第50話 高年齢者が活躍できる会社にする方法とは
2021-01-19
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「70歳の社員の賃金をどう決めたら良いでしょうか?」
1月14日の日経新聞に「70歳以上の雇用、企業3割が制度」の記事が掲載されました。70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が21年4月に施行になります。そのため、70歳までの高齢者の雇用が求められることになります。今後は、今回のような相談が増えてくるでしょう。
この相談には大前提があります。この相談をされる企業では、現在在職している社員の評価もできていないおそれがあることです。つまり、評価に基づいて賃金を決められないおそれがあります。
もともと評価は社員の成長のためであり、賃金を決めるためだけにするのではありません。しかし、最終的には成長度合により賃金は違ってきます。現在、70歳の社員の賃金を決める仕組みがない会社は「70歳の賃金をどう決めたら良いか」と相談されますが、70歳の社員だけ賃金を決めようとしても駄目です。
社員の定年時に多くの企業は賃金を下げようとするでしょう。しかし、仮にこの社員が70歳であったとしても、活用している成長シートの成長点数が69歳のときと同じ点数だったらどうでしょう。
例えば、一般職層で優秀な社員がフルタイムで働いて5000万円の成果を上げていて、70歳の社員がフルタイムの半分ぐらいの労働時間によって2500万円の成果を上げていたらどうでしょう。
70歳ですからフルタイムで仕事をしていない可能性があります。このときの生産性の高さは全く同じですので、同じような賃金を支給することが必要になります。もっともこの場合は、フルタイム社員の半分の賃金になります。
現在の65歳以上の社員の評価ができていない企業がほとんどですが、その場合はその社員の賃金を仕組みで決められません。大きな問題になってきています。
もともと社員の成長は4つの要素で確認しています。「期待成果」「重要業務」「知識・技術」「勤務態度」。これは職種や階層に関係なく同じ4つの要素です。この評価の仕組みさえできれば、現在の社員の評価ができると同時に3つの大きなメリットがあります。
それは(1)定年退職時、例えば60歳の時に、賃金を払いすぎることはないこと。そして、(2)60歳の時に賃金の見直しをする必要がないこと。さらにこの社員が元気であれば(3)いつまでも(70歳以上でも)この会社で働けること。会社にとっても大きなメリットです。この3つです。
人生100年時代と言われながら、会社の中で定年退職後も長く働ける仕組みをつくっている企業はあまりありません。社員ごとに個別に決めますが、そこには賃金を決める以上は自分の何を評価されたかが、きちんと明確にされていることが必要です。
定年退職後もお金は必要ですから、お金のために仕事をするという側面は否定できません。しかし、いくつになっても自分の仕事によって社内外の人たちにお役に立つ、貢献することが評価されることは「働きがい」「生きがい」を生みだすと言えるでしょう。
ましてや、60歳過ぎ、65歳の社員にとってみれば、自分が残された人生であと何ができるか、どのような貢献ができるか、常に考えています。この様子は若い世代の社員にとって、とても良い影響を与えることになります。
つまり、人間は何のために働くのか。そして喜びは何なのか。それをこの65歳過ぎの社員、70歳の社員、80歳の社員がいれば、その社員にぜひ我が社の社員へそのことを伝えてもらいたいと思います。このお話を伝えることをためらう高年齢の社員はいないでしょう。
そのような社員を育てるためにこそ、この人事制度は活用されていかなければならないと考えています。70歳の問題ではなく、全ての社員成長のための評価の確認ができる。そして社員の成長に貢献できるような人事制度をつくってください。
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