山陽パッケージシステム株式会社様(包装物流業 広島県)

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山陽パッケージシステム株式会社様(包装物流業 広島県)

事業拡大による従業員の増加への対応と大手企業のブランド力に対抗するため、成長塾を受講し人事制度づくりを学ばれた山陽パッケージシステム株式会社 代表取締役 小林 大敏氏に、その経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
社名:山陽パッケージシステム株式会社
所在地:〒720-2113 広島県福山市神辺町旭丘50(神辺工業団地)
代表者:代表取締役 小林 大敏
資本金:4,300万円
設立:1977年2月
社員数:90名(契約社員・パートを含む)
事業内容:包装物流に関して、重包装から一般段ボール包装を含む化粧箱、化成品、諸資材の設計開発・製造・販売、その他CAD/CAMシステムによる包装・物流に関するコンサルティングサービス、前各号に付帯する一切の業務
URLhttps://www.sanpake.co.jp/

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1.包装物流を企画、設計、製造、納品までワンストップで提供

――山陽パッケージシステムの会社概要をお聞かせください

当社はお客様の大切な製品を守るため、包装・物流システム全体の問題点を正しく把握し、梱包形態、輸送方法、保管を勘案したうえで最適な素材、最適な形状を設計し提案する包装物流の会社です。お客様の大切な製品は大きさや形が異なり、さらに輸送方法もトラックや貨車、航空機などさまざまで、梱包物流のスタイルも多種多様です。そこで当社は、お客様のご要望をヒアリングし、企画から設計、製造、納品までワンストップで提供できる体制を構築しました。この体制を基盤に品質の維持、作業性の向上、資材の削減、環境負荷の低減、誤包装の防止などを考慮したうえで、段ボール、樹脂、木材、金属から最適な梱包素材をご提案させていただいております。結果、全国より多くのお客様から「包装物流のことなら山陽パッケージシステムに」とお問合せをいただける会社へと成長することができました。

広島県福山市の本社工場

お客様はものづくりを手掛ける大手企業が大半。近年は自動車部品メーカー様とのお取引が増加しており、本社工場がある広島県福山市だけでなく、2014年からは埼玉県幸手市に埼玉工場を建設して包装物流を展開しています。2023年は愛知にも営業所を開設、さらなる事業の拡大を目指しています。社会に必要とされる会社となるため、これからも進化を続けていく所存です。

――小林社長が山陽パッケージシステムに入社された経緯をお聞かせください。

山陽パッケージシステムは、1977年に私の叔父が創業した会社です。学校を卒業する前から叔父には「会社を継いでほしい」と声をかけられていましたが、卒業後はとりあえず大手素材メーカーに就職。サラリーマンを続けつつも、「一度きりの人生だし、自らチャレンジできる環境で仕事がしたい」と思い、1992年に山陽パッケージシステムに入社しました。

当時の山陽パッケージシステムは自社工場の生産能力が低く、製造のほとんどは外部の協力工場に依頼している状況。売り上げは2億円ほどでした。そうしたなかで営業を中心に会社で実務経験を積み、2002年に事業承継して山陽パッケージシステムの代表取締役に就任しました。

2.従業員の働き方を定量的に評価できる人事制度が必要

――成長塾を受講された背景をお聞かせください。

大きく2つありました。1つ目は会社が成長し、規模が大きくなってきたことです。代表取締役就任当時はパートを含めて20名程度の会社でしたが、その後、約10年がむしゃらに走り続けた結果、気づくと従業員50名ほどの会社になっていました。ただし、業務をこなすことで精いっぱいだったため、この規模でも管理部門はありませんでした。しかも、給与計算は相変わらず私が鉛筆なめなめで行っている状況。正直、私一人で人事全般を見るのは厳しい状況と言わざるを得ません。そこで、人事制度の導入が必要だと感じるようになりました。

2つ目は大手企業のリクルートで従業員が引き抜かれてしまうことです。大手企業は繁忙期に入ると数百名単位のリクルートを実施。その際、当社の従業員も大手企業のブランド力に惹かれて転職してしまうケースが多々ありました。当社としては大事な人材を取られてしまうのは大きなマイナスです。そこで、たどり着いたのが人事制度です。従業員の働き方を定量的に評価し、働きに見合った処遇(昇給・賞与)を与えることができる人事制度が当社にあれば、人材の流出を防げるかもしれないと考えるようになりました。

――成長塾の受講に至った経緯をお聞かせください。

さまざまな本などを参考に、人事制度の導入に取り組みました。まず、大手企業4,000余社を指導し、超優秀企業を数多く育てた方の本を参考にしました。実際、導入を試みようとしましたが、すぐに合わないと判断。数万人規模の大手企業が求める人事制度と、当社のような数十名の中小企業が求める人事制度では根本が大きく異なっていました。

ライン化により効率性の高い生産が可能。5S運動により、工場内の清掃も行き届いています

そんなとき、知り合いから偶然松本先生の冊子をいただきました。タイトルは覚えていませんが、書かれていたのは松本先生が提唱する人事制度の手法でした。読み進めるなかで「これだ」と電気が走りました。とくに松本先生が言う業務の可視化は、今でこそメジャーになりつつありますが、当時は新鮮そのもの。すぐに詳しく知りたいと思い、2012年2月に経理を担当している妻と一緒に成長塾を受講しました。

