第47話 人事制度には「あたり前」がつまっていますか?
2020-12-22
最新セミナー情報
お知らせしていた12月開催のオンラインセミナーは、1月開催へと変更いたしました。
楽しみにしてくださっていた皆様には大変申し訳ございません。
セミナーの詳細が決まりましたら、HPでご案内します。
書籍のご案内
新刊発売!(9/18)Amazonで1位獲得!【60分社長シリーズ】最新刊
『中小企業経営者のための、新型コロナ環境に適応し成長するための人事戦略』
その他の著書に関しては、書籍のご案内を参照ください。
※冬期休業のため、12/29の「今週の提言」はお休みいたします。
次回の今週の提言は、2021/1/6に配信予定です。
冬期休業に伴う対応につきましてはこちらをご参照ください。
「高卒社員が入社した4年後に、大卒社員が入社してきました。年齢は同じ22歳ですが、高卒4年目社員が大卒社員に仕事を教えているにもかかわらず、賃金は大卒社員の方が高いという現状があります。これは問題と思いますがどうでしょうか?」
はっきり言って私も問題だと思います。
教えている社員の賃金が低いことはまず考えられません。もし、万が一そういうことになっているとすれば、成長支援制度(評価制度)や賃金制度が問題です。至急、見直しをしなければならないでしょう。
もっとも、この問題にはステップアップ制度(昇進昇格制度)も絡んでいます。
一般的に、4年前に入った高卒社員が標準で昇格した場合に、4年後に入社した大卒社員と比べてどちらの成長等級が高いですか? まず、経営者がその確認をしなければなりません。
私の前勤務先であれば、高卒と大卒両方採用していましたので、この検証を現場でしました。やはり4年前に入社した高卒の方が、大卒よりも仕事ができており、後から入った大卒の新入社員に仕事を教えている現状がある以上は、高卒社員が標準ステップアップした場合、高卒社員の給与はこの大卒社員の初任給を上回るのが普通であると決めました。
もちろん、この成長は成長点数で確認し、そして成長点数によって昇格をしていくことになりますので、高卒で入社した社員全員がそうなるとは限りません。
なぜなら、社員の成長には最短昇格年数で昇格する社員も、標準昇格年数で昇格する社員も、もっと時間をかけてゆっくりと成長する社員もいます。人の成長はさまざまです。そのさまざまな成長に応じて一律に処遇を決めることは、到底無理です。ただし、標準以上で昇格した場合には、大卒の初任給を上回ることが、高卒社員も大卒社員も事前にわかっていなければなりません。
一方では、学歴で賃金を決める会社は割と多いのです。厚生労働省の調査でも学歴で賃金を決めている会社が2割以上あります。
学歴で賃金を決める考え方をしている会社がある以上、それを否定することはできません。それはそれぞれの会社の経営者が考えるべきでしょう。
ただ、この高卒社員が大卒社員に仕事を教えていながら、大卒社員より成長等級が低かったり賃金が低いことを知ってしまえば、高卒社員は今後の40年間の成長に対して半ばあきらめの気持ちを持つ傾向が出るでしょう。それは企業の損失につながると思います。
大事なことは、さまざまな成長に合わせて、処遇は変わっていくことを説明できる会社になることです。
この説明は前もってすることが大事です。前もって説明されていないと、問題になったときにこのあたり前のことを説明するのに相当な時間を要しますし、場合によっては社員が辞めてしまうという最悪の事態も招きかねません。
人事制度は、成長支援制度、ステップアップ制度、賃金制度、そして教育制度も含めて、常に何かを変えるときには全体的に見直しをすることが必要です。いわゆる全体最適を考えなければならないのです。
今回の問題もそのことをしっかり現場で検証してもらいたいと思います。
※ 成長塾についてはこちら ※ 資料請求はこちら ※ 松本順市の書籍はこちら