2021-02-16 [記事URL]
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※2/23は祝日のため、来週の「今週の提言」はお休みいたします。
次回の「今週の提言」は、3/2の配信予定です。
賃金を上げる賃金制度と賃金を下げる賃金制度、不思議に思う方は多いでしょう。
賃金制度とは、会社の業績と社員の成長に合わせて賃金がどのように決まるのかを説明する仕組みです。
ところが最近、大手企業の「働かないおじさん」の評価と賃金が一致してない問題がクローズアップされています。その解決策として、ジョブ型雇用を導入し、その際に作成するジョブディスクリプション(職務記述書)とその社員の賃金を照らし合わせ、賃金をカットしようとしている会社があるとうわさされるようになりました。
これはバブル崩壊のときの成果主義の再来といえるでしょう。もともと人事制度は社員の成長を支えるために構築・運用されるものです。万が一、社員の賃金カットのためにジョブ型雇用を導入しようとするのであれば、これは片手落ちと言わざるを得ません。
なぜなら、評価と賃金が一致しない状態をつくったのが現在の人事制度だからです。そして、その人事制度を運用しているのは、その会社であることは紛れもない事実です。そうであれば、どうしてその評価と賃金のギャップが生じたのかを明らかにする必要があるでしょう。
そして、その評価と賃金のギャップを埋めるために会社で運用する仕組みが、教育制度です。教育制度が不十分なため、社員の評価が高まらないまま賃金を上げたことになるとすれば、その評価を高めるための教育制度の見直しが至急に求められることになります。もしこの教育制度があれば、働かないおじさんはその教育制度に基づいて努力し成長することになるでしょう。
「働かないおじさん」と言われて、嬉しい顔をする社員はいないでしょう。もっとも自分では働かないおじさんという評価をされてるかどうかも気が付いてないかもしれません。その社員に突然あなたの評価と賃金は一致しないと言われた社員も困るでしょう。なぜなら、「おじさん」と言われる以上は、50代以上の社員であることが想定されるからです。定年まで残り10数年しかありません。
同じことが二度とあってはいけないと思います。この評価制度が、社員がどこまで成長したかを説明することができれば、その不足することを今すぐ教育制度に盛り込んでその社員を教育すべきだと思います。会社で副業を認めることがニュースになっていますが、そのこと以上にこの働かないおじさんを教育する制度を明確にして取り組むことが優先順位は高いです。このような社員を二度と会社では生み出してはいけないと思います。
全ての仕組みは同じ問題を繰り返さないためにつくります。しかし、同じことを何度も繰り返してしまうのは、そのときの問題点が何であるかを明らかにせず、仕組みにして解決してこなかったことが最大の理由です。
今ある問題をひとつひとつ解決することがとても重要です。特に教育制度は、今いる優秀な社員と同じように全ての社員を優秀にするための制度であることが最も重要であり、そしてその教育は我が社の中で完結することを知って頂くことが必要でしょう。
人事制度は4つの制度(成長支援制度、ステップアップ制度、賃金制度、教育制度)が有機的につながっています。一部だけ見直ししてもなんら抜本的な解決にならないことをもう一度確認して欲しいと思います。
2021-02-12 [記事URL]
2016年、2017年と2年続けて成長塾を受講し、人事制度づくりを学ばれた
グリンリーフ株式会社 代表取締役社長 澤浦 彰治氏に、
その経緯と効果について詳しく伺いました。
●会社プロフィール
社名 グリンリーフ株式会社
所在地 〒379-1207 群馬県利根郡昭和村赤城原844-12
資本金 9,550万円
設立 1994年
従業員数 約200名(グループ全体)
事業内容 有機農産物の栽培・加工・販売
URL https://www.akn.jp/
当社は有機栽培にこだわり、群馬の名産であるコンニャクをメインに各種野菜を生産する農業生産法人です。野菜生産のほか、漬け物や冷凍野菜、お料理セットの加工品などの製造も展開。それらを全国のスーパーマーケットや生協、外食産業などのお客様に届けています。
標高300~800m、赤城山の山麓に広がる豊かな大地に適地適作、単品目だけではない輪作体系、ハウス栽培などを取り入れ、生産から加工・流通までを自分たちの手で行っています。また、グループ会社が一体となった明確なトレーサビリティを構築しており、一年を通じて安心・安全な商品を安定してお届けすることができます。
当社の特徴は女性を積極的に採用していることでしょうか。役員も半数は女性です。その理由は、あるとき「小さな子どもを抱える女性は、働きたくてもなかなか採用されない」という話を耳にしたからです。小さな子どもを抱える女性は急な休みや長時間働けないという理由で採用されにくいようですが、我々とすれば、派遣社員を採用するよりも働く意欲が旺盛な女性を採用した方が生産性は向上すると判断しました。そのために、2016年には託児所もつくりました。託児所開設後に十数名の女性を採用していますが、皆さん頑張って働いていただいています。
