キムタカ税理士法人様(財務会計顧問、法人の決算申告等 沖縄県)
「顧問先企業の人事制度の悩みに共感し、まずは我々が先駆けて成長塾の人事制度を導入。素晴らしい成果を上げることができたので、現在は顧問先企業にフィードバックしています」
キムタカ税理士法人 代表社員税理士 大濵真三朗 氏
●会社プロフィール
社名 キムタカ税理士法人
所在地 〒902-0068 沖縄県那覇市真嘉比1丁目1番1号(那覇事務所)
代表者 代表社員税理士 大濵 真三朗
創業 2002年12月
職員数 30名(税理士6名/パートを含む)
事業内容 財務会計顧問、法人の決算申告、個人所得税申告、相続税・贈与税の申告、
相続対策相談/事業承継にかかわる業務
URL https://www.tax0123.jp/
1.夫婦2人で税理士事務所を開業
―― キムタカ税理士法人の法人概要をお聞かせください。
2002年、私と妻2人の税理士で沖縄県那覇市に大濵真三朗税理士事務所を開業したのがキムタカ税理士法人の始まりです。実は東京と神奈川で計11年、税理士事務所での勤務経験があり、そのまま首都圏で税理士事務所を開業することも考えていました。しかし、長男として高齢の両親を支えなければと思い、故郷の沖縄で開業するに至った次第です。
最初はアパートの一室から始まりましたが、2012年10月にはキムタカ税理士法人を設立。その後、2014年1月に名護事務所、2016年4月には中部事務所も開設しました。おかげさまで現在は計3拠点、パートを含めて総勢30名を抱える税理士事務所へと成長することができました。
さらに、グループ企業としてお客様の経営を支援する株式会社キムタカ経営、企業および従業員の安心・安全のための保険体制構築を支援するキムタカFP、そして行政書士を兼ねる妻が運営する大濱行政書士事務所を展開。「社員と家族と顧問先の夢・目標の支援者となって、幸福社会の創造に貢献する」「自律型人間・自創経営企業を創る」「社員一人一人が輝く組織づくり」を理念・使命として、沖縄県の中小企業の成長と発展を応援し続けています。
キムタカ税理士法人の“キムタカ”は、勝連城十代目城主である「阿麻和利(アマワリ)」の半生を演じる現代版組踊「肝高(キムタカ)の阿麻和利」が由来です。キムタカには「心豊か」「気高い」「高い志」などの意味があり、我々キムタカ税理士法人職員一同の礎となっています。
これからも、キムタカの精神を持ってお客様の中長期的なビジョン・夢を共有するとともに、その実現に向けたサポート、そして継続的なお客様の黒字化を目指していきます。
2.顧問先と職員が増えて、正式な人事制度の必要性を感じる
―― 成長塾受講の背景をお聞かせください。
2006年から戦略経営のマネジメントシステム「バランススコアカード経営」のコンサルティングをお客様に提供しています。具体的に何をするかというと、お客様である企業の代表と幹部をホテルもしくは研修施設に集まっていただき、「バランススコアカード戦略会議」を1泊2日で開催。バランススコアカードに基づく理念・ビジョン・戦略・アクションプランをつくっていきます。実はこの「バランススコアカード戦略会議」が成長塾受講のきっかけでした。
会議中は経営戦略だけでなく、どうしても給与や労働時間などの人事制度に関してもアドバイスを求められることがあります。当初、人事制度は社労士さんが扱う分野で、我々は専門的知識もないので、具体的な助言はできませんでした。しかし、当法人の規模が大きくなるにつれ、各経営者が吐露する人事制度の悩みは、当法人の課題でもあることに気づきました。
そこで、まず我々こそが人事制度を導入しなければならないと考えました。そして、人事制度の運用成果をお客様にフィードバックできれば、それが当法人の理念にもつながると思うようになりました。
―― 会社が大きくなることでの悩みや課題とは?
