社員が増えてきているようにさえ思います。

この原因は大手企業と中小企業では若干違うかもしれません。大手企業の社員さんたちと話をすると「失敗はできない」と断言する人は意外と多いのです。それは失敗すると減点評価をされ、場合によっては昇給・賞与に大きく影響することが分かっているからです。簡潔に説明すると、失敗したら昇給と賞与が減る可能性が大きいのです。これではどんなに高い賃金をもらっていたとしても、新しい挑戦に関しては二の足を踏むでしょう。

米国のある有名な経営者が日本でセミナーを開催した際、参加者から質問を受けました。

「あなたは会社を飛躍的に成長させましたが、成功のコツはあるでしょうか?」

この質問に対して講師の経営者は次のように答えました。

「ご質問頂いた方は、私は成功する確率が高いとお考えになって質問したように思います。しかし、成功の確率は質問して頂いた方と私とではさほど違いはないと思っています。それでも成功していると感じる最大の違いは、挑戦する数の違いだと思います。例えば、私は1年間に100の挑戦をし、30成功して70失敗しています。ご質問頂いた方は、もしかすると年間10の挑戦をして3つ成功し、7つ失敗しているかもしれません。つまり、成功の確率は30%で同じですが、成功の数は10倍違います。その違いこそ、当社が成長した理由と言えるでしょう!」

つまり、失敗も10倍多いのです(笑)。ここがポイントですね。

経営者は組織の中で一番失敗が多いでしょう。社員にも多くの失敗を経験してもらうことは、数多くの挑戦をしてもらうことと同義です。つまり、まずは「社員にたくさん挑戦してください」と指導しなければなりません。

経営者は余程の失敗をしない限りは役員報酬が下がることはないと思いますが、例に挙げた大手企業のように失敗したことによって昇給や賞与が減るのであれば、社員は挑戦に取り組むことはできません。

そこで、説明する際に必要な条件があります。それは社員の評価は成長シートで行い、その成長点数を調整せず、ストレートに処遇を決める仕組みをつくることです。

社員には様々な挑戦をしてもらいますが、その挑戦がうまくいかなかった、つまり失敗したとしても成長点数をマイナスすることはありません。つまり、失敗によって処遇が悪くならないことを明確にしなければならないのです。これによって多くの企業が考えられないほど社員の成長が早まっています。それは社員が沢山挑戦して成長したからに他なりません。

「なぜ挑戦しないのだ」「挑戦してたくさん失敗をしてほしい」。経営者の気持ちはわかりますが、それを受ける社員の気持ちを考えて、挑戦による失敗が処遇に反映されないような仕組みをつくることが必要なのです。



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