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弊社代表の松本の記事が「PHPオンライン衆知」に掲載されました!

2023-06-30 [記事URL]

2023年6月30日に、弊社代表の松本が執筆した記事が「PHPオンライン衆知」に掲載されました!

記事はこちらからご覧ください
生産性は上がるのか? コロナ禍後、曖昧な理由で“出社を求める企業”の特徴


第164話 経営の大原則は今あるものを最大限に活用すること

2023-06-27 [記事URL]

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経営の大原則は今あるものを最大限に活用することです。
経営者の最大の関心事は「業績の向上」でしょう。業績を上げるために経営計画書をつくり、目標管理をし、社員をさまざまな教育研修に派遣します。さらに設備投資を行います。短期・中期・長期的に業績を継続的に上げる、この目的からさまざまな経営施策を打っています。

しかし大事なことを忘れている可能性があります。自社の業績は、優秀な社員やまあまあの成果の社員など、さまざまな社員の成長の平均値が損益計算書となります。経営者は業績を上げるために、今はまだあまり成果を上げていない社員を成長させることに必死になり、多くの時間を投入しています。

それよりも時間を投入すべきことがあります。それは成果を上げている優秀な社員がどうしてその成果を上げているのかを可視化し、そしてそれを共有化することです。なかなかこれができていない。これでは「灯台下暗し」です。

高い成果を上げている社員は、激動の経営環境に適応している社員です。その社員が自社内にいます。その社員がやっている行動を具体的に把握することができたら、それを全社員に共有化するだけで今の業績は1.5倍になります。

この「可視化して共有化する」ことは教育の一環ですが、この教育投資に費用は発生しません。すぐに効果も出ます。

通常の社員教育は新しいことを全社員に学ばせ、その学んだこと全てを実行して成果を上げられるようになるには最低でも1年はかかります。しかし、自社の社員が成果を上げるためにやっていることを可視化し、共有化できれば「今日から」会社全体の業績を上げることができます。

そして当然ながら、高い成果を上げている社員は高い昇給・賞与を受け取っているでしょう。昇給・賞与が少ない社員は成果が上がっていないから昇給・賞与を少なくしているのではなく、今の成長に見合う昇給・賞与になっているだけの話です。

優秀な社員がやっていることを同じように真似をして実行できたら、間違いなく同じような高い成果を上げることができます。つまり、全ての社員にたくさんの昇給・賞与を支給することができるのです。このことを実行する時が来たと言えるでしょう。

今年の社員の平均賃上げ率は3%を超えました。少子化が進む日本ではこの傾向は今後もずっと続きます。そのため、かつてないほどに人材を奪い合う時代になるでしょう。

3%以上の賃上げをできない会社は、当然ながら社員を成長させていない会社になります。社員を成長させるための方法として、今いる優秀な社員のやっていることを共有化すること。そしてそれに伴って成果が上がれば、同じように高い昇給・賞与が支給されることをしっかりと社員に説明する必要があります。

これによって全ての社員が成長することは1つの例外なくこの環境に適応して企業が成長発展します。社員を毎年賃上げできるよう、社員の成果を上げる確実な方法を考えているでしょうか。

 


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第163話  社員の賞与予定金額は1年前に分かるから頑張れる

2023-06-20 [記事URL]

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経営者にとって賞与を決めることはとても大変な仕事です。場合によっては、1か月間毎日のように悩みながら決定されている経営者もいるでしょう。

しかし、この経営者がどんなに悩んだとしても、社員から感謝されることはありません。
「社長、今回賞与を決めるのにとても悩んでいた様子を拝見しました。お疲れ様でした」という労いの言葉は一切ありません。なぜなら、社員は社長が悩んで賞与を決めていることが全く分からないからです。

もともと賞与は会社全体の業績によって支給する合計金額を決め、そして社員それぞれの成長によって賞与額を決めることになります。

「頑張った社員にはたくさん出す」というNGワードは、決して経営者の口から発信してはなりません。この言葉の意味は、この会社には頑張ってたくさん賞与を出した社員と、頑張っていなかったから賞与が少ない社員がいることを社員に説明したことになります。それでいいでしょうか?

