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株式会社システムサーバー様(システムの開発・運用維持 愛知県)

2018-06-25 [記事URL]

組織がしっかりしていなければ、砂の上の城と同じで会社は簡単に崩れてしまうと思うんです

システムサーバーロゴ株式会社システムサーバーは、第17期成長塾(名古屋開催)を受講し、社員が目標を持って成長できる人事制度を構築しました。同社が人事制度改革に取り組んだ理由や成果について、代表取締役社長・鈴木秀美氏に伺いました。
【株式会社システムサーバー】本社:名古屋市中区、設立:1997年、従業員数:94名(子会社含む)

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1.株式会社システムサーバーについて
2.業績は好調なのに、社員の元気がなくなった
3.風土改善委員会を発足したが結果が出せなかった
4.風土改善に再チャレンジ
5.成長要素出しは大変だったが良い議論ができた
6.運用して2年程で、成長のためにどうすればいいのか考えられるように
7.社内の基盤が完成。次は会社の規模拡大を目指す
8.まずは50点からでもいい

1.株式会社システムサーバーについて

― 株式会社システムサーバーについて教えてください。

当社はシステムの開発、運用維持を行っている会社です。
製造管理や人事管理、業務管理など、お客様のビジネスにとってコアとなる部分をコンピューターで自動化するためのソフトウェアをオーダーメイドで作っています。

また、作ったシステムは、法律の変化や運用条件の変化などに対応して日々修正を重ねています。この運用維持は売り上げ全体の6割を占めている重要な業務です。お客様にとって信頼できるパートナーとして、使いやすいシステムを常に最善の状態で、安定して提供できるよう努めています。

― 経営理念などを教えてください。

会社の重要な方針は社員全員で決定しています当社では『全員経営』を行っています。会社の目標や経営計画を社員全員参加の全体会議で決めるものです。

経営理念の中の「共に成長します」には次の3つの意味が込められています。

1.世の中の流れやお客様と共に
提供するシステムを成長させる。
2.お客様と共に会社が成長する。
3.会社と共に社員も成長する。

当社の業務の性質上、社員の技術力は会社の要です。ですから、社員が成長できる環境づくりは当社にとって、とても重要なんです。

― 設立当時から全員経営やスキルアップ研修を行っているのですか。

はい、そうです。

会社設立時の中長期計画で、会社を成長させるために「心技体」を揃えることが必要だと結論しました。

最初の段階は「心」の部分です。これは「理念」です。しっかりした理念を作り、それに共感できる人が集まって仕事に取り組んでいく段階です。

次に「技」です。これは「技術力」のことです。技術力で競合に勝てるよう、スキルアップしていかなくてはいけません。

そして、社員数が増えてきたら、しっかりした組織をつくらなければいけないと考えていました。これが「体」の部分です。

組織がしっかりしていなければ、砂の上の城と同じで会社は簡単に崩れてしまうと思うんです。次の優秀な社員、次の優秀な管理者、次の優秀な社長を生み出せるような成熟した”からくり”を残すことが、会社にとって一番の資産になると思います。

「心」「技」である程度まで順調に来たので、最後の「体」作りをしなければいけないと考えたのが、人事制度改革に取り組むことにした理由のひとつです。

2.業績は好調なのに、社員の元気がなくなった

― 人事制度改革に取り組むことにした他の理由はどんなことですか。

当時は社内の雰囲気が悪く、社員も元気がありませんでした社員数が50名程になった頃、社員の元気がなくなってきたと感じたんです。

当時、業績は好調でしたので、本来ならば活気があるはずなのに、業務に対するモチベーションが下がりはじめました。そして、離職者が出るようになったのも気がかりでした。

― 社員の元気がなくなったのは何故ですか。

社員が50名くらいになると、私が直接管理したりコントロールしたりすることができなくなりました。そこで、中間の管理監督職を置きました。

しかし、管理監督職と言っても、全員SE出身者で、管理の経験もノウハウもありません。私自身も、きちんと業務の内容を伝えきれていませんでした。

管理監督職に就いた社員は、分からないなりに頑張ってくれていました。しかし、私がひとりで見ていたときの感覚で管理監督職を飛び越えて手を出してしまうので、「管理監督職の役割は何なの?」という状態になってしまったんです。

また、若い社員は、私と管理監督職の役割分担が中途半端だったために、指示系統が乱れてしまい、混乱したり、放って置かれている感覚になったりしたようです。

3.風土改善委員会を発足したが結果が出せなかった

― どのような人事制度改革に取り組みましたか。

2005年に幹部社員をメンバーにして風土改善委員会を発足しました。
人事に関する専門知識はありませんでしたので、外部のコンサルタントにも入ってもらって取り組みを始めました。

― その時はどのようなことをしましたか。

そのコンサルタントの勧めで、社員にアンケートを取りました。そのアンケートの結果をコンサルタントから現状はこんな状態です、と報告してもらいました。でも、その内容は、私たちが元々問題だと感じていたことを追認するだけのものでした。

いざ改善という段階では、いくつか方法を提示されて、「試してみてください」という程度だったんです。その方法も本を読めば分かるようなことでした。
結局、見捨てられたような印象を持ちました。

全体会議で月次決算を公開しているので、社員はそのコンサルタントにどれだけの費用を払っているか知っています。手間もお金もかけて結果が出なかったことで、社員のモチベーションはさらに下がってしまったんです。

その年は、設立から初めて減収・減益になってしまいました。

4.風土改善に再チャレンジ

― ENTOENTOの成長塾を受講しようと思ったきっかけは?

社員のモチベーション低下は放って置けない問題です。

そこで、インターネットや人事関連の書籍で自分なりに調べました。 その時、松本先生の本と出会ったんです。「あなたの中にすべての答えがある」「決めるのはあなたですよ」という松本先生の考え方が当社の理念に合っているように感じました。

先の失敗で「私たちのことを他人ができるはずがない」という思いもありました。だから余計に松本先生の「自分たちで決める」という言葉に納得できたんです。

ただ、自分たちで考えて実行するにしても、ちゃんとガイドして、枠組みを提供してもらった方が早く、スムーズに進められるだろうと思って、成長塾に参加することにしました。

― 成長塾に参加してどんな印象でしたか。

受講を決めてから名古屋で成長塾が開催されるまでの半年間、松本先生のメルマガを購読していました。ですから、受講前からある程度は概要を理解できていたんです。 社内での問題点も、以前の風土改善の取り組みでわかっていました。

実際に参加してみると、人事評価や手当てなどそれまで気付いていなかった不明確な点が明らかになりました。また、同期塾生の方々の状況や苦労話を聞くことで、一度失敗した人事制度改革ですが、自信を持って進められました。そして、講師の先生や同期塾生の方に精神的に支えていただけました。

成長塾を受講していた中で最も印象に残っているのは、成長シートを作る段階です。成長要素を出すのがすごく大変でした。

5.成長要素出しは大変だったが良い議論ができた

― 成長要素出しのどのようなところが大変でしたか。

今回の人事制度でも、風土改善委員を再び招集して取り組みました。私が受講していたので原案は出しましたが、それを委員で議論して決めたんです。

成長要素は、いわば価値観です。その価値観というものは、それぞれ違っていますよね。例えば、技術であれば、自分が得意な分野の技術項目に重みづけをしたいと思うのは当然の心理です。

成長塾で新しい人事制度を作るという総論ではみんな賛成してくれましたが、成長要素を作るという各論になると激しい議論になりました。

それでも、真剣な議論ができて、深いコミュニケーションをとる良い機会になったと思います。それに、自分たちが使う道具を一緒に作ったことで、幹部社員もその内容がしっかり腹に落ちたという感覚だと思います。

結果として、大変だったけれど、「心にいい汗をかけた」と感じています。

成長シート

― 成長シートにどのような感想を持ちましたか。

受講する前に松本先生の「自分で決める」という考え方に共感していましたが、成長シートの考え方も当社の考え方に合っていたと思います。

研修を受けた社員は、技術を習得した後、今度は自分が先生をやらなければいけません。

研修を受けた社員は、今度は自分が先生をしなければいけません当社では、社員のスキルアップ研修をたくさん開催しています。この研修を受けたら、いつか先生をやらなければいけないというルールなんです。

研修を受けて知識がついたら、それを訓練して一人前になる。一人前になったら、その知識を次の世代に教えるんです。

成長塾で教えられた成長シートの基本的な考え方でも、優れたやり方ができるだけでは最高得点は得られません。優れたやり方を人に教えることで最高得点になります。

そんなところも当社が元々考えていたこととマッチしていたので、納得して運用できる感じがしました。

6.運用して2年程で、成長のためにどうすればいいのか考えられるように

― 新しい人事制度の導入は順調にできましたか。

成長塾でも指導されている通り、まずは現状の人事制度と平行して新しい人事制度を仮運用しました。それで、大体合っているな、という実感ができたので翌年から本運用しました。

運用を始めてからも、成長確認会議は時間をかけて行いました。最初の頃は、「なぜこの評価が2なんだ」「この評価点は高すぎるんじゃないか?」など基準について、良いか悪いかという議論だったんです。でも、それを繰り返していくうちに議論の内容が変わってきました。

2年くらい経った頃には、「具体的に成長のためにどうしていくべきか?」という議論ができるようになったんです。 この変化には驚きました。

今でも、成長要素の見直しや修正は行っています。しかし、それは成長確認会議の中心ではありません。今は、成長シートを元に、社員を成長させるために、何をすればよいのか?何が足りないのか?ということを真剣に考えられるようになりました。

― 新しい人事制度をどのように運用していますか。

まず、本人が自己評価を行います。その後、上司が評価を行った後、成長確認会議で社員の評価を決定します。そして、その評価を本人にフィードバックしています。フィードバックされた評価内容から、各自で次の評価期間にどうしていきたいのか目標を立てるんです。