顧問先のお客様が増えて事務所が大きくなってくると、どうしても職員への負担が増えてきます。それが退職につながってしまうこともありました。
もちろん、残業の削減にも取り組んできましたが、我々の業界は2~3月の確定申告、5月に集中する法人申告の繁忙期は残業が避けられません。しかも、当時は簡単な評価制度のみで正式な人事制度がありませんでした。
残業の削減には今後も取り組むとしても、業務的に限界はあります。そこで、根本的な悩みを解決するには、やりがいや自身の成長を感じられる仕組み、成長が適正に給与へ反映される仕組み、つまり人事制度の導入しかないと考えるに至りました。
3.自分でつくることに共感
―― 人事制度の導入に成長塾を選んだ理由をお聞かせください。
さまざまなセミナーを受講しました。人事制度の本もたくさん購入し、手あたり次第読みました。しかし、成長と給与がリンクしない不透明な人事制度が多く、しっくりくるものには出会えません。もしかしたら合うかもしれないと導入しても、すぐに行き詰まってしまって定着しませんでした。
成長塾は私が所属している沖縄県中小企業家同友会からのお誘いでした。さまざまなお誘いの中のひとつに成長塾があって興味はありましたが、全6回の講座を受講する時間がなかなか捻出できませんでした。結局、最初の話を聞いたときから4年後、2015年6月に受講する機会をやっと得ることができました。
―― 受講後の率直な印象をお聞かせください。
成長塾の人事制度は導入事例が豊富で、さまざまな業種に幅広く導入されていましたから、最初は松本先生がそれぞれの企業ごとにベースをつくってくれるものと期待していました。ところが松本先生いわく「人事制度を継続的に運用していくためには、自分でつくらなければなりません。だから成長シートは自分でつくりましょう」でした。正直、最初はびっくりしました。
しかし、よく考えてみると我々もお客様に普段から言っていることだと気づきました。理念・ビジョン・戦略・アクションプランも自分でつくらないと回っていきません。「自分でつくるからこそ運用できる」は我々の考えと一緒だと思い直し、あらためて松本先生、そして成長塾を信頼するようになりました。
4.今でも成長シートは自分でつくる
―― 受講後の進捗を教えてください。
受講後、すぐに導入しました。導入直後は仮運用で、本格的な運用は1年後です。もちろん、職員にも人事制度導入の話はしました。それまで正式な人事制度がなかったこともあって、職員は概ね歓迎の意向でした。
成長シートづくりは苦労しました。所長である自分の頭のなかや優秀な職員の考え・行動を可視化しようとすると時間がかかりました。また、部門別・階層別に複数の成長シートをつくることも苦労を強いられました。現在は成長要素を削減し、なるべくシンプルにするように心がけています。
成長シートの運用や評価は幹部に任せていますが、成長シートの作成自体は今でも私が行っています。私が作成する理由は、成長シートを経営計画と連動させるためです。幹部の意見を取り入れつつ、職員の業務を俯瞰し、現場目線で見たりしながら、連動させる意識で作成しています。
5.成長支援会議で甘辛評価を是正
―― 人事制度の運用方法をお聞かせください。
成長支援会議および成長シートをベースにした幹部から職員へのフィードバックなど、成長塾で学んだことを忠実に実施しています。とくに私と幹部で行う成長支援会議は、幹部の甘辛評価を私が指導するうえで非常に重要だと感じています。
当法人では、ある重要業務で「一人前になる」と表現しているところがありますが、実は成長基準を社内統一するため、あえてこうした抽象的な表現にしています。
一人前の捉え方は幹部それぞれに異なり、「外に出てお客様と話ができるようになったら一人前」という甘め評価の幹部がいれば、「上司の手を借りずに一人で業務を回せる」という辛めの評価をする幹部もいます。この基準がバラバラでは職員が戸惑ってしまいますから、差が出ないように同じ物差しを持つという意味で成長支援会議はとても重要です。
ちなみに、私は成長支援会議の様子をオブザーバーとして見ているだけです。成長支援会議の運営を幹部に任せることで、評価の解釈の統一も幹部が自主的に行います。これにより、幹部たちの成長をヒシヒシと感じることができます。
―― 人事制度の導入後、どのような定量的効果を得ることができましたか。
導入前の2014年10月~2015年9月をBefore、直近の2020年10月~2021年9月をAfterとして比較した定量的成果を以下に示しました。
6.人時生産性を高めて、職員が独立してもカバーできる体制をつくる
―― 人時生産性を重要視していると伺っています。
成長塾を受講して以来、松本先生が重要視する人時生産性については当法人も大きな指標にしています。
税理士という業務の特性上、資格を生かして独立開業を目指し退職する職員がおります。
