第111話 ジョブ型雇用に賛成している社員は一人もいない
2022-05-24
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かつて日本では欧米型の「成果主義」を導入して、当初の想像以上に社員のモチベーションを下げました。さらには組織風土を壊した会社もありました。「成果の大きさで賃金を決める」考え方で、成果の低い社員の賃金を下げたからです。
当時、成果主義を導入した大手企業に「成果を上げている優秀な社員」は存在していました。重要なことは、どうしてこの優秀な社員は成果を上げているのか、その行っていることを可視化し、全社員に共有化すること。そして、全ての社員の成果を上げることでした。全ての社員は成果を上げて評価してもらいたいと思っていたからです。
これは企業にとって大事なことですが、それを全く無視し、成果が低い理由で賃金を下げたことで、全ての社員は “あること” を学びました。それは「この会社は突然新しい評価の仕方を導入して賃金を下げる可能性がある」ことです。このことが、社員の新しいことに挑戦する意欲を喪失させました。
今度はジョブ型雇用の導入です。やってもらう仕事の内容によって賃金を決めるのでしょう。成果主義のときと同じように、ジョブディスクリプション(職務記述書)に書かれている仕事をしていなければ、賃金を下げようとしていることは誰の目にも明らかです。
企業は、社員の成長を支援しなければなりません。採用する側も「この会社で成長してください」と話をしたでしょう。採用された社員も「この会社に入社して成長したい」と言って入社したはずです。それにもかかわらず、いつの間にか社員を成長させようとせず賃金を下げようとする企業が増えてしまったのです。
ジョブ型雇用によって賃金を下げることが企業の人事の目的ではないはずです。大切なことは、優秀な社員がいるのであれば、全ての社員を同じように優秀にしていくことが人事部の仕事であり、経営者の責務でもあります。
荒唐無稽な話ではなく、実際の優秀な社員がやっている仕事を、全社員が同じようにできるようにすることは、社員に対する成長支援になります。決して難しいことではありません。
もっとも、新しい考え方なので見直しは簡単ではないかもしれません。しかし優秀になりたいと思っている社員がいる以上、企業の人事部はその努力をすべきだと考えます。
30年前にはバブル崩壊で成果主義を導入し、社員を不安にして成長を押しとどめてしまいました。ジョブ型雇用の導入はその再来だと、社員は戦々恐々としているでしょう。
今、実に100年ぶりの世界の大変革時に、全ての社員には新しいことに挑戦してもらわなければなりません。そのような時代に、会社の人事に問題があれば、社員は挑戦しないでしょう。果たしてそれで企業が勝ち残ることはできるでしょうか。
どれほど環境が変わっても優秀な社員は社内に必ずいます。全ての社員を優秀な社員にするためにはどうしたらよいか、これは決して難しいことではありません。今すぐやってもらいたいのは、我が社の優秀な社員はなぜ優秀なのかを明らかにすることです。それが今後の激動の時代を生き残っていくための大切なポイントです。
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