第9話「成長シートは運用してから完成する」
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人事制度の運用とは、人事制度をすべて作成し、同時に運用することになります。例えば「評価制度」と「賃金制度」は一体ものであり、人事制度を導入するときは、一緒に導入することになります。
ところが社員の立場でその評価シートを見ると、納得できないことがたくさんあります。分からないこともあるでしょう。
しかし社員はこの人事制度に関する質問は許されないと思っています。なぜなら、この評価シートによって昇給・賞与を決めると宣言してしまったからです。今更その評価シートを変えることはできません。つまり、社員の評価シートに関する疑問を解決しないまま運用を始めることになります。これではもうすでに評価制度は失敗しています。
考えてみればわかる事です。社員が納得できない評価シートを見て、「もうこの会社は頑張っても認められない会社になってしまった」そう心の中で思ったら、この社員は今まで100%で頑張っていましたが80%、60%とモチベーションがダウンしていくことは間違いありません。ほとんどの会社でこの残念な状況にあることに気が付いていません。
一番人事制度で重要なのは評価シートです。もっとも当社では「成長シート」という言い方をしていますが、評価シートとは根本的に異なります。社員を成長させたい経営者が優秀な社員をモデルに作成します。
最初の「成長シート」の完成度は60%です。私が訪問コンサルティングでお手伝いしても、やはり60%以上の品質になることはないのです。
そしてその成長シート運用を始めていく中で、社員からの様々な質問を受けてもらいます。その質問に答えながら、または疑問に答えながら、ときには問題であることが分かれば成長シートを見直します。社員のために作った成長シートですから、まずは社員が納得しなければ意味がないのです。
そのようなやり取りをしていくと、いつか社員はその成長シート、成長点数に納得するようになります。それも全員です。
この頃から社員はあることを発言するようになります。「この成長点数で昇給・賞与を決めてもらいたい」こうなれば賃金制度はその成長点数によって決めることができることになります。
成長点数に納得した社員はこの昇給・賞与にも納得します。人事制度に成功したければ、この順序です。評価に納得できない社員が昇給・賞与に納得することはまずありえません。
成長シートを作ったら社員とこの成長シートでコミュニケーションをしてください。問題をどんどん聞いてください。疑問にどんどん答えてください。問題があれば見直しをしてください。
やがて成長シートの品質が100%になります。運用してから成長シートが完成することになります。
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