第46話「止めましょう、社員を不幸にする歩合給制度」
2019-07-22
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かんぽ生命保険の不適切な保険販売が発覚し、改善策を発表したニュースが日本全体を駆け巡りました。元々イメージの良いこの会社で起きた今回の問題は、非常に違和感を持って受け止めた人が多いでしょう。
この問題発生の可能性を成長塾でも説明してきましたが、今回の問題は起こるべくして起きた問題であり、その責任は経営陣が取らざるをえないと言えるでしょう。
かんぽ生命保険では入社3年目から給与が歩合給になると言われています。歩合給は、自分の売上に合わせて収入が増えます。その点では公正・公平であると言えるかもしれません。
しかし、この自分の収入を増やそうと思った社員がどんな行動をとるか想像がつきます。
それは自分の仕事を通じて、お客様や世の中に大きな貢献をするという役割を担っていることを忘れ去り、自分の歩合給を増やすためだけに仕事をするようになります。
そのため、お客様に迷惑をかけるばかりか、社内の雰囲気は悪く、離職率が高くなります。
歩合給制度がとてもいい賃金制度であるとすれば、組織風土は良くなり、定着率も良くなり、社員も元気になります。結果としての会社の業績も良くなり、誰もが困らない制度であるはずです。
ところがそうはならずに歩合給を採用している日本のあらゆる会社で同様の問題が生じてきました。
今回は、この問題を経営トップが謝罪しましたが、大切なことは今すぐ歩合給制度を止めることです。そして歩合給の高い社員のやっていることをすべての社員に成長シートで共有化をすることです。
共有化された社員は成長し、その高い成果を上げるやり方を教えた社員はさらに高い評価になり、いつかその教えた社員は中堅職にステップアップするでしょう。
上司になったその社員は、現場でやっている成果を上げる優れたやり方を部下に教えることによって、部下の成長を促進する素晴らしい上司として活躍することは間違いありません。
社員に成果の高いやり方を教えた社員が上司になることによって、すべての社員はその社員を尊敬し、「いつかは私もそのような上司になりたい」と思うようになるでしょう。
もともとこの歩合給という賃金制度は、日本には合いません。それは日本では優秀な社員は中堅職に卒業方式でステップアップするからです。
そしていつかは優秀な中堅職の社員がステップアップして管理職になるからです。その時にこの社員の賃金は最も高くなります。
その時の収入は不安定な歩合給という賃金ではありません。世の中に最も大きな貢献をする管理職のときに最も高い収入になると説明ができます。そのような会社になればこの問題は全て一気に解消することになります。
長い間、その歩合給に慣れ親しんできたという思いはあるでしょう。しかし、これからの日本では生産性が求められます。休みを削り残業して成果を上げている歩合給の社員から、生産性を上げて成果を上げるやり方に変えることになります。
私たちはこんな大きな問題を確認しながら、時代の流れに対応する経営者の考え方を可視化した人事制度へと大きく舵を切る時が来たといえるでしょう。
多くの経営者がそのことに早く気が付いてもらいたいと思います。
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