第11話 早く気が付いて欲しい、大きな労働力の存在
2020-03-17
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「松本先生、募集をかけても応募がありません。やはり賃上げをするしかないのでしょうか……」
そんなご相談が多くなっています。労働力不足は今や企業の存続を揺るがしかねない深刻な問題です。
ただし、労働力不足だと悩む経営者に次のように質問すると、必ずと言っていいほど同じ答えが返ってきます。それは、
「女性が活躍できる制度がありますか?」
「いいえ……」
前回は65歳以上の社員の積極的な雇用についてお話をしました。労働力不足になった日本で、考えなければならないことがあります。それは女性の雇用です。
ここでの女性とは、ご主人の扶養に入っている女性のことです。税法上の制約があり、女性が結婚後に家庭に入ってしまうと元のように正社員として活躍することが難しくなってしまうことはご存じの通りです。そう遠くない将来、これは国を挙げて見直ししなければならないことです。
そして、企業として取り組まなければならないことがあります。それは、女性が活躍しやすい制度をつくること。これがとても重要です。
多くの女性は結婚した後、出産が近づくと産休に入ることになります。その次は育休を取るでしょう。これは法律が整備されています。ここまではご存じの通りです。
ところがその後が問題です。お子さんが小さいときには正社員と同じ雇用条件で仕事ができません。そのため退職せざるを得なかった女性もいるでしょう。そのような方も、育休後に職場復帰した方も、子供は保育園児・幼稚園児・小学生・中学生・高校生と成長します。その子供の成長に合わせて自分の時間が徐々に増えたら、その都度の雇用条件の変更を願い出ても、その対応の仕組みはほとんどないといえるほど、企業の人事制度が詳細に整備されていないのです。
2019年金融庁の審議会の幻の報告書によって、65歳以上のサラリーマンのご主人が定年退職したときに、夫婦2人がその時点で必要な貯蓄額が2,000万円と話題になりました。正確には2,000万円なのか、4,000万円なのか、6,000万円なのか、それは人によって違いはあるでしょう。しかし、そこには1つの前提があることを誰も触れていなかったことに私は驚いています。
その前提とは、女性が専業主婦であることです。
仮にこの女性が専業主婦ではなく、社員として働いていたらどうでしょうか。ご主人も20万円の年金、奥様も20万円の年金。合計40万円あれば2人の65歳以降の生活は安心できるものにならないでしょうか。
そのような理由もあり、働きたいと考えている女性は多いでしょう。その働きたい女性社員に対して、どのように評価や処遇を決めるか、人事制度を整備していますか?
女性社員の成長の確認はとても簡単です。成長シートがあれば十分です。
雇用条件は女性社員によって、異なるでしょう。
○朝早く出勤できない
○夜遅く仕事はできない
○深夜の仕事はできない
○残業はできない
○会社と違った曜日で休みが必要である
○勤務地が限定である
○職種が限定である
……様々な雇用条件の違いが出てきます。
この雇用条件によって賃金が違うことになります。
つまり、成長や仕事の状況によって支給する成長給を1種類つくったとしても、雇用条件によって様々な成長給表をつくる必要があるということです。
すでに当社のコンサルティングでは総合職と限定職、最低2種類の成長給表をつくることをおすすめしています。これを5種類……10種類……と増やしていけばいいのです。もしこのように雇用条件によって成長給が異なることを事前に説明されたら、女性社員は笑顔で選択ができることになります。これはもちろん、女性に限ったことではありません。男性も育休に合わせて雇用条件を選択できるようになります。
選択できる。これがとても大切です。現在の成長段階(成長点数)はどうなのか、どのような雇用条件で仕事をしたいのか。異なる要因ごとに別個に処遇を決められるようにしておかなければなりません。
この人事制度ができている会社は、どんどん女性社員が活躍する会社になるでしょう。これができていない会社は、女性社員一人一人と個別交渉で金額を決めることになり、それが理由で問題が発生します。結果として女性社員の定着率が高まりません。
これは事前に分かっていることですから前もって対策を立てることです。女性社員が元気に働ける人事制度をつくってもらいたいと思います。
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