さらに、上司とフィードバック面談を行います。本人が立てた目標について、「この部分はもっと伸ばしていけるんじゃない?」とか「この項目の2点を4点にするのは欲張りすぎじゃない?」など上司と相談します。具体的な成長イメージができるので目標に向かって頑張ることができます。また、上司は部下の目標を理解しているので、アドバイスがしやすくなります。

このようなPDCAサイクルでも成長シートを運用しています。 また、成長シートがあれば、部下の管理のために余計なものを作る必要がないので、上司も助かっているようです。

成長確認のPDCAでは、自己評価や目標設定もしています

― 成長塾を経て作成した人事制度で、それまでの問題は解消できましたか。

100%ではないかもしれませんが、改善されました。少なくとも、誤解することは減ったと思います。

ルールがきちんと決まっているので、例えば評価が低かったとしても、その理由に納得することができますよね。それに、自分が管理職に就いた場合でも、何をすればよいのか明確になっているので、比較的スムーズにその職務をこなすことができるようになりました。

それから、この人事制度は、新卒社員にとって受け入れやすいようです。新卒の方はちゃんと仕事ができるか不安を持っています。しかし、この成長シートで、どんなことができれば評価されるのか明確になっているので、安心するようです。大学の単位取得と似ているので馴染みやすいのかもしれませんね。

7.社内の基盤が完成。次は会社の規模拡大を目指す

― 今後の目標を教えてください。

成長塾を受講したときには2種類だけだった成長シートも、今では全職種、全階層の成長シートができ上がりました。会社と社員が成長できる”からくり”が完成したんです。社内の基盤はしっかりしたので、これから会社の規模拡大をしたいと思っています。

現在、業種としては中途半端な規模で、結果が出にくいように感じています。規模を大きくすることで、今までできなかった規模のプロジェクトにも参入ができるようになります。また、人材の層が厚くなれば、幅広い分野のシステムにも対応できるようになると思います。まずは、早い段階で売上を現在の3倍にしたいと思っています。

ただ、時間をかけて社員を成長させる方針なので、社員数は1年に10名程しか増やすことができません。それでも、スキルとモチベーションの高い社員が増えることで、目標を達成できると確信しています。

8.まずは50点からでもいい

― これから人事制度の改革に取り組む方へアドバイスはありますか。

私たちも一度失敗したからこそ言えるのは、コンサルタントにすべて任せてしまうと、本来の価値観と違ってきてしまうかもしれないという事です。最終的な価値観は、自分たちの会社のものですから、他の人が決められるものではないと思います。

成長要素や評価基準を作るために、実際にそれを使う人たちが議論する機会を作るといいと思います。大変ですし、無駄に思えるかもしれませんが、運用のときに役立つと思います。

勇気を持って取り組むことで、会社内の風通しがよくなると思いますよ。

それから、最初から100点の成長シートを目指すのではなく「まずは50点でもいいか」という気持ちでいいと思います。すごく大変な作業なので、最初から頑張りすぎると、挫折してしまうかもしれません。ただし、50点のものは、「これは試行だからね」「問題もあるから一緒に改善していこう」ときちんと伝えることが大切です。そうして改善していけば、社員も受け入れやすいと思います。

システムサーバー様、お忙しい中、ありがとうございました


株式会社システムサーバー様のホームページ
※ 取材日時 2013年


田代珈琲株式会社様(コーヒーの輸入販売業 大阪府)

2018-06-25 [記事URL]

社員が辞めない会社をつくろうと決心。そのためには成長支援制度が必要でした。この仕組みは新卒社員の育成にも使えます。

tashirocoffee-2.jpg田代珈琲株式会社は、2度にわたり成長塾を受講し、成長支援制度を進化させてきました。同社が成長支援制度を導入した理由と成果について、代表取締役・田代和弘氏に伺いました。

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1.田代珈琲株式会社について
2.品質にこだわるスペシャルティコーヒー専門会社として…
3.社員の継続的な成長を支援する仕組み
4.社員が成長出来る仕組みがないから社員がやめる
5.ワクワクしながら成長塾を受講
6.理念を共有できる人材だけが残り、会社が一丸となる体制が整った
7.社員が自立し、戦略の立案に専念することが出来るようになった
8.正しい経営を志す経営者に成長塾を推奨
9.成長塾とともに会社の成長を目指したい

1.田代珈琲株式会社について

3代続くコーヒーの輸入販売会社。スペシャルティコーヒーに特化したビジネスを展開する。インターネットを中心とする一般消費者向け通信販売を収益の核とし、喫茶店やカフェなどへの業務用卸、店舗販売を行う。鮮度にこだわり、焙煎する豆の種類を曜日ごとに限定して、前日までに予約を受けた分だけを焙煎し、その日のうちに発送する『受注焙煎発送システム』を構築。これにより提供価格を抑え、なおかつ国内であれば焙煎から24時間以内に確実に商品が届く体制が実現している。仕入れ方法は、毎年コーヒー豆の産地を訪れ、条件の良い生産状況で収穫された豆を選び輸入。「精選からカップまで」消費者に真のコーヒーの美味しさと豊かなくつろぎの空間をプロデュースすることをコンセプトとして、社員一丸となった事業を展開している。
本社;東大阪市、創業1933年、従業員;17名(パート含む)。

2.品質にこだわるスペシャルティコーヒー専門会社として…

― 御社が取り扱うコーヒーについて、教えて下さい。

ギフト商品「大大阪」弊社が販売するコーヒーは、スペシャルティコーヒーに分類されるコーヒーです。スペシャルティコーヒーの定義は明確に定まってはいませんが、弊社が扱うのは、味・香りだけではなく、コーヒー豆をとりまく環境、生産の段階からお客様に味わっていただくまで、全ての段階にこだわり、徹底管理したコーヒーです。

そのような条件に合うコーヒーを提供するために、毎年、生産国を訪れて生産状態を直に確かめて生産状態の良い農園から豆を買い付け、また美味しいか美味しくないかを定量的に判断するカッピング技術の強化、さらに鮮度重視の受注・配送システムを構築してきました。

2011年12月、店舗をアンテナショップとして改装しました。このスペシャルティコーヒー文化を地域に根付かせることを目指しています。

― ここまで事業は順調に推移してきた、という印象を受けます。

いえ、ここに来るまでは、様々な試行錯誤を繰り返してきました。成長塾との出会いも、その試行錯誤の中でのことです。
弊社はもともと喫茶店を主要顧客とする業務用卸100%の事業を展開していましたが、1980年代から業界が細分化したことで廃業する得意先が増え始めました。そこで一般消費者を対象とするビジネスに転換してきたのです。私が社長に就任したのは1993年ですが、2001年頃、会社の将来に危機感を持ち、会社のビジョンと経営方針を模索しはじめました。

まずインターネット通販を始め、さらに2004年、他社との差別化を図るため高利益率のブルーマウンテンや低価格のロブスタ種をはじめとするコモディティコーヒーをやめ、スペシャルティコーヒーに特化しはじめました。

しかし、私と社員との間で価値観を共有することが難しい上に、私自身の経営方針にもブレが生じ、社員のモチベーションを下げる結果となってしまいました。品質重視と言いながら、競合との激しい価格競争を繰り広げ、2007年には最高売上を達成しながらも社員には過酷な労働を強いてしまいました。その前後で、退職者が相次ぎ、10年来ともに苦楽を共にしてきた社員も去って行きました。

それが2008年。その出来事をきっかけとして、社員がやめない会社、退職者を出さない会社を作ろうと決めたのです。そのために必要だったのが、ENTOENTOが成長塾を通じて広めている成長支援制度です。2010年8月から導入し、変更を加えながら運用しています。

3.社員の継続的な成長を支援する仕組み

― 御社の成長支援制度というのはどのような制度ですか。

成長支援制度を一旦作ったところがスタート。いかに社員を成長させられるかが重要。社員の継続的な成長を支援する仕組みです
3ヶ月に一度、成長支援シートと成長会議によって社員の成長を確認し、その成長度合に合わせた目標の設定を行います。その作業を繰り返すことで、社員の継続的な成長を支援するのです。

成長支援シートには、会社が求める期待の成果と、その成果に到達するためのプロセスが明確に示してあります。プロセスの中には、重要業務、知識・技術、勤務態度があります。
社員の成長に対する評価は、期待の成果の実現度、重要業務の遂行度、知識・技術の習得度、勤務態度の遵守度によって決まります。

成長支援シートで各社員が自己評価し、それに対してマネージャー層が一定の評価基準を用いて会社としての評価を決定します。ここで決定された評価が、結果として給与・等級といった処遇に反映されるという仕組みです。弊社では、正社員だけではなく、パート従業員に対しても、この成長支援制度を適用しています。成長支援シートの内容は、職種、等級などによって変えています。

弊社の成長支援制度の特徴は、協調性を重視していることです。弊社では、通販事業部、店舗事業部、広域事業部、製造部と部門が分れています。それぞれの部門の成績が良くても、全体の目標に対する到達度が低ければ、各自の評価・処遇には反映されません。

この成長支援制度により、全員で目標を設定し、全員で目標を達成する、そんな社風を育てることで、社員同士が互いに協力し合いながら、社員一人ひとりと会社全体の成長のスピードアップを図っています。

<田代珈琲株式会社の成長支援シート>田代珈琲株式会社の成長支援シート1
田代珈琲株式会社の成長支援シート2
※2011年 成長塾全国大会で事例発表した際の資料から抜粋

4.社員が成長できる仕組みがないから社員がやめる

― 社員がやめない会社を作るために成長支援制度が必要だったというのはどういうことですか。

店内でスペシャルコーヒーを提供し始めた私は、社員が成長する仕組みがない会社には、社員が残らないということに気が付きました。社員の成長はあくまでも社員の自発性により達成されますが、会社にその仕組みや環境がなければ社員の成長意欲を削ぐ結果にしかなりません。
2008年、長年苦楽を共にしてきたと思っていた社員が退職した際に、社員が辞めない会社を作ろうと思い、まず、経営理念を再構築しました。