今後については、農場に投資をして規模拡大を目指していく予定です。現在、耕作放棄地の増加や農業の再編が進んでおり、業界全体が混沌としている状況です。我々としては、こうした機会だからこそ農場にしっかり投資し、生産性の高い農場をつくりながら農業で従業員が働いて生活できる仕組みづくりを構築したいと考えています。これから5年ぐらいかけて実現させたいですね。
給与体系を明確にしたいという想いがきっかけです。当社は社員およびパートを含め、グループ全体で約200名の従業員が働いています。従業員それぞれのポジションに応じて給与を決めていますが、私の頭のなかにあるものを適用しているだけなので、なにか「モヤッ」とした感じで具体性がありませんでした。たまに従業員から評価方法や将来に向けたキャリアアップについて聞かれることもあるのですが、はっきりとは答えられませんでした。
また、地域のなかで他社と比較したとき、当社の従業員には高い給与を支払ってあげたいという気持ちがありました。しかし、業績と結びつかない高い給与を支払っていては会社が成り立ちません。従業員の能力が向上して会社の業績が良くなり、同時に給与も上がっていくのが理想です。さらに、事業規模が大きくなり組織化されてきたときに、そこでリーダーになる従業員の給与が上がっていく、新しく部門ができてくればその責任者になった従業員の給与が上がっていく仕組みを構築したいと思っていました。
そうですね。私の頭のなかにある仕組みを具体的に示し、人事制度にしていく必要があると考えました。ところが、具体的にするための手段や道しるべがありません。大企業の成功事例を羅列したビジネス書なども数多く読みましたが、どれも当社にはフィットしないものばかり。当社の経営計画書にリンクしない評価基準や人事制度の話が大半で、参考になりませんでした。
実は松本先生の話は、私の友人が主催したある経営者団体の2012年の講演で拝聴させていただきました。その友人は「松本先生の人事制度は良いよ」と話しており、拝聴した私自身も「これは良さそうだ」と感じました。ただ、このときは人事制度の導入を考えていなかったため、具体的な話には進展しませんでした。
その後、松本先生が執筆された人事制度構築のバイブル『社員が成長し業績が向上する人事制度』(日本経営合理化協会)を目にして思い出し、あらためて拝読させていただきました。すぐに「これはいける」と思いました。そこで、さらに十数冊を購入し当社の幹部に配布して読ませました。幹部会議で松本先生の人事制度についての意見を聞き、反対意見がなかったので私と専務が成長塾を受講することになりました。
2016年に私と専務が成長塾全6回の講座を受講しました。まず、松本先生が指導されている人事制度の全体像や基本的な考え方を学び、その後に成長支援制度づくり、ステップアップ制度(昇進昇格制度)、賃金制度づくり、人事制度づくり、運用方法などのノウハウを学びました。ただし、1回の受講だけでは理解できないところがあったため、私だけ2017年にもう一度受講しました。
習得したつもりでも、いざ取り掛かってみると「これはどうすればいいのか」の連続で、なかなか運用するまでには至りませんでした。とくに成長シートで優秀な従業員を可視化することが難しかったですね。例えば、重要業務と知識・技術が一緒になっていたり、同じ成長要素が複数出ていたりと、まとめることが大変でした。
従業員のポジション別に成長シートを作成していたら30種類以上になってしまい、収拾がつかなくなっていたのも運用を妨げる要因でした。例えば、一般の従業員でも製造、開発、総務、経理、栽培、営業、資材、流通、野菜営業、野菜の品質管理、保育などのポジションがあり、さらに一般の従業員をまとめるマネージャーというポジションも加わってきます。農場・工場・食品製造・営業といった大まかなカテゴリーで共通する部分が必ずあるはずと、まとめる作業に必死でした。結局、悩んでいても埒が明かないと思い、再度受講することにしました。
運用の手前まではきていたので、2回目の受講時は具体的な評価の仕方や仕組みなどをピンポイントで学ぶことができました。
成長塾の受講後、すぐに人事制度を導入しましたが、当時は成長シートづくりに右往左往している状態。本格的な運用は2019年度からです。そのとき、従業員全員に「従業員の成長のための人事制度を導入して働き方を明確にします」というアナウンスもしました。
2018年11月~2019年10月期をBefore、2019年11月~2020年10月をAfterとした、成長塾受講による人事制度導入の定量的成果を以下に示しました。
新型コロナウイルスの影響で多くの食品関連企業が軒並み業績を下げていますが、当社はスーパーマーケットや生協などの宅配事業が伸びたおかげで業績がアップしました。ただ、売上は市場の状況に左右されることもあるので、あまり重視はしていません。松本先生もおっしゃるように大事なのは粗利益ですね。
2019年から当社は粗利益が高い商品開発に取り組み、今期の売上に貢献した新商品がいくつかあります。また、人時生産性を高める業務の効率化に取り組んだことも大きかったですね。当社としては、売上よりも粗利益が大幅に増加したことに満足しており、それこそが今回の人事制度導入の大きな成果だと思っています。
松本先生の人事制度は、人時生産性を高めることを重要視していますから業務の効率化は必須。しかも、2019年度は退職者が多かったこともあって、業務の効率化は最重要課題でした。
