第98話 基本給をベースに決める賞与や退職金はとても不公平
2022-02-15
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人事制度をつくった会社、特に賃金制度をつくった会社は、その制度をつくるときに間違ったつくり方をしていることに気がついていない場合が多くあります。
特に賞与や退職金を、基本給をベースに計算している会社は、ある大きな問題を抱えていることに気がついていないため、この問題は現在もずっと存在しています。
日本のほとんどの企業は、賞与の計算や退職金を「基本給」を基にして計算しているでしょう。基本給の構成する項目は仕事給や属人給です。その合計である基本給をベースに、賞与や退職金を計算しているケースがほとんどです。
例えば賞与の場合には、基本給に1か月や2か月掛けるという計算をしているでしょう。退職金は基本給に、勤続年数を基に決めた勤続係数をかけて計算していることが一般的です。このこと自体に問題があるとは誰も思っていないでしょう。
しかし、気づかないままその計算を続けていることでどれほど社員間に不公平を生じさせているか、その事実を知った経営者は驚きを隠せません。
それは、中途採用の賃金の決め方が正しく行われていないからです。
中途社員を採用するときのことを思い出して頂くとよく分かります。優秀な社員を採用したいと思う経営者は、当然ながら優秀な社員には高い賃金を支払ってもいいと思っています。これは通常の考えでしょう。
ところが中途採用の場合、ほぼ100%と言ってもいいぐらいに賃金が払い過ぎになっています。そしてどのくらい払い過ぎになっているかを知らない経営者がほとんどなのです。
ある会社では中途社員Aさんに、基本給30万円のうちなんと5万円を払いすぎていました。この基本給30万円は、本来支給する25万円と払いすぎている5万円の合計で30万円になっていますが、採用時に賃金を30万円と言ってしまった以上、思ったほど仕事ができないからといって25万円に引き下げる交渉をするのは無理です。
ところがこのことを社員に説明することができないまま、夏の賞与を1か月支給したらどうなるでしょうか。基本給の30万円に1か月を掛けて30万円の賞与になります。基本給の中の5万円は払い過ぎですから、賞与も5万円払い過ぎていることに気づいていません。
ただし、ENTOENTO式賃金制度をつくるとこの事実がはっきりと分かります。
そして退職金の計算でもそうです。この30万円の中に仮に5万円の払い過ぎの金額があるとすれば、これに例えば勤続係数20年を掛けて100万円という過払い退職金を支給することになります。
それでいいでしょうか?
払い過ぎていない社員は正しい退職金の支給ですが、この毎月の賃金を5万円払いすぎている社員に対しては100万円多く支給することになります。これではあまりにも不公平です。
もっとも、この事実を知れば経営者自身も納得しないでしょう。
ENTOENTO式賃金制度をつくれば、スグに解決できます。
経営者の考えをそのまま賃金制度にすることにより、払い過ぎている毎月の賃金の問題をどう解決したらいいか明確になり、なおかつこの賞与や退職金の計算も、このような問題のある支給の仕方をしなくてもよくなります。
社員の不平不満を解消することはとても大事ですが、経営者もこういった事実があることを知って経営者の納得する賞与や退職金の支給の仕方へ改善してもらいたいと思います。
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