「私たちは全ての持続可能性を追求します」

というものです。この理念には、いくつかの意味を込めていますが、その中の1つに社員が継続して働き続けたいと思える魅力ある会社づくりを追求することが含まれています。一生働き続けたいと思える会社なら、社員はやめる必要がありません。

この段階で、会社に残ったのはほとんど新人ばかりでした。そこで社員教育のために、ある大きな組織の異業種交流会から講師を招き、資格制度を用いた職級制度を構築するための勉強会を開催しました。しかし、それは社員を評価して職級を決めるだけの制度でしかなく、評価が処遇に結びつかない上に、評価の仕方が複雑で、完成させたとしても中途半端な運用になることが明らかだったため、途中でやめました。

しかし、その中で、社員が成長する道筋を明確に見せる仕組みは必要だとわかりました。

― その出来事が、成長支援制度の導入に繋がっていくのですか。

そうです。それから数か月後に、大阪市のインキュベーション施設で、ENTOENTOの松本先生による『社員を成長させる仕組み作り』というまさに私が抱えていた課題にぴったりのセミナーが開催されました。そのセミナーに参加し、これしかない、と感じたのです。

特にその年、求人を出したら、大学新卒者の応募がありました。弊社のような中小企業でも大学新卒者の応募が来るんだと気付いたのですが、成長支援制度は新卒採用の社員の育成にも使えると感じました。

それまでの私は、社員がやめるのは社員側の問題だと思っていました。職場環境が未整備であることで退職することに対しても、中小企業なんて所詮こんなレベルだし、それが嫌ならやめれば良い、そんな感覚だったのです。

でも松本先生のセミナーを聞いて、そう考えていたことは間違いで、社員を持続的に成長させようとしないことが、社員がやめる原因だと気が付いたのです。

そして、2010年2月からスタートした京都での成長塾に参加し、弊社の成長支援制度作りに取り組みました。

5.ワクワクしながら成長塾を受講

― 成長塾に参加された感想はいかがでしたか。

大阪でのセミナーを聞いて、大きな期待感を持っていたためワクワクしながら受講しました。初回、期待以上に満足して、単純に次回を楽しみにしている自分がいました。会社に帰ると松本先生からメールが来ていて、「第一講座お疲れ様でした。次回もお楽しみに」と書いてあった。それを読んだ時、さらに期待感は膨らみました。

― そのワクワク感とは、具体的にどういうものですか。

受講して指導された通りに作って行けば、自社の成長支援制度が作れるという期待感です。時間がかかったりすることはあるかもしれないけれど、きちんとやれば必ず完成します。

成長支援シートの成長要素の定義や評価基準の文言を、的確で誰が見ても誤解のないものにすることは難しい作業でした。しかし、自分が努力することで、成長支援制度を完成すれば、理念を実現するためのスタートラインに立てるわけです。こんなに素晴らしいことはありません。

受講が終わった時は、もう終わりか、まだ学びたい、吸収したいという気持ちでした。成長支援制度は一旦作成しましたが、それで終わりではありません。会社は生き物なので、運用する中で成長支援制度や成長支援シートも変えて行かなければならないのです。

実際に、運用を始めて、社内に浸透させるまでの間に、変えなければいけない箇所はいくつかありました。その間に、成長塾の受講を希望する経営者仲間が多数現れたため、松本先生に大阪での成長塾開催を依頼しました。今度は専務も交えて再受講しながら、制度の見直しを行っているところです。

6.理念を共有できる人材だけが残り、会社が一丸となる体制が整った

― 成長支援制度の導入はスムーズに行きましたか。

いえ。弊社の場合はパート従業員の処遇決定に関しても、成長支援シートを活用して評価しています。導入の際に最も抵抗したのは、パート従業員の中の数名でした。結果的に、中心的に反対していた何人かのパート従業員がやめて行きました。

第一の理由は、”評価される”ことそのものに対する抵抗です。第二の理由は、評価の基準が従業員自身の成長であることが明確となったことに対する抵抗です。評価される要素が明確となるとともに、それ以外の要素、例えば、社長に取りいるために媚を売ったりお世辞を使ったりするような処世術が通用しなくなることが明白となり、そのように振る舞ってきた人は強く反対しました。

― そのような反応は予測していたことでしょうか。

いえ。私は、社員やパート従業員の方が、継続して働いていける環境を作るために成長支援制度を導入しました。だから、まさか抵抗に会うとは思いもしませんでした。パート従業員だけではなく、社員の間でも最初は抵抗があったはずです。というのは、やはり「評価される=減点される」というイメージを持つらしいのですね。

しかし、理解を示して残った社員は、私が導入しようとする成長支援制度というものがどういうものかを理解しようと努めました。私は、導入を発表する際に、この制度に関する説明をしました。それを聞いて、ホームページを見るなどして、勉強した人たちは残りました。抵抗した人たちは、そもそも、それを理解しようとしなかった人達です。

― 数名のパート従業員の方が退職し、その他の方へはスムーズに浸透していったのですね。

ただ、私が本気で理念の実現に取り組んでいるということがちゃんと伝わったのは、1年間、成長支援制度を運用し続ける過程でのことだと思います。

運用する中で、一部の社員については等級を見直す作業をしました。等級と言うのは社員の処遇を格付けするもので、一般職と中堅職があり、一般職は1等級から3等級、中堅職は4等級から6等級に分かれています。この等級の格付けを導入時は、仮の等級からスタートしました。しかし実際に運用してみると、導入の際に一般職の3等級に格付けしていた数人の社員については、マネジメント業務にもかなりの割合で従事しており、4等級の仕事をしていることがわかってきました。それに気付いた時点で、制度を再構築して処遇を見直す約束をし、2011年7月からは4等級に昇格し管理職の手当を付けました。

その他にも、運用しながら社員に意見を聞きながら、修正を加えています。そういう経緯の中で、社員たちの間には、会社の理念や成長支援制度に込める私の想いが伝わっていったと感じています。
そのような経緯で、結果的に会社の理念と合致しない人達が会社をやめ、理念を共有できる人が残り、会社全体が一丸となる体制が整ったのです。

7.社員が自立し、戦略の立案に専念することが出来るようになった

― 成長支援制度の導入で、何がどのように変わりましたか。

大きな変化は3点あります。

(1)社員の自立意識が芽生えた
焙煎の仕事も、社長はやらんで良いと言われている。まず、社員の自立を促進することが出来ました。社員の自立とはどういうことかというと、例えば、社員が会社の利益を考えて行動するようになったことが挙げられます。

成長支援シートは、社員が成長する道筋を見せるためのツールです。期待の成果は、その道筋を通った結果としてもたらされます。その期待の成果には、事業部の売上目標が含まれています。つまり、社員の成長は会社の利益に反映されるということが明確に示されているのです。

この成長支援シートの運用によって、社員の間に、給料はもらうものではなく、自分たちで稼ぐものだという意識が芽生え、資材の発注なども自分で業者を探し、価格交渉までするようになりました。

以前は、そのような業務一つ一つに対して、私が全部口出ししていました。現在は、社員が率先してやるようになり、私はコーヒー豆の焙煎もやる必要がなくなりました。また社員自ら自分たちの時間を使って自主的に勉強会を開くなど、知識・技術の習得にも積極的です。

弊社では残業規定を設けており、一定時間以上の残業は認めていません。ですが、成長支援シートに記された期待の成果に向かって、業務の遂行、知識・技術の習得をいち早く成しえようとする社員の意思は止められません。

各種セミナーへの参加も、会社からお願いして参加してもらう場合は、時間内で行ってもらい、経費も全て会社が負担しますが、そうでない場合は時間外で行ってもらいます。そういう線引きを明確にした上で、社員が自分の負担でセミナーに参加するようになっています。

さらに成長支援シートがあれば、先輩が後輩に仕事を教える際に何を教えればいいのかも明確となっているため、社内で教え合うという姿は、日常茶飯事なものとして見られるようになりました。

(2)社長が戦略立案に専念できるようになった
このように社員が自立的に行動するようになった一方、経営者である私自身にも変化がありました。それは、戦略の立案に専念できるようになったことです。

それは、社員の成長度合いを把握出来るようになったことの成果です。社員が成長しなければ、会社は成長しません。しかし以前は、社員の成長を把握する術がないため、社員の行動が逐一気になり、小言を言うことが私の仕事であるかのような状態になっていました。

成長支援シートを運用することで、社員の成長が可視化されます。成長速度は社員ごとに違いますが、確実に成長していることが把握できます。社員が成長すれば、それに準じた結果が出ることは明確です。結果が出れば、それによって社員の処遇も決まりますが、その処遇の中で決まる給与が高いか、安いか、と悩む必要もありません。

社員の成長は、本人が自覚しなければ実現しません。いくら私が小言を言っても仕方がない、と構える余裕が生まれ、戦略を考えることに専念できるようになったのです。

(3)採用の基準が明確となり、理念に合わない社員が入社しなくなった
企業理念と社員に対する期待の成果、成への道筋が明らかとなったために、採用の基準も明確となりました。面接の際に、成長支援制度や成長支援シート、理念の説明をして、共感を示す人材、だけが入社するようになったことで離職率は下がっています。

また、理念を共有できる人材を採用するためには、新卒者の方がやりやすいこともわかりました。一度身に付いた価値観を変えることは誰しも簡単なことではありません。まだ価値観の固まっていない新卒者の方が、成長のスピードは早いでしょう。中途採用で社会経験があっても、コーヒーの経験がある方は滅多にいませんので、現在は正社員雇用は新卒者中心に行うようにしています。

