第43話「リスクのない賞与決定の仕方」

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第43話「リスクのない賞与決定の仕方」

2019-07-01

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もうすぐ賞与の時期がやって参ります。経営者にとってとても頭を悩ませるのは、賞与支給合計額(賞与原資)の決定です。

ある経営者は一週間も過去半年間の業績とにらめっこをし、足したり、引いたりを繰り返して賞与原資の計算をしています。

なぜこんなことをするのか。それはこの時期の社員からの質問が心に刺さるからです。

「社長、もうすぐ賞与の時期ですね。楽しみにしています」
「社長、生活がありますので、賞与はたくさん出してください」

このような質問を受けると、経営者は、やはり最低でも昨年と同じ賞与の支給金額にすべきか、と迷いが出てきます。

しかし、業績と関係なしに経営者が賞与を維持したり、増やしてしまったりすれば、社員は業績に全く関心を持たなくなってしまいます。そのような事例を何百社も見てきました。

最もリスクのない賞与の支給の仕方は、あらかじめ賞与原資の計算式を社員に示すことです。

多くの経営者は社員にこうお話しているでしょう。

「業績が良かったら、賞与をたくさん出します!」

残念ながら、この発言を信じている社員は誰もいません。特に優秀な社員は信じていないでしょう。なぜなら損益計算書を見れば、社長の言っていることがあり得ないと分かるからです。

損益計算書では営業利益の上に賞与があります。つまり、賞与を500万円支給すると、営業利益が500万円減ることになります。

仮に、このときの賞与を0円にしたら、500万円が営業利益に加算されることになります。

業績が良いということは、営業利益が良いことです。この考え方から推察すれば、賞与は少ない方がいいことになります。

このとき、営業利益の○%を賞与原資とする、と説明していたらどうでしょうか。社員にとってみれば、先ほどの疑問が解消されることになります。

営業利益が多ければ多いほど、賞与が増える。そして、賞与の原資が増えるので、全ての社員が一緒に喜ぶことができます。

この支給の金額は、過去の賞与原資の分析をすると、間違いなくその割合が導き出されます。そして、その賞与支給のリスクは全くないと言って良いでしょう。同時に経営者のストレスもありません。

この賞与原資の計算式を何百社と作成してきました。

「今まで賞与の金額は勘で決めてきました!」

と豪語していた経営者の分析をしたところ、やはり賞与原資をある一定の割合で支給していました。このことに経営者自身が驚かれます。

このリスクのない賞与の支給の仕方を確立し、事業年度の最初に社員に説明してください。

社員は全員、たくさんの賞与が欲しいと思っています。

経営者も、社員にたくさんの賞与を支給したいと思っています。

そのためには、どうしてもこの賞与原資の計算式を前もって発表することが大事です。

経営は大きなリスクを抱えることはできません。この計算式を示すことはリスクヘッジになるばかりか、社員が業績を高めることにとても関心を持つようになります。さらに、業績によって賞与原資が増えても減っても社員が経営者に質問することはありません。強い社員にすることができます。



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