3.受講後すぐに仮運用から本運用へ

――人事制度の運用状況をお聞かせください。

受講の半年後には、成長塾で学んだ人事制度を仮運用で導入。2015年からは、給与と連動した本運用を開始しました。大変だったのは、やはり成長シートづくりです。当社の場合、営業部、営業企画部、製造部、業務部、総務部、経営企画部の計6つの部門に一般・中堅・管理職という階級があり、それぞれに成長シートを作成しなければなりません。単純に計算して18種類の成長シートが必要になります。

さらに、会社が求めるものと従業員が行う業務のベクトルを合わせるため、毎年、成長シートのブラッシュアップが必要です。加えて、成長シートは社会情勢や会社の現状に則したものでなければならないと考えています。実際、少しずつ会社の業種業態も変化していますから、そういった部分も加味して成長シートを更新しています。

フィードバックと成長支援会議は、現場が忙しいため、どちらも年2回行っています。松本先生が推奨する年4回は難しいですが、フィードバックと成長支援会議を繰り返すことによってPDCAが回りますから、従業員の業務への取り組み方が変わってきたと感じます。とくに「給与水準を上げていこう」という雰囲気が会社のなかに漂い始めているのは良い傾向だと思っています。

――人事制度導入後の定量的効果をお聞かせください。

2015年4月~2016年3月をBefore、2022年4月~2023年3月をAfterとし、人事制度導入直後と直近を比較した定量的効果を以下に示しました。ご覧の通り、売り上げはもちろん、すべての項目で数字が向上。今期の売り上げ目標は19億円に置いています。

4.成長支援制度を仕組み化し、従業員の成長を後押し

――人事制度の導入で効果を感じるところを教えてください。

主には以下の2つで効果を感じています。

<定着率の向上>

もともと従業員から不平不満が出るような会社ではありませんでしたが、人事制度導入後は、明らかに定着率が向上しました。それは、人事制度が従業員に納得感を与えつつ、成長を促すことができるからだと考えています。例えば、入社して2~3年も経過してくると先輩風をふかし始めるというか、存在感を出してくる従業員がいますが、そんなときは成長シートを通じて可視化された勤務態度や業務への取り組み方などをもとに、現在の評価を説明します。すると、すぐに現状を理解してもらえます。そして、理解することで次の成長が見えてきます。このプロセスには納得感も伴いますから、辞めるという発想には至りません。これが定着率に寄与していると考えています。

<成長支援制度の策定>

人事制度をもとに賃金テーブルを作成し、成長階層によって従業員のおおよその給与が分かる仕組みにしています。さらに、賃金テーブルに加え、キャリアパスを設定するなど、成長支援制度として仕組み化。この成長支援制度はPowerPointに落とし込み、新卒採用時に利用しています。

実は当社の多くは新卒で、人事制度導入前から毎年5名前後を採用しています。以前は新卒採用に苦労していましたが、人事制度を導入し成長支援制度を策定してからは、採用がスムーズに進むようなりました。会社説明会などの際、成長支援制度のPowerPointを見せることで、当社がどれだけ従業員の働き方に配慮し、成長を支援しているか理解してもらえます。

設計専門スタッフが3台のCAD CAMを使い、スピーディーな設計ができる体制を整えています。

5.広島県の上場企業の給与水準に合わせることを目標に

――人事制度の導入後、目指している試みなどはございますか。

現在、目指しているのは給与水準の向上です。経営者にとって、従業員から「給与が安いから生活できません」と言われることは、もっとも辛いことのひとつです。人事制度導入も、そういった不満が出ないようにしっかり従業員の業務を可視化して適正な処遇を与えたいという想いがありました。

給与水準の向上のため、具体的には広島県の上場企業の給与水準を参考にしています。広島県の上場企業40社以上の決算書を取り寄せて、それぞれの企業の平均給与をExcelに入力。それをもとに当社の給与と比較しています。今はまだ8%ほどの開きがありますが、少しずつ差は埋まってきています。先ほど「給与水準を上げていこう」とお話させていただきましたが、実はこうした私の想いも影響しています。

この私の想いに従業員も同調し、どうすれば給与水準を向上させることができるか考えるようになりました。まず、他社と同じもの、同じサービスであれば給与の向上は望めません。ですから「コスト競争力で負けない」「オリジナル仕様を確立する」など、どう差別化を図っていくかを真剣に考え始めるのです。まだまだ全従業員がそういう意識ではありませんが、ベクトルの方向性は定まってきていると感じます。そして何よりも、当社にはそうした従業員の頑張りに応える人事制度の仕組みがあるというのが、私と従業員の大きな支えになっています。

6.人事制度は経営者側と従業員が成長していくための重要な制度

――人事制度に悩んでいる企業に向けて、御社からアドバイスがあればお願いします。

人事制度を導入すると、経営者側に不利になると思われている方がいらっしゃるかもしれません。しかし、決してそうではありません。人事制度は経営者側と従業員とのコミットメントであり、お互いが成長していくための重要な制度です。とくに松本先生の人事制度は、そのコミットメントのベースとなる成長シートを通じ、成長度が目に見えて分かります。まずは、成長塾の受講をおすすめします。

――最後に一言お願いします。

松本先生に助けていただいた一人として言えるのは、「先生には健康に気をつけながら少しでも多くの中小企業を支援し続けてください」の一言です。これからも何卒よろしくお願い申し上げます。

山陽パッケージシステム株式会社様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※山陽パッケージシステム株式会社様のホームページ(https://www.sanpake.co.jp/)
※取材2023年5月



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