賞与をたくさん出したトップの社員は、考えてみれば一人です。それ以外の社員は全員、その社員に比べて頑張っていないことになります。「頑張った社員にはたくさん出す」はとても問題発言と言わざるを得ないでしょう。

社員の成長によって賞与を支給していることは間違いありません。このことを仕組みにしなければなりません。そのため、毎年事業年度の最初に経営目標を発表しながら、この仕組みを説明しなければなりません。

賞与原資、いわゆる賞与の合計金額は何かの業績に連動して決めています。中小企業であれば、この業績連動で決めていない経営者は1人もいないでしょう。ただそれを社員に発表しないだけです。

そして、社員の成長によって賞与を支給していることも間違いありません。仮に、成長シートがあり、成長点数が計算されているのであれば、80点の社員と60点の社員と40点の社員では賞与が違います。これも頑張った度合いによって出しているのではなく、会社や上司が一生懸命、社員を成長させ、その結果として成長点数が高まり、それに伴って徐々に賞与が増えていくのです。

このことが仕組みになれば、社員の賞与はたったボタン1つで決めることができるようになります。

そして大切なことは全社員が次のような発言をするようになることです。
「今回の経営目標をみんなで実現しましょう。そして、自分の成長シートでじっくりと成長していきましょう」
全社員がお互いに教え合うことで会社の業績が向上し、そして社員が着実に楽しく成長することになります。

そして「社長の想いに応えられるよう私たちは成長し、たくさんの賞与をもらいましょう」という発言が現場から出てこなければなりません。

賞与を支給する時、多くの経営者は頭を抱えることになります。なぜならしばしば賞与支給した後で、社員が辞めることがあるからです。これは何を意味するかというと、この会社の賞与の支給の金額が理不尽だと、納得できないから辞めるのです。そうあってはなりません。

必ず⦅事業年度の最初⦆、大切なのでもう一度言います。⦅事業年度の最初⦆にこの会社の今年の賞与の合計金額をどう計算し、社員の成長に伴って賞与がどうなるかを社員に伝えてください。例えば、3月決算であれば、事業年度がスタートする4月の時点で自分の夏と冬の賞与金額が電卓をたたけば分かるようにすることです。

賞与の大きさが会社の業績の向上と一致することを理解する必要があるでしょう。

社員は賞与がいくらもらえるか、事業年度スタート時に電卓をたたいて分かる状態になっているでしょうか?

 


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第162話 上司の部下指導が有効にならない本当の理由

2023-06-13 [記事URL]

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多くの会社は人事制度を導入し、上司に部下の評価をさせます。この評価実施上の問題点は、上司によって評価が変わる、いわゆる評価の甘辛が存在していることです。そのため、この甘辛を調整して社員の昇給・賞与を決めなければなりません。

最終的には、経営者が悩みながらも全上司の甘辛を調整して昇給・賞与の金額を決定します。しかし、調整するだけでは大きな問題が発生します。それは評価の甘辛を調整する以前に、上司の評価と部下の自己評価が一致していないことです。

まさか上司の甘辛を調整した経営者の評価を社員にフィードバックすることなど到底ありえないことです。部下からなぜその評価になったのか聞かれても、上司は説明できません。

評価がフィードバックされないため、部下は自分の評価は「これくらいだ」と自己評価しています。そのため、自分ができると思っていることに対して上司から厳しい指導があると納得がいきません。「自分はできているはずなのに、なぜこんな厳しい指導を受けなければならないのか!」と、不平不満が生じます。その結果、上司に対して不信感を持つようになり、上司の指導を受け入れなくなります。

上司は決して部下が嫌いなわけではなく、部下に成長してもらいたい気持ちから厳しい指導をしています。上司ができていないと評価したことを、できるようになってもらいたいからこそ指導をしているのです。

しかし、部下本人からすれば自分はできていると思っていることに対して、上司に厳しく指導されたら、どのような気持ちになるかは推して知るべし、上司のことが嫌になります。つまり、上司に対して反感を持つようになります。この気持ちは指導される度に強くなり、日常において上司と部下の人間関係がますます厳しい状況になってきます。これを正さなければなりません。

そのためには、全上司で全部下の評価を決める必要があります。

全部下の評価は全上司が集まって決める。これを仕組みにして部下に伝えることで、上司の甘辛はなくなります。そのため、経営者は上司の甘辛評価の修正は必要なくなります。

そして上司は決まった評価を部下にフィードバックすることができます。フィードバックすることで初めて、部下の自己評価と上司の評価にはギャップがあることが明確になります。

部下は上司によって評価が違うことを分かっています。別の上司の元で働いている部下とお互いに情報交換をします。「うちの上司は厳しい」「うちの上司は甘い」と部下間で共有しているのです。