そこで、従業員同士が意見を出し合う月2回の改善会議を設け、小さな改善を積み重ねていく効率改善活動を開始。具体的な効率改善活動としては、事務業務における1件あたりの伝票処理の短縮化に取り組みました。処理のフローや伝票の形式を変えることで、2019年は4分28秒だったのに対し2020年は3分47秒に短縮。これによって生み出された時間は、別の事務業務にあてること
ができます。
ほかにも以下のような改善を行いました。
・輸送運賃を下げるため、Excelで表を作成して最安値を算出
・商品に混入ミスがないようにシールを貼って対応
・検品のスピード向上を図るため、パレットから台車に変更
・処理の手法を変更して野菜のスライス時間を短縮
さらに、効率改善活動に対して「どこが良かった・どこが悪かった・次はこんな改善をしよう」といった意見を出し合う業績評価会議を毎月1回実施。これによってPDCAのサイクルが回り、業務が日々効率化されていきました。
従業員のモチベーションが高まったと感じます。仕事のやりがいに加え、それにともなった所得の向上、この2つがモチベーションに欠かせない要素だと思っていますが、今回の人事制度の導入によってそれがもたらされたと考えています。
仕事のやりがいとは、前述した効率改善活動の部分にあたります。自ら効率改善活動に関わって成果が見えれば、従業員は大きなやりがいを感じます。すぐに成果が見えなくても、改善会議や業績評価会議を通じて部門内でのコミュニケーションが活発化されますので、積極的に仕事に参加している感覚が強いと思います。
所得については、業務が効率化され、人時生産性が高まり、粗利益が増えれば、それが給与に反映されることを従業員全員に対してオープンにしました。「粗利益が多くて労働経費が少なければ賞与原資が増える」「粗利益が少なくて労働経費が多ければ賞与原資が少なくなる」という単純な構造ですが、仕事も給与も可視化できたおかげで従業員一人ひとりから高いモチベーションを感じます。私としても、みんなが同じ方向に向き始めたことに大きな期待感を抱いています。
成長塾の受講以前は、残業が1か月あたり100時間を超えるのが当たり前でした。今となってはお恥ずかしい話ですが、1か月120時間の残業をして「よく働いた」といって褒めていたほどです。しかし、人時生産性を追及するようになってからは、繁忙期を除いて残業は原則45時間以内としました。労働時間が短くなっても給与は下げない方針を従業員に伝え、効率的な短時間労働で結果を出す働き方にシフトしたわけです。これにより、従業員は疲弊することなく、いつもフレッシュな気持ちで業務に臨めるようになりました。
当社はもともとポジションに応じた給与を設定していましたが、松本先生の「一人ひとりに働き方を選ばせてカスタマイズしていけばいいんですよ」という話を参考に、ポジショニングによる働き方をさらに進める予定です。すでに、フルタイムで働ける総合職、専門的な仕事ができる一般職、子育てなどによる時間制限がある限定職という3つの働き方は選択できるようになっています。
3つのポジションはベースとなる成長給が異なります。例えば、限定職の従業員は早く帰宅したり、子どもの病気などによる突然の休暇が許されている分、総合職や一般職の従業員よりも成長給は低く設定されています。こうしたポジショニングを設定することで、子どもを持つ女性は堂々と働ける、そして堂々と休めるわけです。ポジショニングはすべての従業員にオープンになっており、給与の部分で公平性を担保していますから不平不満は出ていません。
このポジションによる成長給のほか、勤続給、成績給、特定時間給、皆勤手当などを整えた新たな給与制度を2021年4月から運用する予定です。
まず、いろいろ考えるよりも松本先生の人事制度を導入した方が良いと思います。受講して運用し始めると「できていないこと」がたくさんあることに気づきます。「できていないこと」が分かったら「どうしたらできるか」一つずつ解決していくことが大事。それが自ずと従業員の成長とともに会社の業績に反映されていきます。こんな具合に、すべてが連動し線となって結びついているのが松本先生の人事制度の素晴らしいところですね。
実質2年の運用だけでこれだけの結果が出たわけですから、松本先生には本当に感謝しています。もちろん、人事制度の仕組みに完璧はありません。成長シートについても、これから随時更新していく必要があると思っています。松本先生に助言をいただきつつ、当社にとって最適な人事制度づくりをブラッシュアップしていきたいと考えています。引き続き、よろしくお願いいたします。
※ グリンリーフ株式会社様のホームページ
※ 取材 2020年11月
2021-02-09 [記事URL]
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「どうして部下指導が上手にできる中堅職の社員が少ないのでしょうか?」
多くの経営者は中堅職の社員に部下指導をしっかりやって欲しいと期待をしていますが、期待しているほど部下指導が上手にできていないと感じているようです。しかし、これには大きな誤解があります。
