第60話 どうして話題の「働かないおじさん」が生まれたのか?
2021-04-06
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いつから「働かないオジサン」がいるのでしょうか? 突然、話題になりました。
今、大手企業の3割に「働かないおじさん(おばさん)」が存在していると言われています。それは、その社員の評価と賃金が一致していないことを意味しています。つまり、賃金を払い過ぎているのです。
この問題を解決するために、大手企業の中には「ジョブ型雇用」を導入することを検討、または導入を始めた会社があります。具体的には、この「働かないおじさん」にジョブディスクリプション(職務記述書)を提示し、もしその内容で仕事ができないとすれば賃金をカットすることになるでしょう。
では、この評価と賃金が一致しない状況にいつの時点で気が付いたのでしょうか。
「働かないおじさん」というイメージからはその年齢は50歳以上を想像します。22歳で入社して55歳まで、約30年もの間その評価と賃金が一致していないことに気が付かないでいたのでしょうか。そうは考えられません。現在の人事制度で運用していったら、今この新型コロナ禍での厳しい状況を鑑み、労働分配率の悪化に驚き、どうも賃金に見合った仕事をしていない社員がいることが突然にクローズアップされたのでしょう。
「働かないおじさん」の存在は問題ではあるでしょうが、この問題を今いる「働かないおじさん」の賃金をカットして評価と賃金を一致させたとしても、人事制度そのものを見直さない限りは第二第三の「働かないおじさん」がまた近い将来発生するでしょう。
仮にそれが「ジョブ型雇用」を導入して、職務記述書を作成することで解決しても、それは一時的な解決であり根本的な解決策とはいえません。
ここで問題になるのは人事部の役割でしょう。人事部が持っている期待成果は労働分配率です。中小企業ではこの労働分配率は経営者が常に確認している大切な経営指標ともいえるでしょう。
労働分配率は人件費を粗利益で割って算出したものです。つまりこの問題を解決するためには、人件費をカットするという方向と粗利益を増やすという方向の2つがあります。一番目には粗利益を増やすように会社で指導することが必要なのです。その社員の教育によって粗利益を増やすこと。これが人事部の大切な役割です。
一般的には教育制度ということになるでしょうし、日常における上司の指導の内容、マネジメントの内容、または社員同士がお互いに教え合うという環境を構築することになるでしょう。その根本的な問題を解決しなければ、この問題は繰り返すことになるでしょう。
そうしないためにも今人事部の役割は、社員の継続的な成長を促進する役割と、社員の賃金を常に評価と一致させるという役割、この2つの役割を備えることが必要になったと考えてください。
もし我が社の中に評価と賃金の一致しない人がいたとすれば、それは突然のことではありません。仕組み上そうならざるを得ない人事制度が存在していることを確認し、抜本的な改革が運用規模に関わらず必要になりました。見直しのチャンスですね。
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