2011年は2名内定を出しました。その2名は、現在(2011年12月)、研修生として週に一回、弊社に通っています。一人は奈良県から、一人は兵庫県から通っています。内定の条件は、大阪に引っ越してくることです。しかも初任給は平均より低めの設定になっています。それでも、内定を受け、研修に通っているのは、成長支援制度によって、明確に自身の将来をイメージすることが出来ることに対する期待感があるからです。

社員を採用する目的は、人手不足を補うためではなく、将来への先行投資です。何色にも染まっていない新卒者を採用し、他社の数倍というスピードでの成長を支援し、会社の理念を実現するのです。成長支援制度があれば、それは可能です。

新しいビジネスにも全員で取り組む(左上)出荷作業に勤しむぱーと 従業員の方々(右上)きびきびとした動きが印象的(左下)季節、気温、天気によって豆の状態も変わる(右下)

8.正しい経営を志す経営者に成長塾を推奨

― 社員がやめない会社を作る方法として、成長支援制度以外の選択肢は考えませんでしたか。

他に選択肢があるとすれば、人事制度のコンサルタントに来てもらって、制度を作ってもらうという方法だと思いますが、成長塾とはコストが比較にならないほど高いことは明白です。また、人に作ってもらっても、あまり意味がありません。人に作ってもらったものは、会社の変化や社員の成長に合わせて、柔軟に変えて行くことが出来ません。

成長している企業は、社員の教育制度と評価制度をしっかり構築している企業です。そのために何百万円という報酬を払うしかなかったのが、成長塾ならそれと比較すれば破格の価格で実現できます。

成長塾が教える成長支援制度のすごいところは、経営指針や理念を成文化するだけでなく、実際の社員の行動に落とし込み、確実に成果を上げることです。それはお金に換えられない価値があると実感しています。だから、成長塾の回し者と言われても、社員の幸せを考えて経営理念を構築し正しい経営を実践しようとし、社員と確執を繰り返しながらも諦めずに頑張ろうとしている経営者がいれば、積極的に推奨しています。

9.成長塾とともに会社の成長を目指したい

― 今後のビジョンをお話し下さい。

このたびオープンしたアンテナショップには、スペシャルティコーヒー文化の発信の他に、社員が成長するステージを作って行こうという意図もあります。今回改装した店舗でベースを作って、ゆくゆくは多店舗展開し、各地域における地域雇用の創出を目指します。従来、飲食店はアルバイト雇用が中心のビジネスモデルですが、弊社は正社員雇用で収益が出るビジネスモデルを構築します。

今後はアルバイトを中心とした企業に都合の良いビジネスモデルで会社を維持発展させていくことは不可能となるでしょう。

今、新卒採用によって先行投資をするのは、このビジョンを達成するためです。10年後には弊社と同様にスペシャルティコーヒーに特化した日本一の企業に対して、弊社なりの勝ち方が出来る企業にしたいと考えています。
そのビジョンを実現する上で重要なのは、社員の成長スピードを他社の数倍のレベルにまで引き上げることです。

成長塾や松本先生ご自身も変化していくでしょうから、何年かに一度は、成長塾を受講して弊社の成長支援制度を進化させて行きたいです。さらに、大阪で成長塾を受講した経営者たちと、定期的な勉強会を開き、切磋琢磨していきたいと考えています。

田代珈琲様

田代珈琲様、お忙しい中、ありがとうございました(右は弊社代表・松本順市)


田代珈琲株式会社様のホームページ
※ 取材日時 2011年11月


びわこホーム株式会社様(建築不動産業 滋賀県)

2018-06-25 [記事URL]

歩合給を廃止。でも業績は伸びています。本気で会社を変えるなら、成長塾の受講をおすすめします。

biwakohome-2.jpgびわこホームは、2009年9月、歩合給制を廃止し、新しい人事制度を導入しました。テレビのビジネス情報番組や、ビジネス誌などマスコミでも話題となった同社の新人事制度について、代表取締役・上田裕康氏と、常務取締役・高木光江氏に伺いました。

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1.びわこホーム株式会社の概要
2.前向きに仕事に取り組む社員の姿勢が、競争優位性に
3.びわこホームの社員が一所懸命働く理由
4.歩合給制を廃止し、成長支援シートを導入
5.ENTOENTOスタッフと一緒に成長支援シートを作っていった
6.社員が成長を実感できるツールじゃないと導入した意味がない
7.トップ営業マン4人が退職。しかしリーマンショック後も業績を維持
8.個人の成果から会社の成果へと価値基準がシフト。社員がやめなくなった
9.これから人事制度を作っていきたい経営者へのアドバイス
10.ENTOENTO成長塾への今後の期待

1.びわこホーム株式会社の概要

総合建築・不動産業を営むびわこホームは、滋賀県の中でも湖東・湖南の地域に密着した事業展開を特徴としている。同社が商圏とする地域において、土地の売り物件占有率は88%、新築住宅の着工棟数でもシェア10%と、いずれもトップ。特に新築着工棟数では8年連続でトップシェアを維持している。 1990年創業。社員数35名(2011年10月現在)。

2.前向きに仕事に取り組む社員の姿勢が、競争優位性に

― 御社の事業の特徴を教えてください。

びわこホーム本社入り口の看板びわこホームの事業の特長は、地域密着力と徹底したアフターサービスです。
弊社は創業以来、地域密着型サービスで、競争優位性を確立して来ました。そして、最近はOB顧客数が2千数百世帯という数字に達し、広告費をかけなくても口コミで集客できる環境が整ったことから、OB顧客に対するアフターサービスに注力するようになりました。

その効果は、新築着工棟数8年連続トップシェアという成果に現れています。さらに、未曽有の不景気と言われたリーマンショック以降も業績を落とすことなく、2011年8月末の決算では年間売上約16億円に達しました。昨対比14%の増収です。経常利益は1億3千万円。経常利益率は8%強と、建築業界の中では高水準を維持しています。

― そのような圧倒的な競争優位性を生み出す地域密着力と徹底したアフターサービスを実現している要因は何ですか。

それは、弊社の社員全員が、会社の発展と自己の成長を目指して、前向きな姿勢で仕事に取り組んでいるからです。

例えば、他社の営業マンが10件回るところを、弊社の営業マンはその2倍、3倍のお客様を訪問します。店舗ではお客様ご来店時、その場にいるスタッフ全員が作業を止めて出迎え、お帰りの際にはお客様の姿が見えなくなるまでお見送りします。また、お客様からのご信頼をいただけるよう、一人ひとり自分の目標を立ててレベルアップを図っています。やっていること自体はシンプルですが、弊社の場合、やるべきことが明確なため、徹底してそのやるべきことに取り組めるのです。それが競争力に繋がっています。
それが、成長支援シートを導入して更に強みになりました。

3.びわこホームの社員が一所懸命働く理由

― 成長支援シートとは何ですか。

これだけあれば、社員を評価すべき基準というのは他に考える必要がありません。成長支援シートは、文字通り、社員の成長を支援し自立型社員を育成するためのツールです。特別な能力を持った一部の社員だけではなく、普通の社員が将来のビジョンやキャリアプランを考えながら着実に成長していける会社を目指し、株式会社ENTOENTO(エントエント)の成長塾に通いながら作成しました。

成長支援シートでは、成果、業務プロセス、習得スキル、人間性という、社員の成長に関係する全ての要素が網羅されています。社員にどう育ってもらいたいのか、何をしてもらいたいのか、これ以外に考えるべきことは何もありません。このシートに基づいて、役職、成長等級、基本給、賞与・昇給などを決めることが可能です。

― 成長支援シートを導入すると、やるべきことが明確になるのでしょうか。

それは成長支援シートの中に、社員に対して会社が期待する成果、それを達成するための業務プロセス、またはその業務を遂行する上で必要なスキルや知識、さらに心がけるべき勤務態度が、全て示され、それに対する評価基準が明確に示されているからです。それにより、新卒の新入社員を含め全員が同じ方向に向かって努力して、各自が大きな成果を出すことが出来ます。

成長支援シートでは、縦軸に評価要素が並びます。弊社の場合、所属部署・成長階層ごとに異なる成長支援シートを作成していますが、それぞれ15項目ぐらいの評価要素を設定しています。横軸には、項目ごとの評価基準を5段階で示し、それぞれ点数化しています。評価要素ごとの評価点数を合計すると100点満点となります。日常業務の中で、社員が自分で各評価要素に対する評価点数を記録し、それを元にマネージャーが上司評価します。

ここで設定された評価要素と評価基準によって、各自、やらなければならないことが可視化されます。これらは、これまでの社員の成功体験を基に、成果が出る仕組みとして落とし込んだものなので、この通りにやれば全員同じように成果が上がります。最終的な評価は全上司が集まる成長支援会議で決定しますので、上司によって指示や評価基準が異なるということも起こりえません。

成長シート
縦軸に評価要素、横軸に5段階の評価基準が取ってあり、最後に社員が自ら評価点数を記入する。

4.歩合給制を廃止し、成長支援シートを導入

― 成長支援シートを導入した経緯を教えてください。

弊社が成長支援シートを導入した時期は、2009年9月です。2008年10月から成長塾に通い、半年かけて人事制度を構築し、5か月間試験的に運用した後、本格導入しました。
導入理由は、永続する会社を作りたかったからです。

導入以前は、歩合給という給与制度を持っていました。不動産業界では当たり前の制度なのですが、この制度をずっと変えたいと思っていました。
売ったら売った分だけ歩合がもらえる。売れなければもらえない。確かに、表面上はとても社員の納得を得やすい制度です。稼ぎたいという意欲を持った社員が、徹夜も惜しまずに仕事をし、ときには年収1,500万円となる社員も出ました。

しかし、無茶な仕事の仕方ができるのも35歳くらいまでです。そこからだんだん年収が下がっていきます。子どもが受験をする、塾に通う、高校や大学に進学するという一番お金のかかる時期に、収入が下がるのです。そうして稼げなくなると、社員は辞めていきます。