日本と欧米ではステップアップの考え方が全く違います。日本では、一般職層で優秀だと評価を得た社員を、中堅職層にステップアップさせます。しかし欧米では、一般職層で優秀な社員であるかどうかはあまり問いません。大切なことはマネジメントの経験があるかどうかです。もし経験がないのであれば、経営学修士(MBA)を修得しているかどうかを尋ねるでしょう。
今まで成長塾を受講された1,301人の経営者に尋ねたことがあります。
「中堅職層にステップアップさせる社員に『あなたはMBAを持っていますか?』と聞いたことがありますか?」。
この質問に「イエス」と答えた経営者は一人もいませんでした。1,301人中ゼロ人です。
つまり、一般職層で優秀な社員が中堅職層にステップアップする時には、部下指導を行うためのマネジメント知識や技術がないままに部下を任されるのです。これは何を意味するでしょうか。
中堅職層の成長シートには、必ず「部下指導」という重要業務が加わります。この部下指導を評価するときに、中堅職層にステップアップしたばかりの社員の成長基準は1点からのスタートになります。このことを経営者は忘れています。
期待はするでしょうが、この部下指導という重要業務が成長基準1点から5点へと成長するためには、相当の期間が必要でしょう。プレーヤーの一般職層を卒業するために仮に10年かかるとすれば、この部下指導ができるようになるためには、10年以上かかると考えなければならないでしょう。
一般職層は、「自分で仕事をして自分で成果を出す」階層ですので、うまくいかない理由は自分ではっきりと分かります。しかし、部下指導には相手がいます。部下がどう考えているのか、上司にはそのことが分かりません。相手のあるこの仕事が上手にできるようになるためには、1年や2年では無理です。相当な年数がかかるでしょう。
部下を持った最初の数年は、上手に部下を指導することができなくても当たり前でしょう。大手企業と違って中小企業では、上司の言うことを聞かないという困った相談もあります。それならまだいい方かもしれません。上司に反発する部下がいるという相談もあります。
しかし、このような部下に上手く対応できないからといって、その上司が、部下指導が不得手である、適性がないと勘違いしないように経営者が前もって説明する必要があるでしょう。
まさか上司が「部下指導が不得手です」と言ったことを受けて、経営者が残念そうに「そうか。では君から部下を外そう」と応じてはいけません。上司になった社員には、前もってこの事実を伝えておかなければなりません。もちろん管理者研修やマネジメント研修は必要でしょう。しかし十人十色の部下に対して、研修で学んだことが全てその通りストレートに全部下に役に立つことはあまりありません。
部下指導は実践です。徐々に部下が成長することイコール部下指導が出来るようになることに気がつかなければなりません。このことを前もって説明していないために、せっかく中堅職層にステップアップさせた優秀な社員を、また一般職層に戻してしまった経営者もいます。
日本には日本のステップアップの仕方があります。いわゆる「卒業方式」で中堅職層に上げていることを知ってください。そしてじっくりと部下指導の仕事に就かせてもらいたいと思います。
部下指導ができることによって、社員は3倍、5倍の組織貢献、そして世の中に対する貢献ができます。とてもやりがいのあるこの仕事を避けることのないように、その目的や成長の仕方を事前に説明することが必要です。
2021-02-03 [記事URL]
成長塾修了企業の方々が厚生労働省の「中小企業も働き方改革 成功の秘訣はやわかりガイド」に掲載されています!
2021-02-02 [記事URL]
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お知らせしていた昨年末開催のオンラインセミナーは、3月2日開催へと変更いたしました。
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「この環境なのに組織が一丸になれません。どうしてでしょうか?」
経営者は、成果を上げるためには組織が一丸となる必要があると経験上わかっています。ところが、なかなか組織が一丸になれないという相談が多いのです。それも様々な経営施策に取り組んでいながら、という場合が多いようです。
特に不思議なのは、「人事制度を導入したのに社内がバラバラになった、組織風土が壊れた」という相談です。今までは評価の内容や処遇の決め方が曖昧であり、社員にとって不安であった状況を改善するために人事制度を導入したのに、どうして組織風土が悪くなるのか、経営者には理解ができないようです。
たとえば、人事制度をつくった後に次のような発言をしていたら組織風土は自ずと壊れます。「頑張った社員にはたくさん昇給・賞与を出す」という発言は、実は最悪な発言と言えます。
社員が100人いたら、1番トップの社員と100番目の社員では、当然ながら昇給・賞与は違います。頑張ったとしても、社員が一般職層を卒業するためには約10年かかりますので、入社当時は成長点数が低くて小さな昇給・賞与になるでしょう。
ところが、頑張った社員には昇給・賞与をたくさん出すという発言は、この金額の差は頑張ったことに対する経営者の評価と言わざるを得ません。経営者が頑張ったかどうかを判断する最初の項目は成果です。そうなると売上の高い社員は頑張っていて、売上の低い社員は頑張っていないことになります。
