第104話 なぜ人事制度を自分で見直しできないのか?

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第104話 なぜ人事制度を自分で見直しできないのか?

2022-03-29

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戦後の日本企業は、経営をする中でさまざまな学びを得て、さまざまな経営改善・改革を行ってきました。製造業務や営業業務は、10年前と比べても隔世の感があるでしょう。

全ての経営改善は経営者が陣頭指揮を執り、中核メンバーが実践してきました。現状に合わなくなったものは、その都度見直しをして経営環境の変化に適応させてきました。

営業、製造、工事でも、思ったように成果が上がらなくなれば改善は必要であり、その改善結果をなんらかの数字で確認することを継続して行ってきたのです。

ところが人事業務はどうでしょうか。特に、人事制度は時代にいつも遅れています。

企業経営は経営環境の変化により、さまざまな問題が発生し、その問題を解決することの連続ですが、「人事に関しては特別な分野のため、専門家の手を借りなければ自社の問題を解決することはできない」と考えている企業が多いのです。

例えば、今ある人事制度(一般的には評価制度、賃金制度、昇進・昇格制度)は「全ての企業に使える」と提案されたものを専門家にもらった可能性があります。そのため、人事制度に問題が発生すると、その都度専門家に見直しを依頼しなければならず、自社で変えることができない不思議な状況に陥っています。

さらに、この「人事制度のどこに問題があるか?」が分かる企業自体少ないことも事実です。

私は人事制度の構築や運用の支援をしていますので、企業のさまざまな問題点を伺うことによって、その都度的確なアドバイスをすることができます。もちろん、企業が人事制度に期待している成果を明らかにした上でのコンサルティングとなります。

例えば期待している成果が「定着率を高めたい」場合、どの年代が定着しないのか。「社員を成長させたい」場合は、どの階層、どの職種の社員を成長させたいのか。企業によって人事制度の目的は異なり、コンサルティングする内容も違います。この期待している成果の詳細、つまり人事制度の目的を明確に答えられる企業があまりにも少ないことに驚きの連続です。

全ての人事制度は何らかの目的を持って構築され運用されています。その目的を明らかにしなければ、永遠に見直しができません。そればかりか、自社で現状の問題をタイムリーに解決する方法すら分からない大変な状況になってしまいます。

大手企業が終身雇用の問題や年功賃金の問題を自ら解決できないことがそのことを象徴しています。今後ますます、かつてないほどの大きな変革の必要性が企業に迫っています。それに対応していかなければ存続発展はできません。人事の問題は先送りにはできないからです。

「事業は人なり」です。社員が成長しなければ、事業を継続していくことが難しいと誰しもが分かっています。そのために「事業は人なり」を支える最も重要な仕組みである人事制度を、本来の役割を持った制度に見直すときが来たと考えなければならないでしょう。

人事制度をつくる時に、誰もが「失敗したくない」と思うでしょう。しかし、企業経営においては失敗を恐れていたら改革はできません。
社員の成長のために仕組みを見直すことを明確に伝え、社員と一緒にコミュニケーションを取りながら見直しをしなければならない時が来たということです。

それによって「終身雇用の問題」「年功賃金の問題」「働かないおじさんの問題」も全て解決することができます。



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