その上司一人が決めた評価の場合は、上司によって甘辛があることを部下は知っているため受け入れられなかったかもしれません。しかし、全上司が集まって決定した評価であれば受け入れざるを得ないでしょう。

もちろん、部下はそれでも評価に納得できずに上司に質問する可能性があるでしょうが、この上司評価は全上司が集まって決めているため、上司はなぜその評価になったのか説明することができます。やがてこの部下は上司の評価を受け入れることができるようになります。ここで初めて上司の指導が有効になります。

上司と部下の人間関係そのものに問題がある場合は組織として解決しなければなりませんが、まずは上司の指導を有効にすることです。これは上司の評価と部下の自己評価を一致させることでしか解決することはできません。

今、経営者が上司の甘辛評価の調整をしている間は、上司の指導は有効になりません。そのため、全上司で集まって評価を決める会議を行うことが必要です。

全上司が全部下の評価を組織的に決めているでしょうか?

 


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鮮コーポレーション株式会社様(飲食・販売等 広島県)

2023-06-08 [記事URL]


従業員の労働環境を改善するため、「働き方改革」の一環として成長塾で人事制度づくりを学ばれた鮮コーポレーション株式会社 取締役社長 西田 龍一氏に、その経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
会社名:鮮コーポレーション株式会社
代表者:代表取締役会長 西田 昌史/取締役社長 西田 龍一
従業員数:80名(他パート・アルバイト450名)
所在地:〒738-0042 広島県廿日市市地御前5丁目19-14
事業内容
1.本格グルメ回転寿司「すし鮮」「すし辰」のチェーン展開事業
2.新しいスタイルの焼肉屋「カルビ屋大福」のチェーン展開事業
3.鮮魚販売事業「新鮮市場」の経営
4.素材にこだわったとんかつ屋「とんかつ日刈り」の経営
5.精肉販売「ミートファクトリーあんずお肉の工場直売所」のチェーン展開事業
URLhttps://www.v-style.co.jp/

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1.全5業態の飲食店をチェーン展開

――鮮コーポレーション株式会社の会社概要をお聞かせください。

1949年、私の祖父が広島県庄原市で創業した西田鮮魚店が当社の原点です。1979年、地元にできたショッピングセンターへの出店がきっかけで、町の魚屋から大きく事業転換。1984年に株式会社西田鮮魚店となり、私の父が代表取締役に就任しました。その後、回転寿司の展開で会社は大きく飛躍。2001年に鮮コーポレーション株式会社となって、焼肉店なども手掛けるようになりました。

本格グルメ回転寿司「すし鮮」
寿司屋本来のきめ細やかな技で、お客様に楽しんでいただける店づくりを目指しています

現在は広島県を中心に、寿司7店、焼肉1店、鮮魚1店、とんかつ1店、精肉2店の全5業態をチェーン展開。
これからも、地域住民の方々に愛される店舗づくりを目指し、日々精進してまいります。

――西田社長の経歴を教えてください。

鮮コーポレーションを事業承継するつもりでしたが、会社勤務の経験もないまま会社を継ぐのは不安だったため、大学卒業後は東京の大手食品会社に就職しました。3年ほど勤務した後、もう1社で経験を積みたいと思い、香港の食材輸入販売会社に転職。輸入業を通じて国内外の業務に携わりました。そうした経験を経て2015年、鮮コーポレーションに入社しました。

鮮コーポレーションでは、現場のお店に立つことからスタートしました。その後、寿司店の店長から常務取締役を経て、2020年5月に取締役社長に就任し、現在に至ります。

2.「働き方改革」に取り組んで課題解決を目指す

――成長塾の受講に至った背景・課題をお聞かせください。

大きく3つの課題を感じていました。1つ目は過酷な労働環境です。私が寿司店の店長をしていた当時、とにかく人手が足りませんでした。人手不足が相まって、長時間労働が避けられない状況。正直、当時は自分も従業員も心身がすり減っていました。それで私としては、「一人ひとりの生産性を高め、労働環境を改善したい」という想いを常に抱いていました。

2つ目は不透明な給与体系です。当時は人事制度や基準があったわけではなく、現会長の父が全従業員の給与を決めていました。要は会長のさじ加減です。それで80名前後(アルバイト・パートを除く)の全従業員の給与を決めていたのは、ある意味凄いことですが、従業員側からすると「どうすれば評価されるのか」「どうすれば給与が上がるのか」が分かりません。そういった声は、いずれ社長に就任する私のところに集まってきます。しかし、私自身も分かりませんから、はっきりしたことは何も言えません。何度も歯がゆい思いをしていました。