そもそも資格の取得は奨励していますし、資格手当も支給しています。しかし私自身、税理士の資格を取得して独立しているわけですから、税理士の資格を取得した職員の独立を阻むことはできません。むしろ、応援しなければならないでしょう。
当然ながら、そうした職員の退職は大きな痛手です。職員が担当する顧問先は十数件ありますから、これを別の職員に割り振るとなると誰かが残業でカバーしなければなりません。
もちろん、新たな職員を採用しますが、一人前になるまでにはかなりの時間を要します。
そこでまずは、現状のリソースにおけるパフォーマンスの質を高め、人時生産性を向上させることに注力することにしました。人時生産性が高ければ、退職者が出ても早々にカバーできる体制を構築できます。
実際、多くの職員が「粗利を増やす」と「労働時間を減らす」ことを同時に取り組む意識を持って業務にのぞみ、業務の効率化を求めるようになりました。自宅に早く帰る意識も芽生えますから、自ずと業務環境も改善されていきます。
毎月の幹部会議で、顧問先ごとや職員ごとの人時生産性を分析しています。顧問先にも、可能な限り人時生産性をKPIにするように指導しています。各職員が担当する顧問先で6,000円以下のところはアラームを出すなど、常に人時生産性には注意を払っています。
顧問先の人時生産性を追及することで、職員自身も人時生産性の意識が定着してきます。現在はそういった良いスパイラルが構築できています。
―― 残業時間も削減できていますね。
残業時間の削減は、働くモチベーションにもつながってきますから、長年取り組んできました。おかげさまで、2~5月の確定申告・法人申告の繁忙期を除けば、18時過ぎには職員は事務所を出て、家路に向かっています。平均すると残業は月12時間、休日は年間120日、固定残業代も撤廃できました。これは大きな成果です。
―― 人事制度を導入して良かったと思うところをお聞かせください。
「期待成果」「重要業務」「知識・技術」「勤務態度」を成長シートで細かく設定し、四半期ごとの成長支援会議と個別面談でフィードバックすることで、職員の成長スピードが高まったと感じます。現にそれは人時生産性の数字にも表れています。
7.きっかけとなった顧問先に人事制度をフィードバック
―― 人事制度の運用成果は顧問先にフィードバックできていますか。
当法人の人事制度運用に目途がたったところで、「バランススコアカード経営」のコンサルティングを行っている各企業にもフィードバックしています。
現在、計5社の顧問先に成長塾の人事制度の導入と運用支援、コンサルティングを実施。もちろん、人事制度を導入するうえで、社長もしくは人事担当幹部の成長塾受講は大前提となります。
おかげさまで、成果が見え始めてきたところです。
―― 人事制度に悩んでいる企業に向けて、キムタカ税理士法人からアドバイスがあればお願いします。
働き方改革が叫ばれている時代ですが、単に「自宅でも働ける」「好きな時間に働ける」という「働きやすさ」を整えても、社員の「やりがい」や「給与」につなげることができなければ、結果、モチベーションが低下して退職してしまうケースもあるのではないでしょうか。
まずは、会社の理念やビジョン、従業員への想いなどを明確にすることが先決。そのうえで、どんな働き方であっても、やりがいや給与にリンクさせることが大事だと思います。そして、それを実現できるのが成長塾の人事制度です。我々は運用し成果が出ているからこそ分かります。ほかに、こんな素晴らしいシステムはありません。ぜひ導入すべきです。
―― 最後に一言お願いします。
2019年7月に当法人はENTOENTOが主催する「成長塾 第14回全国大会」において、「日本で一番社員を大切にしている企業大賞」で優勝(2018年は準優勝)という栄誉を手にすることができました。素晴らしい賞をいただき、今でも職員一同感激しています。主催者側からの評価は、人事制度のさらなる推進の励みになります。
さらに、2020年3月には「沖縄県人材育成企業」の認証を得ることもできました。これは企業に積極的な人材育成の取り組みを促し「雇用の質の向上」を図るためにつくられた制度で、人材育成に優れた企業を沖縄県が認証するものです。「沖縄県人材育成企業」の一員に加われたのは、松本先生のおかげであることは間違いありません。
全国には松本先生のサポートを欲している経営者がたくさんいると思います。そういった日本全国の中小企業の方々に、松本先生にはこれからも笑顔で元気に人事制度を伝えていってほしいですね。私もできることはサポートしていきたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。
キムタカ税理士法人様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
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