社員が幸せになる会社をつくるというずっと抱いていた理念に沿わない。社員を幸せにするために歩合給をなくしたいと、ずっと悩んでいました。
また歩合給制は、個人プレーに繋がりやすく、不公平感を生み出していました。

販売成績の良い営業社員は高い給料を取れますが、成績が伸びない営業社員や営業以外の間接部門の社員は給料が増えません。入社たった3か月で辞める社員もザラでした。社員の名前を覚える間もなく、社員が入れ替わっていたようなときもあります。

さらに、マネージャー職には役職手当が付きますが、前線に立つ営業マンは新築住宅を一棟売るだけで役職手当とは比較にならないほどの歩合給を得ることが出来るので、前線から離れたマネージャー職には誰もなりたがりません。引き受けたとしても嫌々やっている状態ですから、部下が育つはずがありません。いつの間にか、社内はギスギスした雰囲気になって、社員が定着しにくい会社になっていました。

さらに憂慮すべきこととして、顧客が欲しがっている商品ではなく、自分の給料のために顧客のニーズとは関係ない、価格が高い方の商品を売る社員が現れました。
我々は強い危機感を持ちました。目先の2~3年間、人より沢山稼げたら良いという社員しか残らない会社では永続することは出来ません。社員を幸せにすることもできません。会社を永続して、社員全員に長く働いてもらって、幸せな人生を送って欲しい。そのためには歩合給制を廃止しなければならない、と気が付いたのです。

― 歩合給制の廃止にあたって、心配されたことはありましたか。

歩合給を廃止すれば、営業社員のモチベーションが下がり、売上を稼いでいる上位の何名かのトップ営業マンが退職する可能性がありました。それによって、業績を維持・発展させることが出来なくなる心配はありました。また、歩合給制に代わる給与制度または人事制度が必要ですが、それがどのような制度かイメージ出来ませんでした。

そのような葛藤が続いていた時、経営者仲間から「人事制度に特化したコンサルティング会社がある」と紹介されたのがENTOENTOです。その話を聞いて可能性を感じた我々は、歩合給制の廃止を決めました。そして、それに代わる人事制度を構築するために、ENTOENTOの成長塾に参加しました。

5.ENTOENTOスタッフと一緒に成長支援シートを作っていった

― 成長塾に参加する前に、他の人事制度コンサルタント会社などとの比較はされましたか。

社員と社員の家族を守りたいという社長の想いが伝わってきた。いえ、他に選択肢はありませんでした。
成長塾で教える人事制度の考え方は、いわゆる成果主義とは対極にあります。そのような考え方を仕組みとして体系化しているコンサルタントは他に知りません。新しい人事制度を構築する決意で、迷わず参加しました。
実際に参加してみると、第一回目の受講の場で松本先生から「いわゆる成果主義や歩合給制は良くない」という話を聞いて我々が目指す方向性に確信が持てました。

― 成長塾に通いながら成長支援シートを作成していく過程はどのようなものでしたか。

作業は大変でしたが、松本先生の指導と、ENTOENTOスタッフのサポートがあったので、最後まで投げ出さずに作成することが出来ました。
成長支援シートの作成で行き詰ると、ENTOENTOに電話しました。成長支援シートの内容からパソコンの操作に至るまで、どんな時も一所懸命、丁寧に教えていただきました。こちらも必至でしたが、ENTOENTOはその必死さに応えてくれました。一緒に作り上げた、という感覚です。

成長支援シートを含む人事制度をゼロから作っていく過程は、大変なパワーが必要です。全6回講座きちんと通って、一つ一つのカリキュラムを積み重ねなければ作れません。研修会場で講義を受けて、課題を社内に持ち帰って作り上げていくのですが、事例はあっても、丸写しできるものではありません。経営者の想いが反映したものでなければ意味はないし、かといって経営者一人の想いだけで作れるものではない。3人の幹部が会議室に閉じこもって、議論を重ねました。その中で苦労したのは3人の意見を一致させることです。なかなか一致せず、数えきれないほど作り直す作業を繰り返しました。

― 半年かけて人事制度、そして成長支援制度が完成した時はどのようなお気持ちでしたか。

成長塾に半年間通って人事制度、成長支援シートを作成しましたが、それで完成ではありません。それは成長塾の中でも、言われたことです。実際に導入して見ると、変更すべき箇所が出てきます。実際に社員がシートで自己評価しようとすると、「わかりにくい」「評価しにくい」ということが出てきました。

6.社員が成長を実感できるツールじゃないと導入した意味がない

― 現在の成長支援シートにたどり着いた経緯をお聞かせください。

最初に作った成長支援シートは部署ごとに作成してあり、評価要素は23~25項目ありました。しかし、実際に社員に評価させてみると、部署ごとという分類では大雑把すぎるということが分ってきました。なぜなら、同じ部署に所属していても、1年目の社員と2~3年目の社員では、会社が期待する成果や業務内容が違うからです。1年目とベテラン社員ではなおさらです。つまり成長支援シートに書いてある評価要素全てが、その部署全員に当てはまるわけではありません。

普段自分がやっていない業務で評価点をつけることは不可能です。無理に評価しようとするとその評価要素の評価は5段階の「1点」となってしまいます。また、評価基準も、出来るだけ明確にランク付けしたつもりでしたが、あいまいな基準が残っていました。

これでは、社員自ら評価する成長支援シートが、社員のストレスになってしまいます。
成長塾の教えでは、人事制度は、社員を評価するための制度ではなく、社員の成長を支援するための制度です。その教えに従えば、成長支援シートは、社員たちが前向きに取り組める内容でなければいけません。自分で評価点をつけることで、社員自らが自分の成長を実感出来ることが重要なのです。問題があるまま1年間過ぎたら、社員が自分の成長を確認するという本来の機能が果たせないため、やりにくい要素があれば修正しました。

弊社では毎月マネージャーと社員の面談を行い、成長支援シートをもとに月々の成果を確認します。その質疑応答の中で成長支援シートの問題を抽出して報告してもらいました。そこで気が付いたのは、極端に言えば社員一人ひとりに応じた成長支援シートが必要だということです。実際には、35人の社員ごとの35種類ありませんが、部署と成長階層によって細分化して作った結果、現在の20数種類になりました。

7.トップ営業マン4人が退職。しかしリーマンショック後も業績を維持

― 成長塾に通い始めてから本格導入までの約1年間、歩合給をやめるという方針に対して、社内の反応はいかがでしたか。

我々が危惧していた通り、トップ営業マン達からは反発がありました。また、他の社員たちからも、モチベーションが下がった営業社員がやめた場合の会社の経営を心配する声がありました。
しかし、我々としては、この制度改革をやりきらない限り会社の永続はない、社員を幸せにできないという信念があったので、1年かけて説得する覚悟を決めました。

「子供が中学校、高校と一番金が要る時に、売れへんかったらどうしようと、そんな怖い会社あかんやろう」と説得をしましたが、結局、営業部長を含めた営業社員4人が退職しました。

― それによって、どのような影響があったのでしょうか。

トップ営業マンの4人がやめたことは残念なことです。しかし、それで業績が落ちることはありませんでした。リーマンショックによる不景気時も業績を維持し、昨期は前年比約14%の増収となりました。
導入までの1年間で、全社員と対話を続け、歩合給制を廃止することの目的や意義は、残った社員達の間に浸透しており、成長支援シート導入効果はすぐに現れたのです。

8.個人の成果から会社の成果へと価値基準がシフト。社員がやめなくなった

― この成長支援シートを活用した新人事制度導入によって、会社はどのように変化しましたか。

びわこホームの新卒採用ページ。成長支援シートによって、新卒社員も活躍できる環境が実現している。最も重要な変化は、個人の成果から会社全体の成果へと価値基準がシフトし、理念が統一出来たことです。個人プレーに走る社員がいなくなり、チームワークが形成され、社内の雰囲気が良くなりました。そして、離職率が低下しました。

弊社では、賞与の原資を、経常利益の一定割合と決めています。そして各自の評価点数に従って、その原資を全社員に分配します。個人や部門のみではなく、びわこホーム全体で目標を達成しなければいけないという意識を全員が持ち、ノウハウを共有するようになりました。

また、社員が自分で目標を立てて動くことが出来るようになりました。成果を上げるため、また自分が成長するためにすべきことが明確になった分、手持ち無沙汰な無駄な時間がなくなりました。それは同時に、マネージャーの業務も楽にする効果もありました。管理するポイントが絞れるようになり、余計なことを考える必要がなくなったからです。
さらに、 成長支援シートの導入によって、社員の人生設計もしやすくなりました。成長支援シートに基づいた長期計画で、5年後、10年後のキャリアパスが見えるからです。

― 人事制度に関連して、今後はどのようなビジョンをお持ちですか。

成長支援シートは本来、社員の成長を支援するためのツールです。今後、2年、3年、5年と、びわこホームというグラウンドで仕事をすることで、各社員が成長し、夢を実現し、幸せに一歩ずつ近づいていくということが、経営者としてのミッションだと考えています。

仮に22~23歳で入社した社員が、数年後、上場企業に就職した同級生と自分を比較した時に、自分の方が成長できている、給料も多い、といった実感が持てれば、会社に対する誇りを持てるでしょう。そんな風に社員全員が成長し、幸せを実現することが出来た、そんな言葉を社員自身から聞けるようになれたら嬉しいですね。

9.今後人事制度を作っていきたい経営者に対するアドバイス

― 今後、人事制度を構築しようとしている企業へのアドバイスをお願いいたします。

本気で実践するつもりなら、成長塾に行くのが一番です。
よく他の経営者が視察に来られて話を聞いて行かれるのですが、我々はそのプロではないので自分達が体験した以上の話は出来ません。実際に、そのようにアドバイスさせていただいた中から、受講された方も数名いらっしゃいます。
成長塾には、同じ問題意識を持った経営者が集まって来ます。そこで問題意識を共有して、切磋琢磨したり、情報交換したり、そういった体験が出来ることも貴重です。