3つ目は事業承継への不安です。従業員のほとんどは現会長の父のもとで育ってきた人たちばかり。従業員の人となりや貢献度合いを把握しきれていないなか、私より年長者で経験も豊富な人たちをどう評価すればいいのかとても不安でした。

――人事制度が確立されている大手企業での勤務経験がある西田社長からは、当時の鮮コーポレーションはどう映っていたのでしょうか。

確かに大手企業は目標設定やフィードバック面談など、人事制度がしっかり確立されていました。その大手企業と比較すると、鮮コーポレーションは仕組み化されていないところが多く、私も気になっていました。ただ、香港の食材輸入販売会社は鮮コーポレーションよりも企業規模が小さく、人事制度も皆無に等しい会社でした。両極端の会社を見てきた私からすると、鮮コーポレーションは人事面を改善すれば飛躍が期待できる会社と感じていました。

こだわったお寿司を提供
毎日自ら仕入れを行い、新鮮さ・美味しさにとことんこだわったお寿司を提供しています

実は私が感じていた3つの課題は、父も同じ危機感を持っていたようです。そこで私と父が出した結論は「働き方改革」です。「働き方改革」なくして鮮コーポレーションの飛躍はないと考えました。その「働き方改革」の施策のひとつが人事制度の導入でした。

3.魚屋が原点の松本先生の人事制度に共感

――成長塾にたどり着いた経緯を教えてください。

経営者向けセミナーの企画・運営会社から父のところに届く教材のなかに、松本先生が講演されている様子を収録したCDがあり、偶然拝見して興味を持ったのがきっかけです。一番共感したのは、松本先生の原点が魚屋だというところ。当社も原点が魚屋ですから、これはピッタリだと思いました。

システム的な部分で特に興味が湧いたのは、教える文化を根付かせる成長シートの存在です。当時は上司と部下の関係性が希薄で、「教える」「育てている」ということが会社の中で不足しているのではないかと漠然と感じていました。こうしたことが相まって2018年1月、人事制度導入のため、私と人事部長と営業部長の計3人で成長塾を受講しました。

4.他の働き方改革とともに計画的に人事制度を導入

――人事制度導入のプロセスをお聞かせください。

受講後、半年ほどかけて成長シートをつくりました。作成した成長シートは4部門(寿司部門、焼肉部門、鮮魚部門、本部)×3階層(一般、中堅、管理)の計12種類です。その後、社内に人事制度および成長シートの導入を啓蒙しつつ、他の働き方改革の施策にも着手。仮運用は2020年4月からになります。

仮運用ということで、1年間は成長シートによる評価のみ。また、この仮運用期間を新賃金制度に移行する準備期間として、現給与と成長シートで求める成長点数を照らし合わせ、必要な成長点数を理解する猶予期間としました。次の年、2021年4月から給与にリンクする本運用を開始。全従業員、成長シートの成長点数を反映した処遇(昇給・賞与)に移行しました。

――処遇(昇給・賞与)はオープンにされているのでしょうか。

オープンにしています。ですから、従業員に「どうやったら給料は上がるんですか?」と言われたときは、成長シートですべて説明が可能になりました。よく分からない言葉で濁さなくてもいいというのは、精神衛生上、非常に良いと実感しているところです。

賞与に関しては、営業利益の3分の1を原資としています。細かい計算式についてはオープンにはしていませんが、営業利益をオープンにしていますから、従業員は自身の賞与をイメージできると思います。

――人事制度導入における従業員の反応はいかがでしたか。

仮運用期間を設けたこともあり、スムーズに導入することができました。加えて導入した時期がコロナ禍真っ只中。従業員としては、人事制度よりも「営業できるのか」「働けるのか」が最優先事項でした。

――人事制度導入後の定量的効果をお聞かせください。

2019年4月~2020年3月をBefore、2022年4月~2023年3月をAfterとし、成長塾受講前後を比較した定量的効果を以下に示しました。まず、売り上げ、粗利、労働分配率に関しては、コロナ禍の影響のため、単純な比較はできません。売り上げは上がっていますが、これはとんかつ店などの新事業が寄与しています。逆に新事業の収益構造上、全体の粗利は減少しました。