そして成果の高い社員は昇給・賞与が多いと説明したら、もうこの段階で組織は完全に崩壊します。もう成果の高い社員は、成果を上げるやり方を他の社員に教えません。
組織が一丸になって組織運営するときの特徴は社員同士の仲が良いということです。仲が良いと言っても、趣味のサークルではありませんので、1つの目標に向かって社員が切磋琢磨して全社員が教えあって一緒に成長することで会社の業績が良くなります。
すべての社員がたくさん賞与をもらいたいと思っています。そして、その優秀な高い成果の社員がそのことを強く思ってしまったら、高い成果を上げているやり方を他の社員に聞かれても教えようとしません。
今までだったら困っている社員がいたら教えていたはずなのに、経営者が頑張った社員にはたくさん出すという NG の発言をすることによって、気がつかないところで組織を壊しているのです。このような理解をしてしまった組織は、とても一丸となることはできないのです。
具体的に “一丸” というのは、優秀な社員がまだこれからだという社員に寄り添うようにしっかりと指導している、教えている状況をいいます。どんな規模であったとしても、できる社員とそうではない社員はいるのです。それでもそんなこと関係なしに一緒になってゴールに向かう。これを一丸となっていると言います。
経営者のその発言によって社員がどのような理解をするかを経営者は前もって知らなければなりません。社員の立場になって考えることがとても重要です。組織風土が壊れて一丸になれなくなった理由は、このケースの場合、社員を競争させる間違った人事制度をつくったからです。
どんな場合も問題が起きたときに、なぜなのかを、きちんと原点に戻って考えなければなりません。
2021-01-26 [記事URL]
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「なかなか社員は研修に参加しません。どうしたらよいでしょうか?」
社員の教育に対する関心の低さは、経営者の悩みでしょう。ある会社から、研修会の参加人数がゼロだったと残念な相談を受けたこともあります。
それは、その研修が“会社のため”に行われていると社員は理解しているからです。会社は“社員のため”に教育をしています。格言に「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えよ!」があります。「魚の釣り方」は、社員の身につく一生の財産です。
日本の企業では、社員を採用したら会社が社員を教育しようと考えています。ここが欧米とは違うところです。ある経営者は「社員一人当たり年間30万円の教育投資をしている」と胸を張ってお話をされていました。教育投資をすることはとても重要であり、企業の存続発展には避けては通れないでしょう。ただ残念なことに日本の経営者は、ある一つの事を忘れています。
それは教育による社員の成長と業績の向上がキチンと関係している形で、教育制度が運用されていないことです。
例えば、社員は入社時に成長点数が20点からスタートし、80点を目指して標準昇格年数分の年数をかけて成長していきます。その中で、一般職層の社員の成長点数の平均は50点くらいになります。ある社員は80点、別の社員は20点とバラつきがあり、平均値50点が実はこの会社の業績とイコールです。
仮に全員優秀になって、この50点だった平均点数が80点になったとすると、そのときの会社の業績は1.5倍以上になります。社内にいる優秀な社員を可視化した成長シートを全社員で共有化をしただけです。
つまり、外部研修を一切実施しなくても、社内で成長シートを活用して教育制度を運用することによって、業績を1.5倍にすることが可能なのです。
全ての会社には組織原則2:6:2があり、優秀な社員が2割います。80点を取れていない社員に勤務態度を守らせ、知識・技術を身につけさせ、重要業務ができるように指導することができたとすると、指導を受けた社員は全て期待成果が4点以上になります。つまり、全ての社員が80点に以上になれます。
さらに、この場合の研修に関する費用はゼロになります。教育投資がゼロなのに業績が1.5倍になる。にわかには信じ難いでしょうがこれは事実です。
なぜなら、成長シートは優秀な社員をモデルにつくりますので、必ず成長要素ごとに4点以上の社員がいることを前提につくっていきます。つまり、社内で研修をする時の講師は、モデルとなった優秀な社員です。
優秀な社員は研修で講師となり、教えることによって、評価が高まる約束をしてあります。ですから、喜んで講師になります。
また、受講する社員は、目の前の講師(同じ会社の社員)が4点以上であると知り、自分も間違いなく4点以上になれると思います。そして、成長点数の向上が評価されることもしっかり分かっていますので、この研修に出てこない社員は一人もいません。
日本で最もコストパフォーマンスの高い教育は、この成長シートに書いてある成長要素を自社の社員が教えることです。教える社員も教えられる社員も笑顔で、そして一緒に成長できる。きちんとこの人事制度の中の成長支援制度(評価制度)と教育制度、そして賃金制度は関連していることを社員に示さなければならないのです。
2021-01-19 [記事URL]
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「70歳の社員の賃金をどう決めたら良いでしょうか?」
