第115話 人事制度が役に立つ絶対条件

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第115話 人事制度が役に立つ絶対条件

2022-06-21

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人事制度はもともと、社員の評価を決め、昇給・賞与を決めるためにつくられます。上司の評価によって昇給・賞与が決まることを明確にする制度、それが人事制度です。

ところが、実際は多くの企業で人事制度による評価を実施した後に評価調整会議を行い、そこで昇給・賞与の金額を決めています。人事制度による評価はあくまで参考資料にすぎず、実際の金額は会議の中で決めているのです。この段階で(上司の)評価と昇給・賞与の金額は無関係になります。

ここで最も大事なことは、人事制度による評価が昇給・賞与を決めるためのデータとしてほとんど活用されていないことです。これがどれほど大きな問題を起こすか気がついていない方が多いでしょう。

社員は誰しも昇給・賞与をたくさん欲しいと思っています。少なくとも、自分の評価に見合った昇給・賞与を出してほしいと考えているのです。昇給・賞与を決めた最終的な評価を、社員は知りたいと思うでしょう。しかし、上司の評価がそのまま部下の昇給・賞与を決めることになっていなければ、部下はこの上司評価は組織の中で正しい評価であるかどうか分からず、全く自分の成長を確認することができません。

この状態ではどれほど上司が管理者研修を受けてマネジメントスキルを学んだとしても、部下を成長させることは不可能と言わざるを得ないでしょう。自分(部下)がどこまで成長しているのか分かるからこそ、さらに次の成長を考え上司の部下指導を求めるのです。この評価調整会議をすることが、上司が部下指導の力を十分に発揮できない最大の原因です。

社員を成長させたいと考える経営者ならば、まずは上司の評価でストレートに昇給・賞与が決まる仕組みにしなければなりません。そうすることで部下に上司の評価を伝えることができ、そしてそれに基づいた具体的な部下指導ができるようになります。部下はその上司の部下指導を歓迎することになるでしょう。

「上司は今の評価(成長)から次の評価(成長)へ向かって成長させようとしてくれている」。このことを明確にすることが組織に求められています。

上司の評価に甘辛があると考えて経営者が調整したり、調整会議を行なったりしてはいけないのです。上司の評価をそのまま部下の昇給・賞与を決めるデータとして使わなければならないのです。

社員数が少ない頃は、人事制度はなくても社員の評価と昇給・賞与は一致していました。「人事制度が出来てから、評価と昇給・賞与が一致しなくなった」ことは人事の不思議そのものです。

この激動の時代で生き残るためにはこの「評価」と「昇給・賞与」が完全に一致していることが大前提になっています。そうでなければ、社員は成長できません。



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