人事制度導入後の定量的効果
詳細な分析はまだできていませんが、明らかに人時生産性の向上と残業時間の削減は人事制度導入の効果と言えます。ただ、人事制度は導入したばかりですから、結果を求めるのはこれからです。当社としても、人事制度を継続的に活用していきますので、中長期的な視点で見てもらえると幸いです。

5.店舗のマネジメントにも教える文化が浸透

――西田社長の目から見て、人事制度を導入してから変わってきたところはありますか。

人事制度導入の効果が如実に表れているのは、教える文化が芽生えてきていることです。人事制度導入前は、自分の持ち場の業務のみに勤しむ姿がほとんどでしたが、人事制度導入後はあちこちで教えるシーンを見かけるようになりました。

教える文化
現場も店舗のマネジメントも教える文化が根付きつつあります

成長シートでは教えることが成長点数の5点に相当し、給与に反映しますから、従業員は教えることが自分のためになることを理解したのだと思います。この教える文化は、人事制度導入のきっかけでもあるため、私としては狙い通り。嬉しい限りです。

――どういったところで教えるシーンを見かけますか。

魚や肉をさばくなど、技術的な部分はもちろん、店舗のマネジメントや人的リソースの管理という部分でも見かけることができます。この部分は店舗運営の根幹で、中堅の従業員に求められるところですから、マネジメントの成長を促すことができたのは会社として大きなプラスです。

6.就活生が興味を持った成長シート

――ほかに人事制度導入の効果を感じるところはありますか。

リクルート活動で効果を感じます。会社説明会の際、成長シートがあることを就活生に伝えると、キャリアプランの道筋が見えるせいか、一様に安心してもらえます。実際、会社説明会後のアンケートでは「成長シートに興味を持ちました」という意見をたくさん頂戴しています。会社の成長のためには、人材獲得が欠かせないところですので、この点でも人事制度を導入して良かったと思ってます。

――コロナ禍の影響はいかがですか。

飲食業ですから、当然、大きなダメージがありました。業態を変えながら何とか営業を続け、現在はコロナ禍前の8~9割ぐらいまで回復している状況です。従業員に関しては、全員の雇用を継続しています。そもそも人手不足の業界ですから人材は宝。これからも従業員を大事にしていきたいと考えています。

7.「働き方改革」で従業員のための制度を導入

――「働き方改革」の施策のひとつが成長塾の人事制度とおっしゃっていましたが、ほかにも「働き方改革」の施策はございますか。

人事制度と平行して、3shine(サンシャイン)制度、アニバーサリー休暇制度、逆ドラフト制度を導入しました。3shine制度は(1)残業あり・異動あり、(2)残業あり・異動なし、(3)残業も異動もなし、という3つの働き方を選べる制度です。正社員向けの制度ですが、実はアルバイトやパートの社員登用の際に活用する制度でもあります。とくにパートの場合、「子供から手が離れたから長く働ける」というケースが少なくありません。そういった際、3shine制度を利用し(1)~(3)のなかから働き方を選んで正社員として働くことができます。

アニバーサリー休暇制度は期末の2~3月、翌期のスケジュール内にあらかじめ2日間の年休取得日を申請しておく年休取得の促進制度です。飲食業はなかなか休暇のタイミングが難しい面がありますから、これによって休暇取得の先延ばしを防ぐ狙いがあります。逆ドラフト制度は、新卒の従業員が勤務する店舗を自分で選べる制度です。3カ月の研修期間終了後、新卒の従業員に対して各店舗の責任者が自身の店の強みやビジョンをプレゼン。これをもとに、新卒の従業員は自身で配属店舗の希望を提出することができます。

これに成長塾の人事制度が加わり、「働き方改革」は大きく前進したと実感しています。実際、こうした「働き方改革」の取り組みが認められ、広島県の「広島県働き方改革実践企業」に認定されました。

従業員みんながイキイキと働ける環境づくり
「働き方改革」のもと、従業員みんながイキイキと働ける環境づくりを行っています

さらに「広島県働き方改革実践企業」が厚生労働省の目にとまり、厚生労働省の働き方特設サイトに当社の取り組みが事例として掲載。当社の取り組みが公に認められた格好ではありますが、これに驕ることなく、これからも着実に一歩ずつ「働き方改革」を推進していきます。

