第205話 経営目標には賃上げ率を併記すべき時代が到来
2024-04-23 [記事URL]
いよいよ、中小企業でも賃上げが必要になりました。
賃上げ額は会社の利益から“原資”を捻出する必要がありますが、この原資がどのように捻出(計算)されているのか社員に教育している会社はほとんどありません。そのため、「業績が悪いのは分かりますが、社員にも生活があるので賃上げしてください!」と、驚くような要求をする社員が出てきます。
おそらく、この要求を耳にした経営者は相当腹が立ったことでしょう。業績が悪ければ賃上げできないのは経営者からすれば当然ですが、社員は知る由もありません。この教育を経営者がしていなかったことが、社員のとんでもない要求へとつながるのです。
会社の業績と賃上げの関係性を、社員に教育することが必要な時代になりました。会社は存続発展のために経営目標を掲げています。それは、実現できなければ存続発展は厳しくなることを意味しています。
ここで社員が知らなかったことは、経営目標を実現すれば賃上げ率は高くなること、そして経営目標が実現できなければ賃上げ率は低くなることです。最悪賃上げは「なし」になります。このことを仕組みにして、経営目標を達成したときに賃上げ率は平均何%になるか明示することで、仮に発表された経営目標が高かったとしても社員が反対することはありません。会社の存続発展のためだけでなく、社員の賃金を増やすための目標だと理解するからです。
このとき、賃上げ率3%を達成するための経営目標、4%を達成するための経営目標、5%を達成するための経営目標と、それぞれの賃上げ率のためにはどれだけの経営目標を達成しなければならないのかを併せて発表します。
この中で社員にとってどれが実現したい目標になるでしょうか。それはもちろん、一番高い賃上げ率5%を実現したいと思うでしょう。「経営目標を実現する」という意味では、どの目標でも難しいことに違いはありません。しかし、全社員が一番高い賃上げ率5%を実現したいと望むのであれば、その「5%を実現するための取り組みを全社員一丸となって行おう」という流れになることは間違いありません。つまり、全社員同じ考えを持つようになります。
経営目標と賃上げ率を関連づけて発表することによって、今までのように「経営目標を全社一丸となって取り組もう!」と発表しても、中には反対している社員がいるといったことが現実にありました。その問題がなくなるのです。
この経営目標を実現したときの賃上げ率を発表する際、行ってもらいたいことがあります。それは、経営目標が実現できなかった場合の賃上げ率も同時に発表することです。昨年と同じ業績の場合は、賃上げ額は全員「0円」です。
会社の業績によって賃上げ率が変動することを発表することで、「賃上げは会社にお願いするものではなく、社員が成長して成果を上げ、会社の業績を高めることによって獲得できる」ことの現実を学び、全ての社員は成長していきます。
このとき「成長シートⓇ」があれば、社員はこう発言します。
「全社員、この成長シートで1人残らず成長しよう。それが『最も簡単』で『最も速く』業績を高める方法だ!」
成長シートには実際に社員が成果を上げた優れたやり方が記載されています。全社員がこの成長シートに書かれていることに取り組めば、全社員成果を上げることができ、結果として業績の向上と高い賃上げ率の実現が可能なのです。
成長シートがある会社では、特別なマネジメントスキルは必要なくなります。そして高い業績の実現が、今までとは桁違いに楽になるでしょう。
この成長シートをつくりたいという方、そして賃上げ率を前もって発表したいという方は成長塾にお越しください。
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4/22の日本経済新聞にポケットブックの広告が掲載されました!
2024-04-22 [記事URL]
4月22日の日本経済新聞1面に、ポケットブック『昇給・賞与は仕組みで悩まず決められる』の広告が掲載されました!
