第3話 後継者がいる会社の人事制度構築のキモとは
2020-01-21
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昨年のセミナーでこんな質問を頂きました。
「人事制度をつくろうと考えています。後継者につくらせるのはどうでしょうか?」
実は、セミナー会場でしばしば頂くご質問です。
「後継者のほうが様々なことを学んでいるから、人事制度をつくるにはふさわしい」と感じている経営者が多いようです。
特に創業経営者ほど「前へ前へどんな逆境でも開拓するのは得意だけれど、何かをまとめたり仕組みをつくったりするのはちょっと……」と苦手意識を持っている傾向があります。だから「人事制度づくりは後継者のほうが得意かもしれない」と後継者に任せようと考えるのです。
しかし、それが失敗の原因だったことに気付くのは、残念ながら失敗した後です。
なぜ失敗するのか。それは人事制度に正解などないからです。
ほとんどの経営者がどこかに正しい人事制度があると考えています。正しいというのは、どの企業でも、業種、業態、従業員数に関係なく使える人事制度だということです。
「自分は評価や処遇に自信がない。そこで、後継者に正しい人事制度を学ばせてつくらせるのがいい」
これは人事制度とは何かを知らないからです。
人事制度の目的の一つは、評価と処遇を決めることです。
評価とは経営者が褒めてきたこと・叱ってきたことであり、これまで褒めた回数が多い社員ほど、処遇を良くしてきたでしょう。
全社員の褒めることを多くする、つまり成長させてすべての社員の処遇を良くしようとしてきたはずです。
その経営者の行動の結果が現在の社員の成長です。
このことを最も分かっているのは、経営者でしょう。
何を褒めてきたのか、どのような社員を優秀だと考えてきたのかは経営者によって全く違います。何を褒めてきたのか、それを知っているのは経営者本人以外にいません。
私は人事制度構築実績数は日本一のコンサルタントですが、私でも経営者一人ひとりが何を褒めているか皆目見当がつきません。
そのため、後継者が経営者に話を聞かずに人事制度をつくったらどうなるでしょうか。
評価する対象(成長要素)が全く変わってしまいます。
これが怖いのです。
たとえば、人事制度の中の成長シートは、経営者が現在優秀だと考えている社員が成長点数80点を取れるようにつくるのが正しいつくり方です。これを後継者がつくると、現在の優秀な社員が50点の点数になる成長シートをつくってしまうことがあります。
これでは優秀な社員はたまったものではありません。その中には現在の幹部社員も含まれていることがあります。
「後継者だからわかるだろう」
これは後継者にはとても辛い言葉です。
よく経営者が口にする言葉ですが、人の頭の中などわかるはずがありません。
後継者がつくったことによって、幹部社員や優秀な社員が辞めたという失敗事例を何度も目の当たりにしてきました。それは、後継者の失敗ではありません。残念ですが経営者の失敗です。
もちろん経営者は人事制度を可視化する仕事が得手なわけではありません。
ただ、経営者が何を評価しどのように処遇を決めてきたかを、可視化してつくる以外に成功の方法はありません。
後継者がつくるのであれば、その隣に経営者が必ず一緒に座り、これまでどう評価してきたのか、どのように処遇を決めてきたのかを後継者に伝えてください。
後継者に人事制度を丸投げしてしまって、大変な思いをしている会社が多いという事実を知っていただく必要があります。
最近、感じる最も気を付けなければならない点です。
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