8.大手企業よりもきめが細かい人事制度を構築できる

――人事制度に悩んでいる中小企業に向けて、アドバイスがあればお願いします。

成長塾の人事制度は、大手企業よりもきめが細かいと感じています。処遇(昇給・賞与)の仕組みは大手企業の方が複雑だと思いますが、社長の想いが込められた成長シート、年4回のフィードバック面談と成長支援会議などを含めた仕組みは、大手企業と同等あるいは上回ると実感しています。もちろん、自身の大手企業での勤務経験に照らしわせた主観の感想ではありますが、中小企業でここまで人事制度を回せていることは自信につながります。飲食業をはじめ、人事制度で悩まれている中小企業の経営者はぜひとも、成長塾の受講をおすすめします。

――最後に一言お願いします。

人事制度の効果を実感できるのは、業績が結びついてこそだと考えています。まだまだその域には達していませんので、まずはこれからも人事制度を運用し続けてまいります。合わせて、引き続き松本先生には忌憚なきご意見とアドバイスを期待しています。よろしくお願いいたします。

鮮コーポレーション株式会社様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※鮮コーポレーション株式会社様のホームページ(https://www.v-style.co.jp/)
※取材2023年3月


臨時休業のお知らせ

2023-06-07 [記事URL]

平素より大変お世話になっております。ENTOENTOです。
今年の成長塾第18回全国大会開催に伴い、次の日程で臨時休業させていただきます。

◆ 休業日 2023年7月12日(水)~2023年7月14日(金)

ご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。


第161話 求められるマネジメントと嫌がられるマネジメントの違い

2023-06-06 [記事URL]

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基本的に、日本の企業に入社した社員は一般階層で優秀なプレーヤーであることを評価されるようになると、一般階層を卒業して上司になります。これは日本企業の一つの特徴といえるでしょう。

ところが、どの会社でも部下から常に指導を求められる上司と、部下から嫌がられる上司がいます。この違いはどこにあるでしょうか。

今まで人事制度の指導先で「現場作業はできないけれど、マネジメントができるので最初から中堅階層から仕事を始めてもらった」という会社は1社もありません。日本のこのステップアップの仕方から考えると、嫌われている上司の特徴は「昔はこうやって成果を上げた」と、過去の経験を基に指導しています。

しかし現在は新型コロナを始めとするさまざまな経営環境の変化があり、一般階層(プレーヤー)の仕事は日々大きく変わっています。それにもかかわらず、上司から昔のやり方を変わらず指導され続けたら、嫌がる部下が出るのは当たり前です。

指導を受けた部下が密かに思っているのは「上司の時代と今は違う」です。そのため、部下は指導内容に従うことはないため「なぜやらないのだ!」と上司はさらに厳しく指導することになるでしょう。しかし、上司に正面切って反対できる部下は少ないでしょう。

その一方で、部下から指導を求められる上司がいます。何が違うのでしょうか? この上司は今の現場で高い成果を上げている部下の、その成果を上げるやり方をタイムリーに教えてくれる上司だからです。

今、成果を上げている他の社員がやっていることを教えてもらえば、自分も同じように高い成果を上げることができます。その高い成果を上げるやり方を特定し、共有化できる上司は常に部下から指導を求められることになります。

上司は常に考える必要があります。自分が一般階層にいた 5年前、 10年前と今は違います。過去に成果を上げたといって、そのやり方を指導しても有効にならない可能性がある。大事なことは今まさに我が社の中で成果を上げている社員の、そのやり方を分かりやすく全ての部下に共有化できるようにすることです。

上司にとっても実際に成果を上げている部下のやり方を共有化するだけでとても指導がしやすくなります。

もっとも、そのためには高い成果を上げている社員のやり方を調べなければなりません。そのやり方を他の部下に共有化すれば、同じように高い成果を上げることができます。部下が高い成果を上げられないのは、あくまで部下指導が有効になっていない結果であると上司は認識することが必要でしょう。

成果の上がっていない社員をどれほど叱っても、決して成果を上げることにはなりません。今までの部下指導のやり方を、経営環境の変化を境に大幅に変更するときが来たと言えるでしょう。

今、上司は高い成果を上げている部下のやっていることを正確に把握しているでしょうか?

