第108話 消費者物価指数に合わせてベースアップしますか?

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第108話 消費者物価指数に合わせてベースアップしますか?

2022-04-26

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多くの会社が4月に昇給を決定されたかと思います。

連合が4月5日に発表した2022年春闘の中間集計によると、平均賃上げ率は2.11%でした。その賃上げ率には、ベースアップ昇給(定期昇給)の二つの要素が入っています。

ベースアップは「消費者物価指数の向上」「生活レベルの向上」「生産性の向上」「需要と供給の関係」などの理由により賃金を上げます。

基本的に、人口が減っている国は総じて需要が減っていくため、インフレになる可能性はほとんどなく、デフレになる傾向があります。

ところが、昨今の世界的な環境変化によって、30年ぶりと言われるほど日本の消費者物価指数が向上しています。今年いっぱいは物価の上昇が続くと言う話も耳にします。もともとこの30年間、賃金があまり上がっていないことや、物価もあまり上がっていないこと自体、世界的にみたら驚きでしょう。

これからも日本の消費者物価指数が上がっていく場合、今までのようにベースアップをする必要性があると考える経営者が増えてくることでしょう。

しかし、業績が良くなければベースアップはできません。このことを知って頂く必要があります。

万が一、業績が悪いのにベースアップをしてしまえば、会社の労働分配率が悪化することは、火を見るより明らかです。その分、賞与は減らさざるを得ないでしょう。最終的には経営者の判断になりますが、私は成長塾で「ベースアップをするかどうかは、必ず業績を見て判断すること」をお勧めしています。

なぜなら、賃金を上げるためには「昇給」という制度があるからです。成長塾では「会社の業績が良かったら昇給する」という前提で、さらに社員が成長したときに昇給することを仕組み化します。

つまり、消費者物価指数が上がっても、会社の業績が良くなければ昇給のための原資を確保できず、賃金を上げることはできないと、社員に説明することは可能でしょう。社員に「昇給するためには会社の業績が良いことが前提である」と説明することが、今の時代には最も重要であると知って頂きたいと思います。

「社員の賃金を上げたい」という経営者が私のメルマガを読んでいると思います。賃金を上げるための条件を事前に明確にすることはとても重要だと思ってください。

「会社の業績が良い時」、そして「社員の成長(成長等級が昇格すること、社員の成長点数が増えていくこと)」が必要です。この二つの基準によって昇給することを事業のスタート時に説明しなければなりません。なぜなら、ベースアップを含めた賃上げをした企業の情報が流れてくると、当社の賃上げ率が低いことが、社員の不満になる可能性があるからです。

しかし「昇給」だけの賃上げであれば、昇給決定の仕組みをつくれば企業の労働分配率が悪化することはありません。環境が厳しいからといって昇給しなくてもいいと考える社員はいませんので、昇給するために全社員で協力し合って業績を上げる方向に向かっていきます。つまり、経営者の考えと社員の考えのベクトルが一致することになります。

この先の見えない環境だからこそ、昇給を決める仕組みをつくらなければなりません。



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