第204話 相対評価で賃上げ額を決めてはいけないのです
2024-04-16 [記事URL]
人事制度、賃金制度を持っていない経営者は“勘“で賃上げを決めています。この勘で決めた賃上げ額は間違っていません。ここが一番重要です。
一般的に、多くの経営者が「勘で決めた賃上げ額が間違っているのではないか」と心配しています。そのため「正しい賃上げの方法」を探すようになります。いわゆる、さまざまなセミナーや研修に参加して、どの方法が一番正しいのか検討し始めます。
しかし残念ながら、これまで経営者の勘で決めてきたこと以上に正しい賃上げの方法は存在しません。経営者はさまざまなことを考え(もちろん、そこには経営者の感情も入りながら)賃上げ額を決めています。
「この決め方で本当に良いのかどうか?」不安がいっぱいで自信がないゆえに、どうしても誰かに頼りたくなるのでしょう。しかし、ここは「自分の決めた金額は間違っていない」と自信を持たなければ、今後失敗せずに運用する人事制度、賃金制度の構築をすることはできません。
まずは経営者自身が今まで決めてきた賃金は間違っていなかったことを知り、そしてその決め方に自信を持ってください。
ここで問題になるのは「間違った決め方ではないのに、社員に説明できない」。たったこれだけです。その決め方を仕組みにしていないため、気付かぬうちに問題発言をしてしまうこともあります。
例えば、「頑張った社員にはたくさん賃上げします。たくさん賃金が欲しい人は頑張ってください」と社員に向けて発言している経営者は、この発言に問題があると気が付くことはないでしょう。
どこが問題か分かるでしょうか? それは仮にこの会社に100人社員がいたとしても、一番賃上げ額が高い人は1人しかいません。残りの99人はこの1人よりも賃上げ額が少ないことになります。つまり、万が一社員が賃上げ額を見せ合った時に、一番多いのはたった1人と分かります。
つまり、これは「相対評価によって賃上げ額を決める」と発言したに等しいのです。賃上げをした後で「私は評価されてたくさんもらえた」と思える社員はたった1人。残りの99人、99%の社員は残念ながらモチベーションをガクンと落とすことになります。優秀な社員ほど落ち込みは大きいでしょう。
全体的にたくさん賃上げをしたとしても、先ほどの経営者の発言によって多くの社員はやる気を落としていることに経営者本人は気が付いていません。
この問題を解決する方法はたった一つしかありません。それは賃上げの方法を仕組みにして社員に説明することです。それによって、社員は成長する度に賃上げ額が増えることを事前に知ることになります。
この賃上げする方法を可視化、仕組化する。それが賃金制度であり、賃金制度の構築は全ての社員のやる気を落とさないようにするためにとても大事なことです。
貴社では、全社員のモチベーションを維持するための賃金制度をお持ちでしょうか。もし賃金制度がなければ当社のグループコンサルティング「成長塾」で簡単につくることができます。ぜひ成長塾にお越しください。
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第203話 社員には高い経営目標を「ありがたい」と言ってもらいたい
2024-04-09 [記事URL]
過去、さまざまな企業から「経営計画書の発表会」での記念講演を依頼されてきました。この発表会では今期の経営目標を会社が発表しますが、出席している社員のうち約2割は、必ずといってもいいほど経営目標の実現を最初から「無理」と諦めています。
経営者が「この目標を実現しよう!」と言っているにもかかわらず、最初から「それは無理だ」と断言する社員がいることに驚きを隠せません。もっとも、これは規模に関係なく、全ての企業が同じ状況にあることは間違いないのです。
目標が高ければ高いほど、革新的なことをしなければなりません。つまり、今までのやり方では目標を達成することができないため、約2割の社員は「苦労しなければならない」という思いが頭をよぎり、実施する前から達成できないと結論づけてしまうのでしょう。
このままでは経営目標の実現は無理です。目標とは、全ての社員が一致団結して取り組むことで初めて実現するものであり、ごく一部の社員が頑張ることで実現するものではないからです。
では、一人残らず全ての社員に「経営目標を実現しよう」と思ってもらうにはどうすればよいのか。その悩みは尽きず、解決方法もなかったでしょう。しかし、今このような時代でも全ての社員が経営目標を実現しようと考えるようになる方法があります。それは、経営目標と賃上げ率を関連づけて一緒に発表することです。経営目標を達成することで自分の賃金が上がると理解することで、全ての社員は経営目標の達成にまい進するようになります。