 


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第160話 社内の教育体制を整える前に準備すること

2023-05-30 [記事URL]

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今、新卒社員が企業に求めている社内環境の一つに「入社後の教育体制が整っていること」があります。

しかし、中小企業で新卒社員を教育するための具体的な教育体制を持っている会社はあまりないでしょう。社内で統一した社員教育ができていないのが現状です。

特に「部下指導」の内容は上司によってバラバラです。上司は自身の今までの経験から学んだことを部下に教えるため、教えられる新卒社員は上司によってそれぞれ別のことを学んでいます。当然ながら部下の成長度合いに差が出てくるでしょう。

それ以上に問題なのは、新卒社員を2名以上採用された場合、社員同士で話をしたときに学んでいることの違いに気がつき愕然とすることです。その結果、上司や会社に対して不安が募り、退職の道を選んでしまうことも少なくありません。

そのため、社員の教育体制を整備することはとても重要ですが、まず最低限度やらなければならないことがあります。それは新卒社員の成長のゴールを示すことです。

まずは社員が優秀だと評価されるときの成果の種類と、その大きさを社員に示さなければなりません。

もちろん、それだけでは不十分です。成果を上げるために指導している内容は、上司によって異なります。そのため、会社として成果を上げるための業務(重要業務)を統一しなければなりません。

そしてその重要業務を遂行するための知識技術を明らかにします。学校での教育とは全く違い、これから学ぶ知識技術は特定の業務をするために身につけることになります。その説明を新卒社員にしなければなりません。

最後に、この会社の社員として成長するためにはどうしても守ってもらうべき勤務態度があります。それを明らかにしなければなりません。

「上げるべき成果」と「その成果を上げるための業務」、そして「業務に必要な知識技術」と「守るべき勤務態度」。これらを一つのシートにまとめあげて成長のゴールとして示さなければなりません。

このシートをまとめることによって、全ての上司の部下に対する指導内容が一致することになります。そしてその成長確認(評価)を会社統一で行うことができるようになります。入社した社員が安心して自分の成長に向かって進むことができる。この環境が最低限必要でしょう。

そして社内の教育体制はこのシートを基にして組まれなければなりません。なぜなら、社内教育は一人前の社員として成長させることが最初のゴールだからです。それに向けて「やるべきこと」、「身につけること」の教育を実施することになります。それが社員を一人前にするための基礎教育となるでしょう。

この教育をすることによって、まずは5年から10年の間に新卒社員がどのように成長すればいいか明らかにすること。これが社内教育体制づくりの基本となります。全ての社員を優秀にしたい、一人前にしたいと考えている会社は成長のゴールを示さなければならないでしょう。

今、入社した新卒社員を教育するための最低限の準備ができているでしょうか?

 


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社員が成長し業績が向上する人事制度(日本経営合理化協会出版局)
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第159話 今やらなければ3年後に採用はもっと難しくなる

2023-05-23 [記事URL]

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経営者と社員には立場の違いがあります。社員にとってみれば、経営者の「頑張ったらたくさん賃金を出す」という話はにわかには信じがたい話です。

損益計算書をよく理解している社員は、社員の賃金を上げると会社の営業利益が減少することを知っています。つまり、社員の賃金を上げなければ営業利益は減らないため、社員は経営者の発言を信じていない可能性があるのです。そのため、これからの中小企業は実際に賃金を上げる可能性を説明できる仕組みが必要になってきます。

今後は社員の賃上げ率をデータで提示できない会社は社員を採用することができなくなる日が来ます。過去にも、社員がなかなか採用できないときがありましたが、なんとか採用できていました。しかし、これからはかつてないほどの採用難の時代が忍び寄っています。その時代の中で、これからは応募者から選ばれる会社にならなければいけないでしょう。

それでは応募者が会社を選ぶ基準は何かというと、最大の基準の1つは「賃金」でしょう。各企業が初任給を上げているニュースが流れていますが、これはこの採用難の時代に向けた対策の必要性を知らせる始まりに過ぎません。これから賃金相場は上がり続けていくでしょう。

しかし、毎年業績を上げる会社にならなければ賃金を上げることはできません。結果として、賃金が上がらない会社には誰も応募してこない時代がまもなくやってきます。

経営者は業績を上げることは難しいことだと考えているでしょう。しかし、決して難しいことではありません。

社内には優秀な社員と、まあまあの成果の社員と、これから成果を上げる社員がいます。その社員間の成果の違いは何であるか明らかにし、優秀な社員が成果を上げている理由を全社員に共有化するだけで、全社員の成果を上げることができます。

成果の低い社員をいくら叱っても成果が上がることはありません。既に経験済みでしょう。成果を上げる業務を知らないから成果が低いのです。成果の上がる業務を全社員に説明し、教え合って実践しなければなりません。全社員の成果が上がった結果、会社全体の業績が良くなります。そして、業績が良くなったら昇給・賞与も増やすことができます。