1月14日の日経新聞に「70歳以上の雇用、企業3割が制度」の記事が掲載されました。70歳までの就業機会の確保を企業の努力義務とする改正高年齢者雇用安定法が21年4月に施行になります。そのため、70歳までの高齢者の雇用が求められることになります。今後は、今回のような相談が増えてくるでしょう。
この相談には大前提があります。この相談をされる企業では、現在在職している社員の評価もできていないおそれがあることです。つまり、評価に基づいて賃金を決められないおそれがあります。
もともと評価は社員の成長のためであり、賃金を決めるためだけにするのではありません。しかし、最終的には成長度合により賃金は違ってきます。現在、70歳の社員の賃金を決める仕組みがない会社は「70歳の賃金をどう決めたら良いか」と相談されますが、70歳の社員だけ賃金を決めようとしても駄目です。
社員の定年時に多くの企業は賃金を下げようとするでしょう。しかし、仮にこの社員が70歳であったとしても、活用している成長シートの成長点数が69歳のときと同じ点数だったらどうでしょう。
例えば、一般職層で優秀な社員がフルタイムで働いて5000万円の成果を上げていて、70歳の社員がフルタイムの半分ぐらいの労働時間によって2500万円の成果を上げていたらどうでしょう。
70歳ですからフルタイムで仕事をしていない可能性があります。このときの生産性の高さは全く同じですので、同じような賃金を支給することが必要になります。もっともこの場合は、フルタイム社員の半分の賃金になります。
現在の65歳以上の社員の評価ができていない企業がほとんどですが、その場合はその社員の賃金を仕組みで決められません。大きな問題になってきています。
もともと社員の成長は4つの要素で確認しています。「期待成果」「重要業務」「知識・技術」「勤務態度」。これは職種や階層に関係なく同じ4つの要素です。この評価の仕組みさえできれば、現在の社員の評価ができると同時に3つの大きなメリットがあります。
それは(1)定年退職時、例えば60歳の時に、賃金を払いすぎることはないこと。そして、(2)60歳の時に賃金の見直しをする必要がないこと。さらにこの社員が元気であれば(3)いつまでも(70歳以上でも)この会社で働けること。会社にとっても大きなメリットです。この3つです。
人生100年時代と言われながら、会社の中で定年退職後も長く働ける仕組みをつくっている企業はあまりありません。社員ごとに個別に決めますが、そこには賃金を決める以上は自分の何を評価されたかが、きちんと明確にされていることが必要です。
定年退職後もお金は必要ですから、お金のために仕事をするという側面は否定できません。しかし、いくつになっても自分の仕事によって社内外の人たちにお役に立つ、貢献することが評価されることは「働きがい」「生きがい」を生みだすと言えるでしょう。
ましてや、60歳過ぎ、65歳の社員にとってみれば、自分が残された人生であと何ができるか、どのような貢献ができるか、常に考えています。この様子は若い世代の社員にとって、とても良い影響を与えることになります。
つまり、人間は何のために働くのか。そして喜びは何なのか。それをこの65歳過ぎの社員、70歳の社員、80歳の社員がいれば、その社員にぜひ我が社の社員へそのことを伝えてもらいたいと思います。このお話を伝えることをためらう高年齢の社員はいないでしょう。
そのような社員を育てるためにこそ、この人事制度は活用されていかなければならないと考えています。70歳の問題ではなく、全ての社員成長のための評価の確認ができる。そして社員の成長に貢献できるような人事制度をつくってください。
2021-01-14 [記事URL]
94期の成長塾に入塾し、人事制度づくりを学ばれた株式会社美里花き流通グループ
代表取締役社長 櫛田 篤弘氏に、その経緯と効果について詳しく伺いました。
●会社プロフィール
社名 株式会社美里花き流通グループ
所在地 〒467-0832 愛知県名古屋市瑞穂区神前町2-38
資本金 3,790万円
創業 1965年10月
設立 2001年10月
従業員数 26名
事業内容 生花の生産、卸売、小売、輸入
URL http://www.hanamisato.co.jp/
当社は国内をはじめ、海外10か国の自社農場と契約農場で生産した花を日本全国の花市場に出荷している花屋です。特に蘭の花を輸入し日本国内に出荷する卸としては、日本最大級だと自負しています。
もともとは1965年、名古屋市瑞穂区にある商店街で5坪の小さな花屋から当社はスタートしました。母の「いらっしゃいませ、ありがとうございました」を子守唄に育ち、知らず知らずのうちに「商売人とは何か」を体で覚えました。両親の口癖は「義理人情を忘れるな」で、今でも私の大事な言葉として刻み込まれています。
4年半のアメリカ留学を経て、中区の老舗の花屋で3年半修行をし、実家に戻ったのは26歳のときでした。このころは景気が良く、友人も大手一流企業の内定を6社もらっていたほどでしたが、私は家業を企業にして花屋の仕事で生活レベルを上げるのが目標だったので、実家を継ぐことにまったく抵抗はありませんでした。
