第7話 間違えてはいけない 賃金制度をつくる目的とは

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第7話 間違えてはいけない 賃金制度をつくる目的とは

2020-02-18

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「先生、社員のやる気を上げるにはどんな賃金の決め方をしたらいいでしょうか」

賃金でやる気をアップさせたい。過去40年、私が人事制度の構築に携わってきた中で、人事制度づくりに取り組んできた経営者の最大の目的が実はこれでした。

どう賃金を決めたら最も社員のモチベーションが上がるのか。そのための方法論は様々ありました。そしてそのようなセミナーや研修で勉強すればするほど、「どれが良いか」「自社に合っているのはどれか」とその中から選択することを考えるようになります。これが人事制度を失敗する最大の理由です。

なぜなら、「会社の業績を向上させるために一番重要なのは社員のやる気。そしてそのやる気を出させる最も簡単な方法は賃金である」と多くの経営者が勘違いをしているからです。そう、賃金によってやる気を出させることができると勘違いしているのです。

そして専門家の言っていることを鵜呑みにし、こんな発言をしてしまう経営者が多くいます。

「この会社で頑張った社員には頑張っただけ賃金をたくさん出す」

この発言を聞いて、おかしいと思わない経営者は人事制度に失敗します。

これをその通りに行えば、社員の約8割はやる気を落とします。なぜなら、1人を除いては誰かと昇給・賞与を比べたときに、金額が低いからです。

例えば賞与を支給した後で、社員は経営者のいないところでお互いの金額を見せ合っています。その見せ合った後で気づくのは、自分は誰かと比べて低いということです。誰と比べても自分のほうが高い、というのはたった1人です。それ以外は誰かよりも低いということになります。

自分の賞与の金額を見て誰かよりも低いということは、私はこの会社では誰かよりも評価をされていない、やる気をもって仕事をしていないと言われたのと同じです。

「こんなに頑張ってきたのに私は○○さんと比べてやる気がないと評価された……」

そのことに憤りや悲しさを感じるでしょう。しかもそのことを訴えたとしても会社が金額を変更することがないとすれば、残念ながらやる気を落とすことになります。

これが、社員のやる気を高めようという目的で賃金制度を導入したために起こる失敗です。人事制度で失敗する企業の失敗の大きな理由です。この理由を知らない経営者が多すぎます。

全社員のやる気を向上させたいのであれば、賃金の話をしないことです。賃金で40年間継続してやる気を出すことはできません。

第一、全社員に次の質問をしてみてください。

「この会社で皆さん、優秀だと褒めてもらいたいですか?」

この経営者の質問に全社員が「はい」と答えるでしょう。だから今もこの会社で頑張って仕事をしているのです。では、どうして優秀だと褒めてもらいたいはずなのに、成果が低い社員がいるのでしょうか?

それは、成果を上げるためには何をしたら良いのかということが指導されていないからです。

「まさか!」

と思われるかもしれませんが、これは紛れもない事実です。

では、全社員を優秀にするためには、何をしたら良いかを可視化することです。それによってこの会社にいる全ての社員が、その会社の優秀さ(ゴール)に向かって進むことになります。その成長の評価があり、そして成長によって昇給・賞与が段々と増えていくことを可視化したらどうでしょうか? 誰もやる気を落とすことはありません。そして、誰かを蹴落としてまで高い評価をされようとは思いません。そんな会社こそが業績が高いのです。

この事実、40年以上経っても全く変わっていません。その事実を、あなたにお伝えしたいと思います。

1つ、賃金制度のつくり方で言えることがあるとすれば、賃金制度は社員に40年間の安心を与えることができるかどうか」でつくらなければならないのです。そしてそれは、これまで経営者が決めてきたやり方をもとに、賃金制度をつくること以外にはありません。

現在、「人事制度」と検索すると「社員の成長、そして社員の成長による業績の向上」という結果が表示されることが当たり前になりました。26年前に私が提唱したことが当たり前になったのです。しかし、まだまだ「賃金でやる気を上げられる」と誤解したままの経営者が少なくありません。

あなたはこの賃金でやる気アップ!という悪しき慣習から抜け出せますか?

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人事制度は、絶対失敗できません。



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