今までも業績が良くなった分、昇給・賞与を増やして「頑張ったらたくさん賃金を出す」と発言してきたことは間違っていませんが、社員はどう頑張れば賃金が増えるのか分かっていません。そのため、これからは社員の成果の違いをプロセスの違いと捉え、そのプロセスの違いを全社員に共有化することです。現在の厳しい環境でもこれは有効です。

この時代だからこそ、社員間の成果の差は広がっているはずです。それをグッと縮めることができます。成果の差を縮めることが会社全体の業績の向上につながります。そして会社全体の業績が良くなったときに、昇給・賞与が多くなることを社員に前もって説明することも必要でしょう。この説明によって社員の定着率は飛躍的に上昇します。

そして、その次に賃上げ率が毎年向上していることを社内にオープンにし、応募者に向けて提示することは絶対の条件となってきます。

今この仕組みをつくらなければ、3年後はもっと新卒が採用できない時代になってきます。今スグやるか、先送りするかは経営者の判断ですが、3年経って「あのときやれば良かった…」とならないように、今すぐ社員の成長、業績の向上、そして結果として社員の昇給・賞与を上げて毎年どのくらい賃金を上げているかデータ(賃上げ率)として応募者に発表できるように準備してください。そのことが当たり前になった時代に対応できる会社になっていますか? 


第158話 初任給の高さだけでは優秀な社員の採用は困難

2023-05-16 [記事URL]

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大手企業の初任給が上がり続けています。
この傾向は過去50年で初めてのことです。ますます大手企業と中小企業の初任給のギャップは広がるばかりです。

多くの中小企業の経営者は「これでは新卒社員の採用ができない…」と頭を抱えているでしょう。しかし、この時代だからこそ中小企業で活躍できる優秀な社員を採用できるチャンスと考えなければなりません。

もし、中小企業で初任給30万円にして、新卒採用の面接時に、志望理由をお尋ねしたとき「初任給が高いから応募しました」と答えられたら採用したいと思うでしょうか。初任給が高いから応募してきた学生を、嬉しそうな顔をして採用する中小企業はないでしょう。

元々日本ではいい高校に入り、いい大学に入り、そしていい会社に勤めることを親から教育されてきた可能性があります。少なくとも、現在40歳以上の世代の人たちはこの考え方で教育されてきた可能性が高いでしょう。ここでいう「いい会社」とは、「賃金が高くて安定的な会社」です。

現在では、一生安泰という夢に関してはもはや大手企業だからといって叶えられることはありませんが、大手企業に入社を希望する理由の一つは「賃金が高いから」でした。

では、この環境の中で次のような学生がいたらどうでしょうか?

「40年間、自分が成長のゴールである一般・中堅・管理階層の成長シートを見て、そのゴールに向けて着実にこの会社でじっくりと成長していきたい」という思いが強い学生です。

「中小企業の良さは出世競争がなく、全員が成長したら全員ステップアップできることがとても素晴らしい」と考えられる学生です。

「40年間、会社の業績がいいことが前提で、自分が成長したら賃金がどう増えていくかを理解し、賃金はしっかりとこの会社で成長して自分で獲得するものだ」と意識を持っている学生です。

このような学生を採用したいと思わないでしょうか?

・40年間の成長が分かる「成長シート」
・成長したら全員が一緒にステップアップしていけることが分かる「ステップアップ基準」
・40年間の自分の賃金がどのように増えるか分かる「モデル賃金」

この3つを明らかにしたときに、「こんな会社で働きたい」「自分の人生をかけてみたい」と発言して申し込んできたら、喉から手が出るほど欲しい学生と言えるでしょう。

実はそれができるのが今の時代です。
決して初任給が低いことを心配する必要はありません。いい会社は初任給が高い会社と思って就職活動している学生は、初任給の高い会社に行ってもらえばいいと思います。

しかし、初任給が低いとしても自分の人生をかけるに値する会社、自分でしっかりと能動的に成長していく意欲を持った学生がいるのであれば、そのような学生ほど中小企業で大いに活躍できると考えています。そのような学生が採用できるようになった時代と逆に考えていなければなりません。

そのためにこそ社員の40年間の段階的な成長を示す「成長シート」や、全社員が成長できる「ステップアップ基準」、40年間の賃金がどうなるかが明確になる「モデル賃金」を示せる会社にならなければなりません。これによって優秀な社員を採用できる時代になったと考えてください。

中小企業で活躍できる優秀な社員を採用する準備はできているでしょうか?


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