また、年に一回、成長塾の研修を修了した経営者が集まる全国大会があります。同じ中小企業の経営者ばかりが集まり、成功事例や苦労された事例などを発表する大会です。共感出来ることや勉強になることが多い貴重な機会です。
こういったことも含め、人事制度や社員の成長に関して悩んでいる経営者の方は、ぜひ成長塾に参加されることをお勧めします。

10.ENTOENTO成長塾への今後の期待

― ENTOENTOまたは成長塾への今後の期待をお話しください。

成長塾を受講し、成長支援シートを作成した後も、全国大会に参加する他、メールやニュースレターを送っていただくなど、弊社とENTOENTOとのお付き合いは続いています。
今後の日本では企業における”人”の問題は、成長支援に留まらず、様々なリスクが発生してくることが予想されます。そのリスクに備えるためにも松本先生からヒントをいただいて、しっかり対応していきたいと考えています。

びわこホーム様

びわこホーム株式会社様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


びわこホーム株式会社様のホームページ
※ 取材日時 2011年10月


株式会社群協製作所様(製造業 群馬県)

2018-06-25 [記事URL]

社員が守るべきことを守れる会社にしたい。それがきっかけでした。組織風土が良くなったことで、今期業績は昨対で15~20%アップ間違いないでしょう。

株式会社群協製作所レーザーノズルとブラックレンズの販売では業界で有名な群馬県の株式会社群協製作所は、町工場ならではの古い慣習を見直したところ、社員の勤務態度が改善し、その上業績がアップしている。
代表取締役の遠山 昇氏に詳しいお話をお聞きした。

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1.群協製作所の概要
2.成果を上げるよりもすごい技術を身につけるよりも勤務態度を守れる社員になってほしい
3.年功序列の評価は矛盾だらけ
4.初めて成長制度を導入するにあたっての社内の反応
5.群協製作所の成長制度とは
6.成長塾の成長制度の導入効果
7.相手が生身の人間だから、成長制度は真剣にやると面白い
8.成長制度を導入しようと考える経営者へのアドバイス
9.今後の期待

1.群協製作所の概要

― 群協製作所についてご紹介ください。

群協製作所の製品群協製作所(以下群協)は、群馬県で、銅管継手、レーザーノズルやブラックレンズなどの消耗品の販売、業務用粉塵フィルター洗浄の環境ビジネスと3本柱で事業展開しています。

従業員は営業部と製造部と合わせて40名です。

2.成果を上げるよりもすごい技術を身につけるよりも勤務態度を守れる社員になってほしい

― 群協製作所が、成長制度を導入するまでの経緯をお聞かせください。

勤務態度が良くない社員のいない会社にしようと思ったのがきっかけです。
勤務態度がお世辞にも良いとは言えない社員がいました。本人はほとんど自覚がなかったと思います。
私用メール、携帯電話で話をする、ガムを噛む、くわえタバコ、口笛を吹くなんていうのは日常茶飯事。社員同士のケンカもあれば、下着姿で仕事をする者もいました。工場に禁止事項の張り紙をしても、見る者はなく、当時は効果がありませんでした。

他の会社の見本になるようなすばらしい会社にしようとは高望みしませんが、社員が守るべきことを守れる会社にできないかと思っていました。

― そのような職場環境がつくられた原因は、どこにありましたか。

町工場には共通することですが、義理人情や年功序列での評価や給料を決めるという慣習があったことです。

「職人だからいいものを作れば、何をやってもいい」というような暗黙のルールがありました。

3.年功序列の評価は矛盾だらけ

― 職場の環境を改善するためには、具体的に、どのような仕組みが必要だと考えましたか。

まずは古い町工場の慣習を変える必要があると思いました。年功序列の給料は、公務員ならいいかもしれませんが町工場では通用しません。勤続給、年齢給の割合が高いようでは評価と矛盾していて正しく給料が決められないと思いました。

― どのような矛盾点があったのですか。

たとえば、若い上司の給料よりも年上の部下が高い、という給料の逆転現象も一部にありました。若い社員は、コンピューターつきの操作が難しい機械もすぐ覚えます。しかし、古参の社員は新しい機械が扱えなくても給料は下がることがないので、新しい技術を覚えようとしません。こういったことは製造業では致命傷になります。世間の技術革新に会社組織が追いついていけなければ、企業間の厳しい生存競争に生き残ることはできません。

4.初めて成長制度を導入するにあたっての社内の反応

― 初めて成長制度を導入するにあたって群協製作所の社内の反応はいかがでしたか。

社員から猛反対にあいました。先代の父にも反対されました。
成長制度をつくり評価を見直したところ、能力に対して給料があわず、減給の対象となる社員が数名でたからです。
成長塾ではこの減給相当額のことを調整給と言います。

成長塾では、調整給の見直しまで半年以上チャレンジ期間をおくよう説明されます。しかし、1人の社員については幹部で、もっとも勤務態度が悪かったので厳しく指導しました。どうしても良くなって欲しかったからです。それ以外の調整給の発生した3人の社員も伝えたところ、なかなか分かってもらえませんでした。

彼らの上司も呼んで一緒に話し合いました。彼らは「この成長制度はすばらしい。技術力が上がるに従って給料が上がるのは、若い人やヤル気のある人にはいいだろう」と分かってくれますが、ただ自分の給料が下がることは納得してくれませんでした。私は「評価=給料」、「給料=評価」と1時間半ほど説明しましたが、時間切れで納得してもらえませんでした。

― その後、どのように納得してもらったのですか。

厳しく指導した1人の幹部は辞めてしまいました。彼は芸術的な技術を持つ天才肌の職人でした。なぜそれほど高い技術力を持つ職人の評価が低いのかというと、一般職層の成長シートの全体の4割が勤務態度の評価にウェートをおいているからです。

天才肌の職人は、勤務態度がとても悪かったのですが、技術を持っているために、今まで誰も彼を指導することができなかったのです。彼はこの処遇に対して非常に怒りました。しかし彼は「勤務態度を改善することができない」と辞めてしまいました。

― 天才肌の職人が辞めてしまって、業務に影響はありませんでしたか。

正直、「辞める」と言われて困るというのはありました。そんな時、松本先生から2・6・2の組織原則を教えていただきました。2・6・2の原則とは、社員全体の中の2割が優秀、6割が普通、残りの2割りは成長していない社員という比率のことです。
「優秀な2割がいなくなれば、普通の6割から優秀になる人が育ってくる」と松本先生からアドバイスいただき、まったくそのとおりになりました。

成長塾では「勤務態度が悪いときは上位の社員から指導しなさい」と言っています。上の立場の人間と話をつけるのが解決するポイントです。まったくこれと同じでした。
勤務態度の悪い幹部が辞めたので、みんなルールを守るようになりました。

残った人も何回も時間をつくって話し合いをしたので、徐々に納得してもらえたと思っています。

― 先代も最初は賛成されていなかったようですが。

「俺がここまでやってきたんだ。間違いはない」と先代もプライドがありました。先代とも社員と同じように時間をつくり、何回も話合いました。
私が作った成長制度は先代のやってきたことを尊重するもので、否定するものではありません。群協も40年続いている会社ですから、先代が大切にしてきたものや、人との繋がりは継承しています。そのこともだんだんわかってくれて先代も心を開いてくれました。

実は先代の反対には理由がありました。給料を下げることがいかに大変かを知っていたので、心配していたのです。以前不景気で資金繰りが間に合わず、全員の給料を下げたことがあったからです。
この成長制度は根拠のある給料の決め方をしているので、先代も安心してくれました。もっともこの成長制度は給料を下げるためのものではなく、社員を成長させ、給料を上げるために導入しました。

5.群協製作所の成長制度とは

― 群協製作所の成長制度について、詳しく教えてください。

群協では、成長塾で学んだ「成長シート」を活用しています。
「成長シート」は経営者が優秀な社員をモデルに作成し、社員が目指す道を、成果、勤務態度、知識・技術、重要業務という項目に分け、それぞれ「何をどのようにすればいいか」具体的に示しています。

「成長シート」は点数で評価します。ウェートが高いほど重要度が明確になっているので、社員は何をしたらいいのか明確になります。
このシートには上司の評価も書き込みます。社員は自分で評価し、上司の評価をうけることで、自分の成長を確認することができます。
「成長シート」で評価をすることで、経営者や上司は、部下に具体的な指導が継続的にできます。

●群協製作所の成長シート

群協製作所の成長シート

・勤務態度(朝掃除、規律性、協調性)の評価が全体の4割を占めています。
・営業部は専門知識のウェートが高くなります。
・製造部の技術習得は、10種類以上ある機械の操作技術を1台1台評価し、使う頻度の高い機械や扱うのが難しい機械はウェートが高くなります。

6.成長塾の成長制度の導入効果

― 成長塾の成長制度の導入効果をお聞かせください。

一番の効果は社員の勤務態度が良くなり、良い組織風土の会社になったことです。
さらにありがたいことに、この不況下、業界全体が50%も業績ダウンしているなか群協は少しずつですが確実に基礎体力が向上しています。消耗品は景気のバロメーターのようなもので、最初に不況の影響を受けます

ライバル会社が戦意消失している中、営業部では毎月平均25件、新規顧客を獲得してきます。私自身も驚いています。
製造部では今まで新しい技術を学ぶことは、一部の社員しかしていませんでした。今では技術習得率が、半年で1人あたり平均5%上がりました。過去にはありえないことです。

このままいけば今期の業績は昨年対比で15~20%アップは間違いないでしょう。

― このような効果を生み出した理由はなんですか。

成長制度によって社員の勤務態度がよくなったことと、社員が会社の方針や重要業務を理解し、それぞれ自分のやるべき事を遂行していることです。
松本先生が「社員が成長するには、守るべき勤務態度を遵守し、業務を遂行するための知識、技術を習得し、成果を上げるための重要業務が継続できること」とおっしゃっていた通りになりました。
成長制度により社員は勤務態度がよくなり、会社の業績はアップしました。

