第119話 賞与の配分の仕方が社員の成長を左右する

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第119話 賞与の配分の仕方が社員の成長を左右する

2022-07-19

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ある大手企業が、ホームページ上で賞与の配分の仕方をオープンにしていました。そこには「賞与は成果の大きさで配分する」と示されています。この配分の仕方はバブル崩壊の時に問題を発生させた成果主義の考え方のままです。大至急、改革が必要です。

賞与は成果の大きさで配分すると知った社員の次の行動はどうなるでしょうか。全ての社員は賞与をたくさんもらいたい気持ちがあるため、一生懸命成果を上げる努力をすることになるでしょう。企業はそれを狙っていると思います。

社員は成果を上げるための業務を行うようになるでしょう。中でも、成果の高い社員はその業務を優れたやり方で行っています。もっとも、それが優れたやり方かどうかは社員本人も十分に認識していない可能性もあります。

ところが、成果の高い社員が「自分は成果が高いからたくさん賞与がもらえる」と分かると、できるだけ他の社員よりも高い成果を上げた方がいいと考えるようになります。そのため、残念なことに自分より成果の低い社員がいる状態を密かに維持しようと考えるでしょう。

仮に成果を上げるやり方が分かったとしても、それを他の社員に教えてしまえば、自分の成果と他の社員の成果のギャップが少なくなります。極論を言うと全員自分と同程度の成果になってしまうと、自分の賞与の金額は増えないと考えるようになるでしょう。

そのため、明らかに優秀な社員は他の社員に成果を上げるやり方を教えようとはしません。自分がいかに高い成果を上げたかを会社にアピールし、自分だけ高い賞与をもらおうとします。この社員は組織の中で尊敬される社員になれるとは思えません。しかし実際成果さえ上がっていれば、この社員が賞与をたくさんもらうことになります。そして、他の社員より早く昇進昇格するでしょう。

賞与は配分の仕方よりも大切なことがあります。それは賞与の原資を増やすということです。賞与の原資は会社の業績によって決まります。業績が良ければ全社員の賞与が増え、業績が悪ければ全社員の賞与は減ります。

このことを社員に教育しなければなりません。仮に成果を上げている優秀な社員が、そのやり方を全ての社員に教えることができて、全ての社員が成果を上げたとすると、会社全体の業績はとても高くなります。つまり、全社員の受け取る賞与は増えることになります。

そして大切なポイントは、その成果を上げる重要業務のやり方を教えた社員に、賞与をもっとも高く配分することです。そのためには成果の大きさだけではなく、この重要業務の遂行度の違いを明確に評価する仕組みを持たなければなりません。

その仕組みによって、教えた社員がたくさん賞与をもらえたとき、他の社員はそれをどう見るでしょうか。
「あなたが一番高い賞与で私も嬉しい。あなたのおかげで私もたくさん成果を上げることができて、賞与をたくさんもらえた」
教えたこの社員は他の社員から尊敬されることになります。そしていつか上司になって多くの部下を成長させることができるようになるでしょう。

賞与の配分は、その会社の社員がどのように成長するかを決定します。もう一度配分の仕方を見直してください。



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