ここで重要なのは賃上げ率の説明です。仮に経営目標達成時の賃上げ率が【平均】3%だったとしても、各社員の成長によって賃上げ率は異なり、全ての社員が一律で3%アップするわけではありません。つまり「賃上げ率は【平均】3%」であることを前もって説明できなければなりません。
大手企業の賃上げ率は労働組合との交渉によって決まる場合が多く、そのほとんどが全社員一律の賃上げ率をかけて賃上げする方法をとっています。しかし、これは現実的ではありません。例えば、同じ一般階層の社員であったとしても「入社したばかりの社員」「ある程度仕事ができる社員」「優秀な社員」では当然、賃上げ率はそれぞれ異なります。このことを事前に発表し、社員に理解させることが必要です。
中小企業では、もともと全社員に同率の賃上げ率をかけて賃上げはしていませんでした。このことを理解すると社員には、大事なことが伝わります。それは「成長すれば、その成長に沿って段々賃金が増える」ことです。このことに納得したうえで、全ての社員が「この経営目標を実現することが大事だ」と学びます。「全社員の賃金が一緒に増える」がポイントです。
全ての社員が「賃上げするためには経営目標の実現が必要だ」という共通認識を持ち、目標達成に向けて全社員一丸となって取り組んでいくようにしなければなりません。そのためには、経営目標の発表時点で、経営目標の実現が賃上げにどのように影響するのかを説明するのです。
もし「経営目標が実現できたとき、社員個々の賃上げがどれほどの金額になるかを経営目標【発表時】に社員に知らせたい、そして納得してもらいたい」と思っている方は、ぜひ成長塾にご参加ください。賃上げの金額が「経営目標発表」という期初の段階で説明できるようになります。その後の社員の成長に驚いてください。
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第202話 賃上げしない会社では一気に定着率の低下が過去最大に
2024-04-02 [記事URL]
「業績が悪いから賃上げしたくてもできない」
この経営者の嘆きは去年までは通用したでしょう。しかし、これからは通用しません。
「業績が悪いから賃上げはできない」と言われた社員は、転職する準備を始めるでしょう。社員は各社の賃上げの記事を毎日あちこちで目にしているので、「賃金が上がらないのは当社だけではないか? 今年できないのであれば、来年も再来年も賃上げはできないだろう」と考えざるを得ない状況です。
今までは、大手企業でさえあまり大きな賃上げをしてこなかった現実がありました。そのため中小企業は「賃上げ」の問題が表面化することはありませんでした。しかし、すでに時代は変わりました。業種や規模に関係なく「賃上げ」について考えざるを得なくなったのです。
これからは、まず経営者が「賃上げしたい」と全社員に宣言することが大切です。実際に賃上げするのではなく、あくまでも「宣言」です。経営目標には賃上げの目的が含まれていると示すことが大切なのです。
私が今、人事制度を指導している企業では、経営目標と賃上げ率を同時に発表しています。
○経営目標の粗利益高○○円を達成したときは平均3%賃上げする
○それ以上の粗利益高△△円を達成したときは平均4%賃上げする
○それ以上の粗利益高□□円を達成したときは平均5%賃上げする
今までは、経営目標に対して「実現は厳しいだろう」と陰で言っていた社員が、「賃上げ率」が入ったこの発表を聞いた後は「最も高い目標である粗利益高□□円を実現しよう!」と発言するようになります。中には、社員が初めて「この経営目標は必達だ!」と言ったことに驚いた経営者もいます。
今までの経営目標の発表時に不足していたものがあったのです。それは「経営目標を達成することで社員の昇給・賞与の金額にどれほど影響するか!」という説明です。経営者からすればこのことは当たり前かもしれませんが、実際この説明が不足していたのです。これは上場企業も含め、全ての会社の手落ちの部分だったでしょう。今年は「賃上げ率〇%を達成するための経営目標だ」と発表する必要があります。
そもそも、賃上げができない理由は会社の業績が悪いからですが、業績が悪いのは社員が成長していないからです。言い方を変えると、全社員を成長させていないから業績が伸びず賃上げができないのです。この責任はどこにあるのでしょうか? 真剣に考えるときがきたのです。
そのためには、社員を成長させるツールが必須です。
ENTOENTOのコンサルティング「成長塾」では、社員を成長させるツール「成長シート」のノウハウをお教えしています。「成長シート」を活用することで社員を成長させ、業績を向上し、結果として賃上げが実現できるようになるのです。