2001年に現在の美里花き流通グループとなり、法人化と同時に私が代表に就任しました。2003年に始めたのが蘭の花の輸入卸事業です。留学時代に友人関係を築いた台湾人との縁で台湾の農園で栽培された蘭の花を輸入し、日本全国へと出荷。今でも当社の売上を支える事業として大きな役割を果たしています。
この頃、利益率が高かった献花事業での競合が増え、利益が見込めなくなってきたため、花の生産(委託)から卸事業、販売まで手掛けるワンストップサービスに舵を切ることを決意。会社を成長させたいという想いと若さだけで突っ走りました。たくさん怪我はしましたが、協力してくれる方々にも恵まれ当社の礎を築くことができました。
慢性的な人手不足に頭を悩ませていたのが大きな理由です。前述したように、会社を成長させたいという想いで、とにかくがむしゃらに働きました。就業時間は午前5時30分から早いときで午後8時30分、遅いときだと午後11時。休みは週1回で繁忙期になると休めないこともあり、月間の残業時間は最大150時間に達していました。
こうして頑張ったおかげで業績は大きく向上。気が付けば関東を中心に20店舗を構え、従業員は100人以上、売上は13億円を超えるまでになっていました。
ところが、急激な事業拡大がたたって従業員教育が追いつかず、従業員は入っては辞め、入っては辞めの繰り返し。仕事を覚える前に辞めてしまうため、頭数はいても新人ばかりで仕事にならないことも多々ありました。
私としては誰よりも働いていましたから「なんて甘っちょろいやつばかりなんだ」「根性が足りない」と思っていました。でも、それは社長だから当たり前であって従業員は違うんですね。私は「従業員は自分と同じような考えでやってくれるもの」「みんなでこの会社を大きくしていこう」が当たり前と思っていたぐらいですから、当時はその違いが分かりませんでした。
従業員の頭数は揃っていてもすぐに辞める状況でしたから、私としてもマネジメント力不足は痛感していました。とはいえ、従業員教育を実施する労力も時間もありません。そこで、まずはちゃんとした人事制度を導入して従業員が定着する仕組みをつくりたいと思い、人事コンサルティング会社を探すことにしました。
大手企業のコンサルティング実績があるところなど、たくさんの人事コンサルティング会社をリストアップしました。そのなかから5社ほどにアポイントを取り、実際にお話しを伺うこともしました。ところが、話されている内容が難しくてよく分からないというか、当社には合わない感じがしました。もちろん、お願いすればそれなりの効果は期待できると思いますが、かなりのコストがかかるため、二の足を踏んでいました。
そんなとき、ネットで松本先生が運営するENTOENTOのホームページを見つけました。まず「魚屋さんでもできるのか」「生ものを扱うという点では当社も一緒」というのが最初の感想。そして「経営者以上に人事のプロはいない」「自分ではダメだと思っていたことがそうではない」という松本先生の言葉に驚きを覚えました。そこで、松本先生が提唱する「人事制度の可視化」は当社に合うかもしれないと思い、成長塾を受講することしました。
2010年、94期の成長塾に入塾。東京に足を運び、計6回の講座を受講しました。学んだのは人事制度の全体像や成長支援制度の基礎、成長シートづくり、ステップアップ制度(昇進昇格制度)、賃金制度づくりなど。制度を理解し、つくり方のノウハウを学び、人事制度をつくり、運用の仕方を学びました。
2010年10月~2011年9月までをBefore、2018年10月~2019年9月をAfterとした、成長塾受講による人事制度導入の定量的成果を以下に示しました。
現実的に経営が悪化していたことが最大の要因です。成長塾を受講したことで、売上が儲けにつながるわけではないこと、生産性を上げなければ利益は残らないことに気づいたことも一因です。2010年当時、20店舗あった花屋はすべて閉店。現在は「花のみせ美里」「FLOVERSフラバーズ」の2店舗に絞って運営しています。100人以上いた従業員も大幅に削減し、現在の26人で運営できる体制にしました。これに加え、委託農園を通じた花の生産、蘭の花の輸入、そして卸事業に特化。これにより、全体の売上は下がりましたが、労働分配率や人時生産性といった生産性は大きく向上しました。
正直なところ、すぐに出たわけではありません。人事制度のもとになっている成長シートを従業員一人ひとりが理解し、どうすれば評価されるのか、どうすれば賃金がアップするのかを考えて業務に取り組むことが大事。会社にもよると思いますが、数年はかかると思います。
すぐに結果が出たのは私自身ですね(笑)。成長塾受講以前の私は頻繁に従業員を怒鳴りつけていましたが、どうやら従業員は社長の叱りには一貫性がないと思われていたようです。いつ雷が落ちてくるか分からない(笑)。私はいつも同じつもりでしたが、松本先生と話しているなかで思い返してみると、社長として数字を追って感情が高ぶっているとき、穏やかで義理人情の気持ちが強いときでは、確かに社長の対応は違うかもしれないと思いました。
でも、松本先生は「社長の会社ですからいいんですよ」というだけなんです。あなたが悪いとは決して言わないんです。だからこそ、自分がダメだったことに気づくのかもしれません。また、成長シートづくりを行っているなかで、自分の頭のなかを可視化して整理整頓することができたのも、自分を見つめ直すきっかけになりました。
