第34話 企業全体の生産性を上げるためのキーマンとは
2020-09-08
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「先生、なかなか人事制度の構築が進みません。やはり人事制度の構築は難しいのですね!」
このような相談なのか愚痴なのか分からない連絡があります。
人事制度の得意な経営者はどこにもいません。人事制度が得意だから創業した経営者は日本には一人もいません。もっとも世界にも一人もいないでしょう。
ただ、経営者は専門家より評価や処遇を決める経験を持っています。その経験を可視化してまとめる方法が一番人事制度で失敗をすることがない方法であると一貫して説明しています。
ではなぜ、その経営者はその人事制度構築を進められないのでしょうか。
今までの経験上、理由は経営者の生産性の低さにあります。もっとも幹部も生産性が低いのです。
一般的に生産性が高いのは製造職です。そして、一般的に生産性が低いのは営業職です。そしてどの会社でも共通なのは、マネジメント層の生産性が低いことです。特にその低い理由の1つは、生産性を計測しないまま仕事をしていることにあります。
これからは成果を上げるだけではなく、経営者も経営幹部も生産性を向上させるような仕事の仕方をしなければなりません。そのためには、マネジメントの生産性を計測することです。計測するとすぐ分かります。
長く働いているときは残念なことに、経営者本来の仕事をせずにプレーヤーの仕事をしている時間が圧倒的に多いことがハッキリします。
組織拡大につれてそのプレーイングの仕事を、どんどん現場の社員に落とし込んで自分はプレーヤーの仕事をしない工夫は必要でしょう。今までの仕事の仕方の問題点は、生産性を考えないで仕事をしていることにあります。
それは前号で説明しました組織原則2:6:2は、優秀な社員が2割、まあまあの社員が6割、これからの社員が2割いることを示しています。
そのため経営者に共通の認識は、成果を上げている社員がいる一方で、成果の低い社員がいることに悩んでいます。この成果の低い社員がどうも真剣に仕事をしているように見えません。そこで、「根性がない」「やる気がない」と思いこみ、この成果の上がっていない下位の2割の社員に対してあることをします。それが説教です。
説教がマネジメントの一部だとは言いませんが、説教する経営者や経営幹部は結構多いと言えるでしょう。ある会社では幹部が社員を呼んで説教したら、社員がキョトンとした顔で「どうして私は部長に説教されなければならいのですか?」と質問してきました。幹部の返す言葉が笑えます。
「今日は暇なんだ!」
暇だからやる説教は生産性は高いでしょうか。生産性はイメージの話ではありません。何かの成果をこの説教で上げようとしているのです。
社員は成長シートで成長していきますので、この説教をすることによってこの成長シートの何らかの成長要素の成長点数が伸びたときに始めて、この説教は生産性が高いということになるでしょう。
ところが次から次へと話はしますが、いったいどの成長要素を成長をさせたいか、を分からずに話をしているため、説教されている社員もよくわかりません。
そして、30分も話した頃、説教しても何も反応しない社員に幹部が「ふう~」とため息をついたときに、その説教をされていた社員が慰めるのです。
「部長、そんなため息をつかないでください。私もこれから少しは頑張りますから」
生産性が低いのが説教です。経営者の仕事、幹部の仕事はこのように下位の2割の社員を説教することではないのです。上位の2割の社員をもっともっと成長させること。そしてそれを成長シートに可視化し、8割の社員がその成長の目標に向かうことです。
この成長シートをつくるために、優秀な2割の社員をますます成長させること。この2割の社員が成長して、また成長シートが変われば、会社全体の業績がどれだけ変わるか想像はつくでしょう。
生産性の計測は社員の伸びた成長点数がいいです。その向上のためにマネジメントの時間を上位の2割の社員の教育に使ったら、どれほど業績が上がるか、想像が簡単にできるでしょう。
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