第28話「目標管理は成長シートで実施する」
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どの経営者とお話をしても、社員の目標の低さを嘆いています。
「どうして社員は高い目標を設定しないのか?」
決してその理由は難しくありません。「達成率」で社員の評価をしているからです。当然ながら高く評価されたいと思う社員は、目標を低く設定します。
この目標の低い社員が、会社に入ってきた理由は何でしょうか。入社するときには、この会社に入って大きな活躍をしたいと思っていました。全員です。ところが、この会社が社員を評価するときの要素が達成率であれば、高い目標を設定しないのは当然と言わざるを得ないでしょう。これでは社員は成長できません。しかし、すべての社員が高い目標を設定する方法があるのです。
それは、社員の成長の理由を説明することです。
優秀な社員をモデルにしてつくった成長シートは、優秀な社員が高い成長点数になります。早晩この社員は、優秀だという評価を経て中堅職層にステップアップしていくことになるでしょう。
中堅職層にステップアップする社員の成長点数がこの会社で80点以上と設定されているとすれば、当社に入社した全社員の目標は、成長点数80点を取ることになります。決して会社のための目標ではありません。この会社で自分の成長のための目標を設定するのです。
通常、一般職層を卒業して中堅職層にステップアップするには10年前後の年数が掛かるでしょう。ところが、この成長シートで成長点数80点を獲得することが成長の目標であると分かった社員は、入社したばかりでも全員80点の目標を設定します。そのため、成長点数80点獲得と目標設定した社員に上司はこう伝えるでしょう。
「1年で80点取ることは無理です」
しかし、それに対して部下が次のように答えたらどうでしょうか。
「私は早く優秀な社員と言われ、一般職層を卒業したいと思っています。この高い成長点数を目標にすることは問題でしょうか!」
こう部下に言われたら、上司は否定することはできないでしょう。いいんです。本人が自ら高い目標を設定するのであれば、それこそが目標管理の一番大事なポイントです。
社員が高い目標を設定しない限りは、すでにスタート段階から目標管理は死んでいます。やっても意味がありません。時間の無駄と言わざるを得ません。いや、社員の成長を阻害します。社員の成長の意味を知らせるためにも、この成長シートは必要であり、成長シートを使った目標管理は、すべての社員に高い目標を設定させることになります。
そしてすべての目標管理を実施している会社に共通なことは、実は、目標達成率で昇給・賞与を決めている会社は存在しないことです。実際に社員の処遇を決めているのは、実はこの成長点数です。高い目標を設定した社員はこの成長点数が高くなり、それに伴って昇給・賞与は徐々に増えていきます。しかも簡単に決めることができます。
この簡単な目標管理をするためには、大切なツールである成長シートが必要です。逆に成長シートをつくって目標管理をした経営者は驚くでしょう。
「なぜ社員は高い目標を設定するのか!」
それは入社のときに本人が言ったとおりです。
「私はこの会社で成長したい!」
そのように宣言して入社したこと、そのことを実現しようとしているだけです。
社内で問題があったときにそれを叱るよりも、何か社内に問題がないか調べることです。その問題解決によって大きな効果を得ることができるでしょう。
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