自社で一番成果を上げている社員のやり方を、全社員に共有化するだけで会社全体の業績を上げることができるのです。成果を上げている優秀な社員が、その成果を上げるやり方を他の社員に教えるようになる人事制度を構築することで、全社員が優秀な社員に教わり、結果として業績が向上します。教えた優秀な社員が、教えることで業績がさらに向上して「賃上げ率」が上がり自分の賃金が増えるのであれば、喜んで教えるようになるでしょう。
全ての社員が成長して業績が向上することで、賃上げ率〇%を実現できることが事前に分かる仕組みになります。これを「安心」と言います。
社員の賃金を上げるためには、高い成果を上げられる社員に成長させることが必要です。まずは「賃上げ率3%を目指すためには粗利益高は○○円」と全て前もって社員に説明することで、全ての社員がこの経営目標を実現しようとします(もちろんこれは平均です。現在の社員の成長度合いによって金額は違います)。
この仕組みをつくって「今年の経営目標は賃上げ率〇%を実現するためのものである」と宣言してください。
この仕組みは、弊社の行っているグループコンサルティング「成長塾」でつくることができます。この厳しい環境を追い風として社員を成長させたい方は、ぜひ今スグ成長塾にご参加ください。
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第201話 年齢給・勤続給の今までの役割は既に終わっている
2024-03-26 [記事URL]
3年前から、大手企業の経営者が「年功序列型賃金は継続できない」と発表しています。年功とは“年の功”という意味です。年齢や勤続年数を重ねていけば、社員が成長して成果が上がっていくことを前提に「年功給」として支給していました。
しかし、この変化の激しい時代においては、長く勤めることだけで組織の役に立つ社員に成長できるかと言うと、必ずしもそうとは言えなくなりました。逆に、ただ長く勤めているだけの社員が、組織の成長発展を大きく阻害することになりかねません。この年功給は「働かないオジサン・オバサン」を生み出した原因の1つでもあります。
ここでの年功給という賃金は「年齢給」と「勤続給」の2つですが、正確にいうと年齢給と勤続給は年功給ではありません。もともと年功を評価せずに全員一律で昇給しています。
そのため、現時点で年齢給、勤続給を年功給として支給している企業は、【大至急】賃金の見直しをしなければなりません。「年功」を目的とする賃金の支給を止めるのです。
ただし、今まで支給していた賃金の支給を廃止することは、社員にとって不利益変更になりますので注意が必要です。
賃金制度の見直しには大原則があり、現在の賃金額に「何も足さない、何も引かない」という変更の仕方をしなければなりません。つまり、年齢給や勤続給をなくすのであれば、その年齢給・勤続給と同じ金額を別の賃金として支給しなければならないのです。
見直しを通じて、この機会に経営者が「賃金を増やしたい」社員の賃金を「考えている金額」を増やせるよう、賃金体系を変更していかなければならないでしょう。
法律上、支給しなければならない賃金項目は「超過勤務手当」の1つだけです。それ以外は会社によって自由に設計できます。特に中小企業であれば、経営者は社員の成長がはっきりと分かりますので、その成長に合わせて賃金を支給する、「成長給Ⓡ」という賃金で支給する方法がピッタリでしょう。
ただ、ここで1つポイントがあります。
新卒社員が入社してから一人前になるまでには、会社にもよりますが、およそ5年から10年ほどの年数が必要です。本来、一人前の成果を出せるまで昇給することは無理でしょうが、昇給している会社がほとんどです。
これは社員の成長によって昇給するというよりも、一人前になるまでの間、生活を保障するために賃金を支給しているといえるでしょう。会社としても「この5年から10年の間は、あなたが一人前になるまでの生活保障給として昇給しましょう」という説明が成り立ちます。
もちろんこれも経営者の考え方によって自由です。大切なことは「どうなったら賃金が増えていくのか?」を、賃金制度として社員に説明できる会社になることです。
特に現時点で年功目的として年齢給・勤続給を支給している会社は、これからの時代に合わない賃金制度を持っていることになります。【大至急】見直しが必要でしょう。
ENTOENTOのグループコンサルティング『成長塾』では、この年齢給・勤続給の廃止まで含めた根本的な見直し、そして経営者としてどう変更したいか、その考え方に合わせて賃金体系、賃金制度をつくり変えることができます。ぜひ今スグご参加ください。
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4/1(月)~4/5(金)の営業について
2024-03-25 [記事URL]
