第28話 人事制度は作り方や内容より目的がとっても重要
2020-07-21
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私が人事制度の仕事に関わり始めたのは43年前です。当時からさまざまなセミナー・研修に行って人事制度を勉強しました。当時からも人事制度の書籍があり、たくさん読んで学びました。
そこでハッキリ分かったことは、「人事制度の目的は賃金を決めること」です。その目的のために、さまざまな論者の決め方がありました。その報告を社長にする度に「どれを選ぼうか」と悩んでいました。通常、経営者はこの選択をして失敗します。
元々、中小企業の経営者は「賃金を決める」という悩みの前に、もっと大きな問題を抱えています。それは社員の成長です。大手企業の経営者も悩んでいるでしょうが、その悩みの大きさは桁違いです。
中小企業に入社する社員で、「この会社で成長して、いつかは幹部になろう」という気概を持って入社する方はそう多くないと、(申し訳ありませんが)思っています。
ところが、その社員を迎え入れる中小企業の経営者は、「何かの縁で入社したその社員を、大事に成長させ、いつかは幹部・管理者にしよう! 」と考えています。40年前に人事制度をつくり始めたとき、このギャップがとても大きかったことを、今でも覚えています。
中小企業の経営者の悩みは、「社員を定着させ、そして成長させたい」でした。そのためにいろいろな研修に、限られた利益の中で社員を参加させる経営者を、垣間見てきました。
教育には苦労します。優秀な社員がいないと嘆いている経営者が多いでしょう。しかし、よく考えてみたら中小企業にも組織原則2:6:2があります。上場企業にも同じように2:6:2があります。つまり、優秀な社員が自社内にいるのです。
そうであれば、今我が社にいる優秀な社員を可視化して全社員に示すことが、最も簡単に社員を成長させる方法だと、40年前に気が付きました。その考えをベースに仕組みを作っていきました。
「我が社に優秀な社員がいるのなら、私も優秀になれる」と全社員思います。そしてその通り当時の社員は優秀になっていきました。今まで社員が優秀になれなかった理由は、何をしたらよいか分からなかった。たったそれだけです。
もっともそれだけなのに成果の低い社員に対して「やる気がない、根性がない」と思ったときもあるでしょう。これからは大丈夫です。昔から「若い社員は根性がない」と言ってきたのです。それは、今も昔も変わりません。ただ成果の上がらない社員は、何をしたらよいか分からなかった。これが一番の問題でした。
それを「成長シート」にまとめ示すことによって、社員は成長しました。社員が成長したら業績が向上したのです。業績が向上したら、経営学上は「めでたしめでたし」で終わりでしょう。
ところが、成長塾に来られた経営者は全員同じことを言っていました。「業績が良くなったので、その分を社員に昇給・賞与として支給したい」。私は驚きを隠せませんでした。大学で学んだ経営学とは違った行動をとる経営者。私にとっては驚きの、素晴しい経営者です。
「昇給・賞与を正しく決めたい」という人事制度から、「社員を成長させて昇給・賞与を今まで以上に出してあげたい」という人事制度。まったく目的が違います。この目的で人事制度をつくれば、社員から不平不満が出ることはありません。
ジョブ型雇用のように、優秀な社員だったらたくさん賃金を出す。その通りでしょう。でも、中小企業は社員を育て上げてたくさん賃金を出してあげるのです。このことを仕組みにして、大いに社員に発表してもらいたいと思います。そのとき初めて、「自社は良い会社」ということが分かるのです。「自社の経営者は素晴らしい経営者である」ことが分かるのです。
それまでは、決して中小企業の経営者は素晴しい経営者だとは思われていない現実があります。早く、全ての社員に真実を知ってもらいたいと思います。
社員はますます成長します。
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