叱ってばかりでは、従業員はついてこないことに気づきました。今まで人事に関する問題の根源は何を隠そう自分自身だったわけです。今は従業員を叱ることはありません。従業員にはかならず「~さん」と、さん付けで呼ぶようにもなりました。
成長シートは私がつくりました。ダメなところを探し出す減点方式ではなく、できたところを評価する加点方式が特徴ですね。とにかく初歩的なところから、できたところを評価するようにしました。
ただ、想いが強かったせいか、一般的には成長シートの枚数は数ページ以内が相場らしいのですが、私がつくった成長シートは24ページまで膨らんでしまいました。松本先生にも「さすがにこれは多いのでは」と言われました。でも、従業員は「社長が何かやろうとしている」ことは理解してくれました。ちょっとだけ従業員との距離が縮まった感じがして、うれしかったですね。
成長シートが浸透し、ステップアップ制度や賃金制度にリンクするようになってきた2015年ぐらいから変わってきました。たぶん、従業員にとって成長シートは半信半疑だったと思います。でも、成長シートの評価が本当にステップアップや賃金に反映されていくことで、自ずと変わっていきました。もちろん、運用していくなかで成長シートの精度や制度の仕組みが整理されてきたことも大きな要因になっています。
会社が期待する成果を達成するために、従業員はどうしたらいいのか分かりやすい仕組みにしました。そして、その頑張りがどのように評価されて、どのように自分に還元されるかを明確にしました。これらにより、従業員にとって成長シートは味方なんだと気づいてくれたのです。
具体的な例としては休日が挙げられます。従業員には「目標に設定した人時生産性をクリアするごとに休日を増やします」と伝え、私も従業員もより効率的な働き方を目指しました。結果、4週4休が4週6休に、そして現在の4週8休(週休2日制)に到達。残業時間も平均20時間になりました。
上手く動き始めた人事制度ですから、頓挫させたくありません。さらに前へ進めるためには「すべてオープンにして共有すべき」と考え、従業員一人ひとりに持たせている経営計画書に明文化。誰もが人事制度の仕組みを理解できるようにしました。
経営計画書で明文化したのは会社の業績と社員の成長による賞与や昇給の決定方法です。賞与については粗利の2.5パーセントを夏と冬の賞与原資として成長点数で配分する仕組み、決算賞与の原資は経常利益の2パーセントと決めるなど、すべてをオープンにしました。
昇給については、粗利が2億500万円未満の場合はパターン5に相当し、誰も昇給しません。粗利が2億500万円以上のパターン3になると、総合評価S・A・Bの人は昇給します。パターン1の2億2千万円を超えるとSからDの人まで、みんなが昇給する仕組みとなっています。
定期昇給ができるようになり、賞与も出せていますから、ウソ偽りのない人事制度として運用することができています。昇給・賞与がどのように決定されるかを明確にし、実際に受け取ることで従業員の成長は加速し、明らかに会社の構造そのものが変わったと感じています。
従業員は減りましたが、定着率が50パ―セントから92.8パーセントになったことで、高いスキルを持つ少数精鋭の従業員へと変化。経営者に近い感覚で、利益を考えながら自らの判断で行動できる従業員へ成長したと感じています。さらに、情報共有はもちろん、共有スピードまで向上しました。従業員それぞれが情報を共有し意思疎通することが成果につながると理解した結果ですね。
実は経営コンサルタントに入っていただいた時期もありました。しかし、人事に勝るものはないと確信しました。結局、基本は人なんです。人事制度をきっちり組み立てないとダメなんです。従業員の満足と安心を得てこそ、会社と従業員は同時に成長していくことが分かりました。
アドバイスを言わせていただけるなら「素直に成長塾に行きなさい」ですね。松本先生に指導してもらった方が本当の問題を早く解決できます。本来であれば完成するまでに10年はかかる人事制度が6か月で完成します。ちなみに、私の友人の何人かは成長塾を2~3回受講しています。1回の受講だけで分からない場合は、複数回受講するのも良いと思います。
私の場合、成長塾修了後も月2回の電話相談を継続的に続けていることが大きいと思っています。人事のことはもちろん、そのときの悩みごとから雑談まで松本先生と話せるので、会話のなかから経営や人事のヒントを得る機会が多いと感じています。
最近2年ぐらいは、先生との電話相談で退職金制度の話をしています。計算してみると、一時期ニュースでもさかんに取り上げられたように、社員が定年退職後の生活にピッタリ2000万円足りません。「どうしたらいいですか?」と相談すると、松本先生いわく「答えは簡単です。元気なうちは働いてもらって、その後、本当に働けなくなったときに退職金を出す制度にすればいいじゃないですか」とのこと。私も納得し、現在は「働きながら貯める」退職金制度に取り組んでいるところです。
最後に松本先生には“感謝”の一言しかありません。出会えていなかったら、今の自分はなかったと思っています。本当に心の底からそう思っています。ご面倒をおかけしますが、これからもよろしくお願いいたします。
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