弊社では誠に勝手ではございますが、下記の期間中、社内研修のため、通常の業務をお休みさせていただきます。
◆ 休業期間 2024年4月1日(月)~4月5日(金)
期間中はお電話をお受けすることができません。折り返しご連絡させていただきますので留守番サービスへ伝言をお残しいただくか、メールフォームからお問い合わせください。
各種お申込みや商品の発送につきましては順次対応させていただきますが、通常よりも日数がかかる場合がございます。ご了承ください。
大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
ご不明な点等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
第200話 優秀な社員のスカウト型突然退職を止められるか
2024-03-19 [記事URL]
最近の中途採用の方法は「スカウト型採用」に徐々に移行しつつあります。自社の社員が密かにスカウトサイトに登録している可能性も否定できなくなりました。
そうした背景から、社員が突然何の前触れもなく「退職願」を持ってくることがあります。その多くは社内で高い評価を得ている社員です。理由は単純で、スカウトサイトで今よりも高い年収を提示されたからです。
社員は誰しもがもっと賃金をもらいたいと思っています。ですが、日本の国民性を考えると社員は会社に対して賃金交渉をしてくることはほとんどありません。そのため、日本的経営の特徴の1つである企業別労働組合が社員を代表して経営者と賃金交渉をしています。
しかし、企業別労働組合がない企業では個人で賃金交渉しなければなりませんが、個人による賃金交渉の実例はほとんどないでしょう。そのため、組織原則2:6:2の上の2割である優秀な社員は「自分がきちんと評価されているように思えない。自分の賃金は低く抑えられているのではないか?」という思いを常に持っています。
この優秀な社員はほぼ賃金交渉をしてきませんが、自分の市場価値を知りたくなります。そこで、その価値を確かめるためにスカウトサイトに登録してしまっているのです。
仮に現在年収400万円の社員がスカウトサイトに登録したとします。そこで年収600万円を提示するスカウトの話が来たらどうでしょうか。あまりにも高額な年収に驚きながらも、そのスカウトの話に乗ってしまう可能性は十分にあります。その結果として、突然「退職願」を出されてしまうのです。
何も問題がなかったのに急に「退職願」を持ってきた。最近はこういった相談が一気に増えてきました。ここまでくるとほとんど打つ手がありません。
こうしたスカウトによる突然の退職を防ぐために、「我が社ではどうすれば賃金が増えるのか?」について説明する必要があります。その上で、社員が仮に定年退職まで30年間あるとすれば、30年間でどれだけ賃金が増えるかを社員本人が計算できなければなりません。
この会社で働き続けるとどれだけ賃金が増えるか分かる仕組み、いわゆる「自分独自のモデル賃金」を設計できるようにすることで、このスカウト型突然退職を防ぐことができます。
このモデル賃金の設計を通じて、会社の業績が良く、そして自分が一般階層から中堅階層、そして管理階層に成長していくと、将来的にどれだけ賃金が増えるのか具体的な金額で確認することができます。これは、社員に対する100%リスクのない約束です。
スカウトサイトが転職後のモデル賃金を提示してスカウトすることはありません。なぜなら、スカウト時に提示した年収を守り、そして入社後それ以上に増えていく保証はしていないからです。スカウト先から求められたことができなければ、次年度の年収はもちろん下がります。年収を維持するためには厳しい条件があるのです。世の中それほど甘くはありません。
社員は自分のモデル賃金を自分で設計することで、スカウトサイトの高い賃金だけに目を奪われて安易に転職することはなくなります。
日本人は基本的に賃金交渉しませんので、賃金がこれからどう増えていくのか説明できる会社にならなければなりません。この説明が出来なければ、優秀な社員ほどスカウト型突然退職する可能性があります。早急に対応策を講じなければなりません。この優秀な社員が「辞める」と言ってきたら、ほぼ引き留めることは不可能です。
優秀な社員のスカウト型突然退職を防ぐために、「自分独自のモデル賃金」を設計する仕組みを入手したい方は、ENTOENTOのグループコンサルティング『成長塾』にご参加ください。優秀で真面目な社員は辞めなくなります。賃金に対する理解が早いからです。
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3/14の日本経済新聞にポケットブックの広告が掲載されました!