7.相手が生身の人間だから、成長制度は真剣にやると面白い

― 成長塾を受講して印象に残ったことはなんですか。

gunkyo-5.jpg成長制度づくりを真剣にやると面白いと思いました。相手が生身の人間だから、泣いたり、怒ったり、喜んだりして最後に納得する。
今の会社の状態をいうと、女性の営業が主力となって稼ぎ、社員が将来を信じて一生懸命勉強しているというとこですかね(笑)

成長制度導入後、具体的に印象に残ったことは社員が仕事の満足感をもっていることと、会社がきれいになり社外の評価をもらったことでです。

「社員が仕事に満足感をもっている」
女性の営業たちが「仕事はお金ではなく満足」と言ってくれました。私自身、社員の成長は感じていましたが、そこまで仕事にやりがいや満足感をもっていたことをとても嬉しく思いました。彼女たちは取引先の社長さんから、営業しなくても「いつものアレちょうだい」と注文が入るくらい信頼されています。

「社員の勤務態度がよくなり、会社がきれいになった」
勤務態度が良くなった事で会社がとてもきれいになりました。社内の評価だけでなく、業者さんからは「ずいぶんきれいになったね」と言われます。
ダスキンや電気の検針のおばちゃんからも「群協さんのトイレはいつ来てもきれいだし、社員さんもよく挨拶してくれますね」と言っていただきすごく嬉しいですね。彼女たちはトイレ休憩が群協でできるようスケジュールを組んでいるそうです(笑)

8.成長制度を導入しようと考える経営者へのアドバイス

― 成長制度を導入しようと考える経営者へのアドバイスをお願いいたします。

最初は欲張らず、会社の考え、価値観を成長シートに落とし込むことですね。
「成長シート」の見本を見るとすばらしいので、あれもしたい、これもしたいと思います。私も最初は、責任感、積極性、使命感などもシートの項目に入れたいと思いました。でも冷静になって、私が社員に求めているものは何か考えてみると、ケンカしないでルールを守る、朝みんなで掃除することなんです。

経営者が求めている社員像を、背伸びしたり欲張らずに「成長シート」に落とし込むことです。
社員は急に優等生にはなりませんから、時間をかけてゆっくりと向き合ってください。時間をかければ社員は成長します。

私の夢は、10年後には技術と勤務態度の両方が優秀な社員が大勢うちの会社に揃うことです。そうなればどんな大不況がやってこようが絶対に会社は倒れません。

群協は成長途中の社員がたくさんいたから時間がかかりましたが、やりがいがありました。私どものようにこれから成長する社員がたくさんいる会社はやりがいがありますよ。町工場にはこの成長塾の成長制度はいいと思います。

9.今後の期待

― 成長塾への今後の期待をお聞かせください。

成長塾の成長制度は奥が深いのがよくわかりました。、松本先生も今の状態に100%満足していないと思います。これからもっといい情報が出てくると思いますので、ぜひ教えていただきたいです。
群協の社員は素晴らしい社員になりました。これからはもっと成長して大きな夢を描ける会社にすることが目標なので、松本先生これからもよろしくお願いします。

株式会社群協製作所様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


株式会社群協製作所様のホームページ
※ 取材日時 2009年9月


株式会社シューコーポレーション様(スーパーマーケット・TSUTAYA・惣菜事業 富山県)

2018-06-25 [記事URL]

人は、人を変えられません。社員が自ら変わるきっかけを作る。これが人事制度のカギです

シューコーポレーション"富山県でスーパーマーケット・TSUTAYA事業・惣菜専門店を経営する株式会社シューコーポレーションは、社員が毎日徹底したセルフチェックを行う仕組みを構築し、成果をあげている。代表取締役 北 修(きた・おさむ)氏に詳しいお話をお聞きした。

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シューコーポレーションの概要
人事制度の導入効果
シューコーポレーションの人事制度とは
「ただ漫然と働いているだけ」 活気のない職場だった
過去につくった人事制度は、”まったく使えない”ものだった
上司からの命令ではなく、自分の意志で働ける社員を育成したい
人事制度を導入するにあたっての社内の反応
TSUTAYA砺波店は、なぜグランプリを獲ったのか
人事制度を導入しようと考える経営者へのアドバイス
今後の期待

シューコーポレーションの概要

― シューコーポレーションについてご紹介ください。

シューコーポレーションは、富山県で、スーパーマーケット・TSUTAYA事業・惣菜専門店の3つの業態で事業展開している会社です。従業員数は94名(2008年度)、売上高は11億6000万円(2008年度)です。

シューコーポレーションは、”快適生活供給会社”という経営理念のもと、一人ひとりの要求に対応できる、快適なサービス、快適な生活を提供したいと考えて活動しています。

2009年3月、シューコーポレーションの経営するTSUTAYA砺波店は、全国のTSUTAYA 1400店舗のなかから、接客、清掃、売上げなどを総合的に評価する全国大会「TSC(TSUTAYA STAFF CONFERENCE)」で、グランプリを受賞しました。

TSUTAYA砺波店「この舞台に立てるとは夢にも思っていませんでした」

人事制度の導入効果

― 人事制度の導入効果をお聞かせください。

2004年、人事制度を導入するために、第4期成長塾に参加しました。
半年間かけて、全6回の講座を受講しました。

人事制度を取り入れてから、とくに、TSUTAYA事業では月商が軒並み前年を上回るようになりました。2007年には、業界全体が厳しいなか、営業利益が前年対比286%にまで改善しました。

その他の具体的な業績は以下のとおりです。

■主な業績(2009年6月)

前年比 業界平均 出典
●TSUTAYA
  - CD/DVD 108% 96.8%
  - 書籍 106% 104.7% [JASRAC調べ]
●スーパーマーケット 98% 97.3% [日本チェーンストア協会調べ]
●惣菜専門店 112% 103.1% [惣菜白書調べ]

また、シューコーポレーションでは、新入社員の離職率が60%と高く、問題でした。
しかし、人事制度を導入してから、離職率が以前の3分の1の20%程度に下がりました。

― このような効果を生み出した理由はなんですか。

人事制度によって、適正な評価と上司とのコミュニケーションができるようになり、社員がやる気と目標を持てる職場になったからです。

特別なことはなにもしていません。ただ、社員それぞれが自立して行動し、日々の重要業務をしっかりとこなす。そんな土台ができたと実感しています。

TSUTAYAの書籍部門が好調な理由は、「提案力のあるコーナーづくり」です。このコーナーづくりに関して、私は一切関与していません。社員が考案し、社員がチェックしています。

惣菜専門店では、従業員が2週間に一度集まり、新メニューの試食会を行っています。自分たちで材料を決め、自宅でメニューを考えて持ち寄る。これも、現場の従業員が自主的に行っています。

シューコーポレーションの人事制度とは

― シューコーポレーションの人事制度について、くわしく教えてください。

シューコーポレーションでは、成長塾で学んだ「成長シート」と「フィードバックシート」を現場の作業内容に落とし込み、社員が毎日セルフチェックができる仕組みを導入しています。

●シューコーポレーションの成長シート

成長シートは、社員に業務上の課題をあたえ、その課題について社員がセルフチェックするものです。
現場で「どの作業をどの程度こなせば、目標を達成できるのか」を細かく分類し、社員全員で共有しています。目標があっても、それを実現する方法がわからない社員はたくさんいます。そういった社員に、具体的な課題を与え、自らが成長するためのプロセスを把握してもらうのが、成長シートの目的です。

シューコーポレーションの成長シート.gif

◆成長シートの使い方
1.まず3ヶ月間の売上げ目標を設定し、把握します。
2.その目標を達成するための具体的な課題、つまり、現場で行うべき作業をチェックします。
3.それらの課題を、どの程度こなしたのかを、社員自らふりかえって自己評価します。
4.自己評価を受けて、上司が評価のフィードバックを行います。

成長塾では、成長シートを「評価は3ヶ月に1度行う」と言っています。
しかし、シューコーポレーションでは、3ヶ月に1度では少なすぎると考え、「成長日報」を社員に毎日記入させ、上司が毎日コメントしています。人間は毎日くりかえし課題を意識しないと、成長しませんから。

●フィードバックシート

上司が、3ヵ月単位で、評価に関するフィードバックを行うものです。
部下は自己評価をしますが、上司の評価と一致しない場合が多いものです。このままでは、部下は上司の指導を受け入れづらい環境になってしまいます。そこで、上司が(組織的に決まった)評価を伝えることになります。この評価とは、部下の成長確認です。

フィードバックシート

上司が、フィードバックシートをしっかりと書けると、その部下もしっかりとやれるようになります。
上司は、部下に課題を与えるだけではなく、与えた課題を把握しておくべきです。部下の信頼を得て、部下の成長を適正に評価するために、不可欠なことだからです。

「ただ漫然と働いているだけ」 活気のない職場だった

― シューコーポレーションが、人事制度を導入するまでの経緯をお聞かせください。

私には、経営者として「社員全員に夢と目標を持ってもらい、いきいきと仕事をしてもらいたい」という理想がありました。

しかし、以前のシューコーポレーションは、社員もパート従業員も「ただ漫然と働いている」だけ。現場には活気がなく、理想とはかけ離れていました。

社員からは「給料を上げてくれ」「ボーナスが少ない」などの不平不満が多かった。

顕著だったのは、新卒社員の離職率です。人事制度を導入する以前は、60%にものぼっていました。 原因は、上司や先輩にあたる社員に、会社に対する思い入れがなかったこと。せっかく仕事に対する夢や目標を持って入社したのに、現場を見て失望してしまうのです。

