第54話 賃金制度の本来の目的とは
2021-02-16
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賃金を上げる賃金制度と賃金を下げる賃金制度、不思議に思う方は多いでしょう。
賃金制度とは、会社の業績と社員の成長に合わせて賃金がどのように決まるのかを説明する仕組みです。
ところが最近、大手企業の「働かないおじさん」の評価と賃金が一致してない問題がクローズアップされています。その解決策として、ジョブ型雇用を導入し、その際に作成するジョブディスクリプション(職務記述書)とその社員の賃金を照らし合わせ、賃金をカットしようとしている会社があるとうわさされるようになりました。
これはバブル崩壊のときの成果主義の再来といえるでしょう。もともと人事制度は社員の成長を支えるために構築・運用されるものです。万が一、社員の賃金カットのためにジョブ型雇用を導入しようとするのであれば、これは片手落ちと言わざるを得ません。
なぜなら、評価と賃金が一致しない状態をつくったのが現在の人事制度だからです。そして、その人事制度を運用しているのは、その会社であることは紛れもない事実です。そうであれば、どうしてその評価と賃金のギャップが生じたのかを明らかにする必要があるでしょう。
そして、その評価と賃金のギャップを埋めるために会社で運用する仕組みが、教育制度です。教育制度が不十分なため、社員の評価が高まらないまま賃金を上げたことになるとすれば、その評価を高めるための教育制度の見直しが至急に求められることになります。もしこの教育制度があれば、働かないおじさんはその教育制度に基づいて努力し成長することになるでしょう。
「働かないおじさん」と言われて、嬉しい顔をする社員はいないでしょう。もっとも自分では働かないおじさんという評価をされてるかどうかも気が付いてないかもしれません。その社員に突然あなたの評価と賃金は一致しないと言われた社員も困るでしょう。なぜなら、「おじさん」と言われる以上は、50代以上の社員であることが想定されるからです。定年まで残り10数年しかありません。
同じことが二度とあってはいけないと思います。この評価制度が、社員がどこまで成長したかを説明することができれば、その不足することを今すぐ教育制度に盛り込んでその社員を教育すべきだと思います。会社で副業を認めることがニュースになっていますが、そのこと以上にこの働かないおじさんを教育する制度を明確にして取り組むことが優先順位は高いです。このような社員を二度と会社では生み出してはいけないと思います。
全ての仕組みは同じ問題を繰り返さないためにつくります。しかし、同じことを何度も繰り返してしまうのは、そのときの問題点が何であるかを明らかにせず、仕組みにして解決してこなかったことが最大の理由です。
今ある問題をひとつひとつ解決することがとても重要です。特に教育制度は、今いる優秀な社員と同じように全ての社員を優秀にするための制度であることが最も重要であり、そしてその教育は我が社の中で完結することを知って頂くことが必要でしょう。
人事制度は4つの制度(成長支援制度、ステップアップ制度、賃金制度、教育制度)が有機的につながっています。一部だけ見直ししてもなんら抜本的な解決にならないことをもう一度確認して欲しいと思います。
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