2024-03-14 [記事URL]
3月14日の日本経済新聞1面に、先日発売したポケットブック『昇給・賞与は仕組みで悩まず決められる』の広告が掲載されました!
お陰様でAmazonの人事・労務管理部門にて第4位を記録しました! ありがとうございます!
第199話 優秀な社員の退職を引き留める方法
2024-03-12 [記事URL]
社員の定着率を高めることは、経営者にとって重要な課題です。さまざまなセミナーに参加したり、多くの書籍に目を通したりして、必死に社員を定着させようとしているでしょう。
しかし、そうしたセミナーや書籍を参考に手を打っても、実際に社員の退職を止めることはできません。その理由は簡単です。社員の【本音】の退職理由が分かっていないからです。
そもそも、社員が退職する本音の理由で多いのは「評価や賃金に納得できないから」です。さまざまな機関が行った調査でも、本音の退職理由のベスト3に必ず入っています。
この評価と賃金の問題を解決しない限り、社員の定着率を上げることはできません。なにより問題なのは「賃金が低いことに納得できない」「評価に納得できない」という理由を直接述べて退職する社員はほとんどいないということです。
社員が辞めるときはほとんど引き留めようがない【建前】の理由を述べて辞めています。経営者はどうして社員が辞めたのか、その真実を知ることができていません。退職する本当の理由を知らない限り、社員の定着率の問題は解決できないと早く気が付かなければならないのです。
こうした問題を解決する簡単な方法が1つだけ存在します。簡単ですが、少し驚くかもしれません。それは、社員に評価や賃金について納得できないことがあれば常に質問してもらうことです。
そうは言っても、会社に対する要望や不満、納得できないことを口に出すことは、社員はためらいがあるでしょう。ですから社員には事前に「こうした質問をしてもいいですよ」という例題を示すのです。
そして実際に社員から質問があれば、その質問内容と回答を社内報に掲載して、社員に「会社にこんなことを聞いてもいい、不平不満を口にしてもいい」と知らしめるのです。社員が質問や不平不満を打ち明けることができる環境をつくり、その内容に対応する解決策を立てれば良いのです。
人事制度は社員のためにつくります。社員が評価や賃金といった人事制度上で納得できないことがあれば説明するのは当然です。基本的に、社員のためにつくった人事制度だからこそ、この説明が簡単にできるようになります。
社員の人事制度に対する不平不満は誤解からきている場合がほとんどです。誤解が解けた社員はこの会社はいかに社員の幸せを考えている会社であるかを知ることになり、周りの社員に「この会社はすごい会社だ」と伝えるようになるでしょう。
もちろん、社員の「納得できない」という発言は、経営者からすれば腹が立つこともあるでしょう。しかし、この社員は自社にずっと勤めたいという気持ちがあるからこそ「納得できない」と発言するのです。「納得できない」という社員は、納得できたらこの会社に引き続き勤めていきたいと意思表示していると思わなければなりません。
このような対応ができれば、評価や賃金に納得できず、建前の理由を述べて退職する社員はいなくなります。事実、こうした仕組みをつくり上げたことで社員の定着率が100%になった会社が続出しています。定着率は仕組みで向上させなければなりません。
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