― そのような職場環境がつくられた原因は、どこにありましたか。

上司と部下のコミュニケーションがうまくとれていなかったことです。
経営者である私自身、特定の幹部社員としかコミュニケーションをとっていませんでした。

社員は放任状態。「人間として」のつながりはなく、「お金」のつながりがあるだけでした。

社員とコミュニケーションがとれていなくても、業績に問題がなかったことも、原因のひとつだったのかもしれません。

経営的に申し上げますと、ビジネスモデルそのものが成長していく時期ならば、働く人間の様子がどうであれ、業績は伸びると言われています。当時のシューコーポレーションも、そうでした。

しかし、いずれ業務拡大を目指すにあたって、ビジネスモデルだけではなく、人の力が原動力になる時期がくる、と感じていました。

職場の環境を改善し、社員それぞれが、やる気を持って働けるようにしたい。そして、命令に従うだけではなく、自分の意志で働ける社員になってほしい。

そのためには、社員を正しく評価し、適切に処遇を決めるための人事制度が必要だと考えました。

過去につくった人事制度は、”まったく使えない”ものだった

― 職場の環境を改善するためには、具体的に、どのような仕組みが必要だと考えましたか。

最初は、具体的には思い浮かびませんでした。
とにかく、「社員が納得するように、適正な評価をしていれば、やる気のある人材に育つだろう」という程度の認識。「適正な評価」の定義も、当時はあいまいでした。

実は、成長塾に出会う以前、ある人事コンサルティング会社に依頼して、90万円をかけて人事制度をつくったことがありました。 ところが、いざ運営しようとすると、その制度はまったく使いものになりませんでした。

― なぜ、その人事制度は使えないものだったのですか。

その人事制度は、社員の処遇の決定が、私の頭のなかでしか行えない内容だったからです。
例えば、作業内容に点数をつけ、「○点とれば昇給する」「○点になれば賞与をアップする」といった仕組みはありました。 しかし、じゃあ実際に「シューコーポレーションのどの業務の、どの作業に対して、どんな行動をとれば点数が上がるのか」という、具体的な現場レベルでの落とし込みができていなかった。
結局、社員につける点数は、経営者である私の独断で決めるしかなかったのです。
これでは、社員は納得がいきません。自分につけられた点数の根拠が、社長の頭のなかにしかない、というのでは、とても適正に評価されているとは思わないでしょう。
せっかくつくった人事制度でしたが、捨てることになりました。

その後、成長塾と出会い、興味を持ちました。
ENTOENTO(多摩研)の人事制度は、「経営者以外の第三者が見ても、適正に評価できる仕組み」と提唱されていたからです。

上司からの命令ではなく、自分の意志で働ける社員を育成したい

― 成長塾を受講して印象に残ったことはなんですか。

印象に残ったのは、次の3点です。

「誰が見てもわかりやすい方法で、正しく評価し、社員を成長させる制度をつくること」
「評価のポイントは、自社の実際の業務内容に落とし込むこと」
「社員それぞれに具体的な目標と課題を与え、自分の成長過程をセルフチェックさせること」

成長塾ではまず、プロセス管理と目標管理のやり方を学びました。
そして、最初の足がかりとして、「成長日報」を作りました。

この成長日報は、上司が部下に日々の業務の遂行や成果・勤務内容などについての課題を出し、その課題に対して、部下がその日一日をセルフチェックするものです。
そのチェックに対して、上司が評価をし、コメントを書きこみます。

試作段階では、私と当時9人の社員全員とで、この成長日報のやりとりを行いました。手書きで毎日続けること1年半。社員との強いコミュニケーションツールともなり、のちの人事制度のベースとなりました。

成長塾全6回の講座が終わり、最初に「成長シート」を運用しました。
成長日報も、自分なりに細かく変化させ、いよいよ本格的な人事制度を導入しました。

人事制度を導入するにあたっての社内の反応

― 人事制度を導入するにあたって、社内からの反発が起きることがよく聞かれますが、シューコーポレーションの社内の反応はいかがでしたか。

全員を適正に判断し、一丸となって会社を成長させたい反発はありませんでした。

やはり、経営者だけが儲かる仕組みを考えていれば、社員はついてきません。社員には、「みんなをしっかりと評価して、利益ができれば還元したい。みんなでがんばれる環境づくりをやろう」と説明しました。

たしかに、全員が100%納得できる人事制度ではなかったかもしれません。しかし、試作段階に、手書きで成長日報のやりとりを続けてきた社員をはじめとして、人事制度を理解して、引っ張ってくれる存在があります。社員にこの制度の重要性を認めてもらえたから、うまくいくのです。

現在、シューコーポレーションでは、チーフクラス以上の社員が集まり、制度そのものを考え直す「成長会議」を定期的に行っています。まだまだこれからも改良を加え、よりよい制度に進化させていきたいと考えています。

TSUTAYA砺波店は、なぜグランプリを獲ったのか

― 2009年3月、シューコーポレーションの経営するTSUTAYA砺波店は、TSUTAYAの全国大会「TSC」でグランプリを獲得し、全国1400店舗の頂点に立ちました。このように高い評価を得たのはなぜでしょうか。

人事制度が、シューコーポレーションに「基礎体力」をつけたのです。

成長塾を通して学んだことは、「日々の重要業務をしっかりと行えば、成果があがる」ということ。
「売上げをあげろ」「利益をあげろ」と言うのは簡単です。しかし、どうすれば売上げはあがるのか、目標を達成するには毎日なにをしなければいけないのか。それを社員に明示するということです。

シューコーポレーションにとって、もっとも重要なのは「勤務態度」でした。
土壌が悪ければ、良い作物ができないのと同じで、勤務態度が悪い店は、業績が上がりません。
そこで、勤務態度を向上させる仕組みをつくろうと思いました。
成長塾では、「社内で一番優秀な社員を見本にする」ことを学びました。社内では、「勤務態度の良い社員を見本にしてつくった成長シートを目標にしなさい」と教育しています。

勤務態度を高めるために、新入社員には「整理整頓」「あいさつ」を徹底させています。
知識や技術は、経験を積めばいずれ得られます。しかし、土台となる「姿勢」は、最初にしっかり教育するべきです。

このような地道な「基礎体力トレーニング」の成果が、グランプリ獲得につながったのです。

人事制度を導入しようと考える経営者へのアドバイス

― 人事制度を導入しようと考える経営者へのアドバイスをお願いいたします。

「社員を成長させる」こと

業績を上げることの前に、社員を成長させたいという思いがあるかないか。これが、人事制度のスタート地点です。
「社員が成長する」=「会社が成長する」。この基本があるから、業績が上がる。
社員たちに、どう成長してほしいのか。それを仕組みにして伝えるということです。
人は、人を変えることはできません。働く社員が、自ら変わるきっかけをつくる。それが、人事制度の成功のカギだと私は思います。

「成功事例は意味がない」

「いいノウハウはないか」「同業種の成功事例を知りたい」と求めても意味はありません。気持ちはわかりますが、人事制度は、他社のものまねでは成果は上がりません。自社には自社の土壌があり、その土壌を育てることが大切だからです。
たとえば、TSUTAYA砺波店がグランプリを受賞したからといって、その仕組みをそっくりマネして、同じTSUTAYAチェーンの他店に持ち込んでも使えない、と私は断言します。

「トップが真剣になる」

人事制度は、経営者が頭ごなしに「この制度でやるぞ!」というだけではうまくいきません。その制度に対する経営者の思いが、いかに真剣なのかを、社員に認めてもらうことが大切です。

今後の期待

― 成長塾への今後の期待をお聞かせください。

日本には、人事制度が必要な中小企業がまだまだたくさんあります。
しかし、人事制度に着手しないのは、人事制度に誤解があるからでしょう。
最終的には、「人」が利益をあげます。「人」の部分に焦点を当てなければ、経営はうまくいかない。その仕組みをつくるのが成長塾です。

成長塾は単なる勉強会ではなく、中小企業の生き残りと発展のための、ひとつの大切な節目であると考えます。ぜひ今後も、成長塾のノウハウを全国に広げていただきたいと期待しています。

株式会社シューコーポレーション様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


株式会社シューコーポレーション様のホームページ
※ 取材日時 2009年7月


『日経レストラン』2016年3月号

2016-03-01 [記事URL]

日経レストラン3月号

『日経レストラン』2014年4月号より、弊社代表・松本の12ヵ月間の連載がスタートしました。
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『日経レストラン』2016年3月号(P82-P83)のテーマは「やる気を生む! 人材育成の仕組み作り(24) スタッフの成長度で閉店を判断 好調な既存店への影響を避ける」です。


『日経レストラン』2016年2月号

2016-02-01 [記事URL]

日経レストラン2月号

『日経レストラン』2014年4月号より、弊社代表・松本の12ヵ月間の連載がスタートしました。
好評につき、引き続き連載しております。
『日経レストラン』2016年2月号(P74-P75)のテーマは「やる気を生む! 人材育成の仕組み作り(23) 欲しい人材像を明確にできる 「成長シート」は面接にも有効」です。


『日経レストラン』2016年1月号

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『日経レストラン』2014年4月号より、弊社代表・松本の12ヵ月間の連載がスタートしました。
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2015-12-01 [記事URL]

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『日経レストラン』2015年12月号(P76-P77)のテーマは「やる気を生む! 人材育成の仕組み作り(21) 部下のわずかな成長にも気付き モチベーションを高める」です。


『日経レストラン』2015年11月号

2015-11-01 [記事URL]

日経レストラン11月号

『日経レストラン』2014年4月号より、弊社代表・松本の12ヵ月間の連載がスタートしました。
好評につき、引き続き連載しております。
『日経レストラン』2015年11月号(P74-P75)のテーマは「やる気を生む! 人材育成の仕組み作り(20) 仕事の全体像を明確に伝え キャリアプランを作成する」です。


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